なほあまりある 6


 のんびりと言う昭仁へと怪訝に眉を寄せてから、俺は持っていた鞄を漁る。その中に、今日返ってきた英語の小テストのプリントを見つけた。


「これでもいーか?」


 プリントを差し出すと、「サンキュー」と受け取る。そして55点しかない点数を見て「おー天才」と呟いた。


「言ってろよ」


  ハッと笑いを吐き捨てた俺に、「じゃ、オレもそろそろ行くわ」と片手を上げた。


「またな」


 呟いた俺に昭仁は少し歩いてから振り返る。そして「なあユウ。ケータイの番号、変えてねーよな?」と確認してきた。


「ああ。変わらずだ」


 昭仁は再びニヘラと笑うと、先程の友人がガムを吐き捨てた場所で足を止め、身を屈める。俺が渡したプリントでガムを取ると、クシャクシャと丸めた。


 それをゲーセンの前に設置されているゴミ箱へと投げ入れ、歩いて行く。


「なあ! えっと……竹内ッ」


 突然叫んだ弘人に、昭仁が足を止める。ゆっくりと振り返ると、「なに?」と首を傾げた。


「あのさ、俺もよく祐志に『バカ』って言われるんだ! だからッ」

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