月を見しかな 6
携帯を切っても、しばらくは月を見上げていた。
俺はこんなにも長い間――月がこんなにも高く上がる程、織田の言葉に捕らわれていたのか。
溜め息を1つ吐いて、窓を閉めた。
実は一向に進んでいなかった参考書とノートを閉じる。そうして携帯も、机に置いた。
「さてと、メシでも食うかな」
1人しかいない食卓で、母親が朝つくってくれた晩飯を食うのだ。共働きの両親は、今夜もまた、帰りが遅いのだろう。
「……さみしぃー……」
織田に言ったのと同じ台詞を口にする。
1人でクスクスと笑って、俺は携帯を机に残したまま、部屋を後にした。
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