11:源子脈坑道へ(2)
源子脈へと続く地下道は、さほど探す間もなく見つかった。
パシバの街の反対側、宿屋街の方へと繋がる道だ。
地理的にみると使い勝手の良さそうな地下道なのだが、源子脈が走っているため住人たちには敬遠されている。
そのため人通りはほとんどない。
「ここか……」
地下道へと入って5分ほど降りていくと、やがて開けた場所へと出た。
地下なのだが高い場所に橋のように石の道が作られている空間だ。
遠くにはいくつもの柱が地上を支えているのが見え、下方には広い闇の海が広がっている。
柵がかけられている石道の下に視線を落とすと、ほのかに輝くものが見えた。
「源子脈か……あれが」
かなり下に光る川のようなものが見える。
真っ白でパッとみると、白く輝いている光の川のように見えるのだが、じっと見ているとその色が移ろっていく。
青色のように変わったかと思えば水色へと薄くなり、緑色へと変化。
かと思えば淡い紅色、桜色、桃色へとまた色彩が揺らめいていく。
不思議な輝きを放っている川だった。
「不思議というか奇妙というかな」
目に見えているだけでも、身体に力が沸いてくるような気がする。
崖下にあるのを見ると、最低でも数百メートル……いや1キロ以上は離れているのだろう。
しかしそれでも影響は出てきている。恐いものだ。
(あんまり直視しねぇほうがいいな……)
距離があるとはいえ、直視するだけでも危ないと言われている物質だ。
例えるなら太陽を直にみるよりもはるかに危ない。
なるべく視界には入れずにラーギラを探した方がいいだろう。
とはいえここまで来たら後は待つ以外に無い。
店主の話ではもうすぐ出勤してくる時間、という話だったのでミスカが追って来るまでが勝負である。
「……ん?」
柱に寄りかかって時間の潰し方を考えていると、程なくして向かい側の道から誰かがやってきた。
源子脈の明かりがあるため、この地下道には明かりの類は設置されていない。
そのため薄暗く顔がわかりにくいのだが、子供である事がわかった。
(あれが……ラーギラか?)
反対側から歩いてくるのは、布の服の上にチョッキのような鎧を着た子供の姿だ。
長めの靴に腰回りには道具が沢山ついたベルトを巻いている。
あれが食料品店の主人が言っていた奴だろう。
確かに遺跡荒らしとか、盗賊のような格好をしている。
やがて近づいてきて顔が明らかになったが、その第一印象は……”素朴そうな少年”という感じだった。
イガグリ状の髪型に高くもなく低くもない背丈。身体も中型でしなやかなに鍛えられているという感じだ。
とび色の瞳は純粋な雰囲気を持っていて、素直そうというか、いい意味で主人公っぽい感じの少年だった。
「さて。隠れてるのも変だし、行くとするかな」
俺は柱の影から出て、ラーギラの前へと躍り出た。
「ちょっと聞きたいことがあるんだが……いいか?」
こちらの姿を見て驚かれるかもしれないと思ったが意外と彼は動じる事無く、立ち止まってこちらを見た。
盗賊型のキャラなら感知能力が高いので、誰かが待っているぐらいの事には気づいていたのかもしれない。
静かに俺が訊ねると、少年は答えた。
「あなたは……公官ですか?」
声から推測すると中学生、だいたい15歳前後の年齢ぐらいだろうか。
この世界の人間は殆どが魔法使いで、声と姿だけで推測は難しいが。
「そうだ。俺の名は魔公官のニュクスっていう。天候魔術式を盗んだラーギラって盗賊を追っているんだ。単刀直入に聞くが……お前がラーギラか?」
訊ねた後、一瞬の静寂。
ラーギラは特に動揺するわけでもなく、視線を泳がせて何かを逡巡している。
俺はいきなり奇襲をされてもいいよう、身構えて回答を待った。
すると意外にもあっさりと彼は答えた。
「はい、そうです。僕がラーギラ。あなた方が追っている盗賊ですよ」
俺はその対応の仕方を見て、意外と度胸がありそうだと感じた。
これから戦うかもしれない、という事を前にして全く気怖じしていない。
こちらは臨時職員という事を明かしてないので、正規のリハール国家魔法公官と思っているはずだが気にする様子はまるでない。
戦う事に自信があるのか、それとも盗賊として厄介ごとには慣れているのだろうか、という印象だ。
(さて、ここからか……)
「戦いますか?」
今は戦う事が目的ではない。
俺は身構えるラーギラに、慌てて手を前に出し、静止のポーズを取った。
「ま、待て! 待ってくれ。戦って捕まえるとか、そういう事も俺の立場上はやらなくちゃいけないんだが……まず聞きたい事があるんだ。色々とやる前に、まずな」
「聞きたい事……?」
一瞬の間の後、俺はラーギラに訊ねた。
「お前は――――単純に”NPC”なのか? それとも”PL”だったりするのか?」
「……!」
ニュクスが訊ねた次の瞬間、ラーギラの表情が見る見る変わっていった。
警戒していた表情の緊張が解け、目が見開かれていく。
先ほど自分が公官だ、と名乗った時よりも衝撃を受けているようだった。
(この一言で全部わかるはずだ……!)
NPCもPLもTRPG用語である。
PLというのはプレイヤー自身を指す言葉で、NPCというのはプレイヤーが実際にゲーム中で使う「プレイヤーキャラ」ではなく、ゲームマスターがゲーム世界の人間側として演じるPCの事などを指す。
この二つの言葉の意味がわかるかどうか。
それで彼が自分と同じ境遇かどうかは一発で判明するはずだ。
ただのNPC(ノン・プレイヤーキャラクター)ならば、つまり「この世界の住人」ならば言葉の意味は理解できない。
でもPL(プレイヤー)、つまり現実世界のプレイヤーならば、答えられるはずだ。
「ぼ、僕は……」
しばらくラーギラは硬直したかのように動きを止めていたが、
やがて意を決したように口を開いた。
「”PL”です……僕は……NPCじゃない。ここの世界の人間じゃありません!!」
「って事は、お前も……!」
その言葉を聞くなり、俺はラーギラに歩み寄っていた。
そして何も言わずに握手を交わしていた。
本当の仲間に出会ったような、何年も会っていない友達と出会ったような、そんな感慨深い気分になっていた。
「あなたは……現実世界から来た人だったんですね」
「ああそうだ。そうだよ! 俺は日本の高校生だ! 現実世界からのプレイヤーなんだよ!」
俺は腹の底から何かが湧き上がってくるような気持ちになった。
暖かいものがじわりと心を暖めてくれるような、そんな安堵の気持ちだ。
俺は泣きそうになりながら、ラーギラとの話を続けた。
「まさかと思ったんだが、賭けてみて良かった……本当に」
流石に抱擁まではしなかったが、俺とラーギラは二人ともが同じ境遇の人間である事を確認し、再び硬く手を握り合った。
初対面で友情がどうのこうの、というわけではない。
だが、同じ仲間である事を確認し合うには充分だった。
しかしラーギラがもう一人やってくる人間の気配に気づいた。
「!、もう一人来る……?」
ラーギラと話を続けたかったが、そういう訳にもいかなかった。
忘れそうになったが、今は時間がないのだ。
地下道へと降りてくる足音が聞こえてきたことが、それを告げていた。
「やばい……そういえばミスカの奴も来てんだった」
「ミスカ?」
「俺と同じ魔公官だ。ただ、あいつはこの世界の人間で俺より好戦的だ。気をつけろ」
俺は少し離れて、ラーギラに向かって身構えた。
戦っている素振りを出すためだ。
ラーギラも察してくれたらしく、大型ナイフを取り出して戦おうとする構えを取ってくれた。
そのままの姿勢で話しを続ける。
「それでその、これからどうするんですか? 戦った方がいいんですか?」
「いや逃げろ。あいつはかなり強い魔女だ。正面から戦えばただじゃ済まん」
ミスカが来ているか確認しながら、俺は続けてラーギラに言った。
「後で……パシバの東の方にある装具屋で落ち合おう。夜中の9時ぐらいに」
「武具屋? そんな所でですか?」
「ちょっと自分の装備を直す用があってな。修理するって名目で話してから行く。積もる話はそこでやろう」
「わかりました」
そう言って俺は飛び掛かりながら拳の一撃をラーギラへと放った。
無論、演技の攻撃だ。当てるつもりは更々ない。
近づいていて何もしていないと怪しまれるので、戦っているフリをしているだけである。
「居たっ! そいつがラーギラね!」
「うわっ! と……」
光の矢が、声と共にラーギラがさきほどまで居た場所に突き刺さった。
俺は一応、ミスカからの攻撃を避けられるように牽制を行ったが、ちゃんと避けてくれたようだ。
(なるほど、そういう意味もあったのか……)
ラーギラは改めてニュクスを見ると、彼が小さく親指で彼女の方を指していた。
「気をつけろ」とでも言いたげだった。
(なるほどね。言った通りただものじゃないって事か)
食料品店の店主から話を聞きだしたのだろう、やってきたミスカはかなりイライラした様子だった。
俺とラーギラの間に割って入ると、俺の方へと向いて言った。
「言いたい事は沢山あるけど、とりあえず今は置いておくわ。それより……あなたがラーギラね?」
「……そうですけど。あなたは?」
既に話をしているが、ラーギラは初体面のように装って答えた。
ミスカは自信たっぷりに自分の魔公官手帳を見せつけ、言った。
「あたしはリハール国家魔法公官のミスカ・アンテーゼよ。アンタを―――高級魔術式奪取の罪で逮捕するわ。覚悟しなさい!」
「ちょっ、お、お前! そいつは俺が先に見つけたんだぜ! 逮捕も俺に任せてくれよ!」
「アンタはすっこんでなさい! 抜け駆けしようとしたわね? レオがそわそわしてるから問い詰めたら……」
(あー、なるほど、だから思ったより早く来ちまったのか……)
どうやらレオマリは、そこまで演技がうまくなかったようだ。
ミスカに詰め寄られ、思わずラーギラがこっちから来ると話してしまったらしい。
(ま、最低限話すことは話した。あとはアイツ次第だ)
言い返してはいるが、ミスカと競り合っても勝ち目はない。
やがて俺が黙ると、ミスカはラーギラの方に向かい合った。
「とにかく……アイツを捕まえるわ。足手まといにはならないでよね」
「てめェこそ、いつまでも下に見てんじゃねぇぞ。今度は俺がやる番だ」
二人で対峙するとラーギラは僅かに口元を緩ませた。
そして、いきなり後ろを向いて走り始めた。
見る見るうちに加速し、米粒のような大きさへなっていく。
「は、はっや……!! そういえばアイツ、盗賊だった……」
「待ちなさい! 逃がさないわよ!」
ミスカは駆けながら背負っていた剣を地面に浮かべると、それに両足で立った。
彼女得意の「飛行魔法」だ。魔女は箒に乗って飛ぶイメージがあるが、彼女の場合は
スケートボードのように背の大剣に乗って飛んでいく。
大剣に乗ると見る見るうちに加速して地面スレスレを滑空し、高速でラーギラに迫っていく。
同時に詠唱を開始し、攻撃の準備を整えていく。
「マノー・カノー・ウォーレス。悪意の爪よ……」
ちらり、とラーギラがミスカの方を向いた。
逃走を止める為にこっちへと攻撃してくるのは読んでいるようだった。
(魔術……足が狙いか!)
(は、はえええぇぇぇぇ、嘘だろうオイ……!?)
俺から見た時、既に二人はかなり遠くの方へと逃げていた。
このトンネルはかなり長いものらしく、数百メートルはゆうにあるようだ。
それをあっという間に視界の彼方へと移動してしまっている。
「くそっ、俺の足が速い方じゃねぇって事もあるが……あいつら早すぎる。鳥か何かみてぇだ……!」
剣に乗ったミスカの速さも凄いが、ラーギラの足の速さも信じられないほど速い。
2人とも現実で言う所のバイクとか車並のスピードがあるのではないかと思われた。
「我が敵の脛を喰らえ、腱を引き裂け―――」
(来る!)
「黒獣牙(ディルベ・ガイデス)!」
ミスカが唱え終わると彼女の足元から黒い影が伸びていく。
やがて影は尖った形へと変わり、まるで獣が牙を剥き出しにしたような異様となった。
それが影から飛び出し、ラーギラへと向かっていく。
「危なッ!!」
ラーギラが素早く身をかわすと、外れた魔術が巨大な鍾乳石の柱へと噛み付いた。
影はあっという間に鍾乳石の柱をかみ砕き、宙へと霧散していく。
獣の影はいくつもミスカから放たれていた。
(ッ……! 流石魔女だけあるな……)
足を止める為の攻撃だと思われるが、一発一発が既に必殺の威力と言ってもいいだろう。
まともに命中すればシールドを一発で破られ、大ダメージは必至だ。
やがてラーギラは足を止め、大型ナイフで獣の影を打ち落とし始めた。
「っ! やるわね、なら……!」
ミスカはラーギラの前方へと回り込むと、地面へと手を置いた。
そして短く呪文を詠唱し、魔術を発動させた。
「土蜘蛛の手(レストクローク)!!」
ミスカが呪文を言い放つと、地面からいくつもの手が伸びてきた。
まるで蜘蛛の手のようなそれを、ラーギラは慌てて払おうとした。
「うっ、これは……!」
ナイフに命中すると、触手はどろりとナイフにまとわりついた。
薄暗い中でわからなかったが、どうやら伸びてきた手は泥のようなものだったらしい。
咄嗟に離れようとすると、今度は糊のように粘りついて振りほどけない。
「くっ……なんだこれ……!? 物凄く粘つく粘土みたいな……!」
「すぐには取れないわよ。それ」
ミスカが自信たっぷりに言い放つと、纏わりついた泥が固まり始めた。
最初は水気のあるものだったものが、今度は硬い石のように変化していく。
「ぐっ……お、重い……!!」
ミスカが使用した魔術「土蜘蛛の手」は、捕縛能力に優れた魔術であった。
土で出来た細長い蜘蛛の手が、素早くまとわりつき、蜘蛛の糸のように相手を絡めとり最後には陶器のように固まって錘(おもり)になる、というものである。
攻撃にはまるで使えないが、視界の悪い場所で不意をついて相手を捕らえるには極めて強力な魔術だ。
「さて、それじゃ……逮捕よ」
ミスカは離れた場所から、ゆっくりと近づいていく。
ラーギラはちらりと顔を半分、彼女の背後へと向けた。
するとニュクスがこちらへと向かってきているのが見えた。
最初の早駆けの際に相当引き離したようで、かなり距離は離れている。
(振り払って反対側から逃げる……のは難しそうだな)
仮に身体に張り付いた石片をすぐ引き剥がしても、挟み撃ちの状態だった。
どちらかは強行突破しなくてはならない。
ミスカは恐らくはそこまで計算しているのだろう。
済ました顔をしている魔女だが、頭が切れるのが伺えた。
ニュクスが言っていたように手強いというのは嘘ではなさそうだ。
(それに……あっちから逃げたら、あのニュクスって人に迷惑が掛かっちゃうな)
ミスカと戦うのはともかく、すれ違ってニュクスの方を強行突破するのは
ラーギラにとって難しい事ではない。
身軽さにはかなりの自信があったからだ。
だが、それをすると恐らくニュクスに迷惑が掛かってしまうと彼は考えた。
それに―――彼は自信のあるヤツは、嫌いだった。
(こういう奴には……一泡吹かせてやりたくなるんだよね……!)
ラーギラが気合の声を上げる。
すると、内部から強い振動と共に彼を覆っていた石板が割れた。
ミスカがその動きに近づく足を止めた。
「壊した……!?」
「これぐらいならまぁ、大丈夫かな」
(何をやったの……? 魔法攻撃? いえ、何か違う)
詠唱なしで魔法を使用することは出来る。
だが、術者が本来使えるレベルからかなり力が落ちたものしか使用できない。
あの「土蜘蛛の手」は、かなり硬い陶器のような物体となって身体にまとわりつく。簡単な魔法では破壊は難しい。
「さて……あっちの人が来るまで、3分位かな? 遊んであげるよ」
「舐めるんじゃないわよ……!」
ミスカが空中を掴む様な動作をすると、空中に穴が穿たれた。
そこから緑色の煙のようなものが勢いよくラーギラへと噴出された。
「危なっ!!」
ラーギラが身をかわすと、煙が吹き当てられた場所が解けていく。
どうやら酸の濃霧のようだった。
思わずそれに冷や汗を流す。
(やばい、”開門(オプーテルト)”か……!)
開門(オプーテルト)とは、召喚魔術のひとつで様々な世界の扉を開き、そこから必要な物体や現象を呼び込むという高等魔術だ。
”異世界の扉を開く”といっても生き物が生息しているような世界でなく主に物質世界という何かしらの物体しか存在しない世界の門を開く。
今回開かれたのは、酸が存在する世界への扉のようだ。
「開門(オプーテルト)、酸世界の扉(リュース・ディッシュ)!!」
次々にラーギラの周りに酸のブレスがビームのごとく放たれていく。
ラーギラは攻撃を持ち前の身軽さでかわしていくが、数が多すぎた。
いくつかは命中し、彼の魔法防壁(シールド)を破壊していく。
(くっ……間に合ってくれよ)
ラーギラは詠唱しながら、ミスカへと近づいていく。
飛び石のように攻撃されない場所を見抜ながら、まるでサルのように彼女へと距離を狭めていく。
「早い……!」
ミスカが短く詠唱を行うと、彼女へと続く道の周囲に岩でできたトゲが現れた。
攻撃ルートを封じる為の一手のようだ。
「甘いッ!!」
ラーギラが大型ナイフを振るうと、一瞬で岩のトゲ達が薙ぎ払われた。
強風が周囲を突き抜け、ミスカの頬を鋭く撫でる。
その時、彼女はラーギラの力が何かわかった。
(これは、風の魔法! こいつ風使いなの?)
更にラーギラが追撃を行うべく、突っ込んでくる。
ミスカはそれを視認すると共に、迎撃の魔術を放った。
「赤の罫線(ヴィラズ・ゴート)!!」
彼女の人差し指の爪が赤く輝き、それをさっと振り抜くと巨大な赤色のエネルギーが前方に放たれた。
突っ込んできていたラーギラは、それを防御しようとしたが、飛び込んできていたため反応できなかった。
「うっ、しまっ―――!!」
ナイフごと身体に赤い線が引かれ、彼の身体が切断された。
ミスカはそれを見て勝利を確信した。
だが、ラーギラの姿が霧のようにかき消されていく。
「えっ、まさか……フェイント―――」
背後からミスカの身体に刃の一撃が命中した。
激痛と共に、彼女は咄嗟に前方へと飛んで距離を取った。
攻撃された方向を確認すると、不敵にほほ笑むラーギラの姿があった。
「くっ……まさか、ここまで早いなんて……!」
魔術壁(ソーサル・ウォール)のおかげで致命傷ではないが、多少は刃が通ってしまったらしく背中から生暖かい血の感触がした。
ラーギラからも、やっとの攻撃であったらしく、離れていても息が上がっているのが確認できた。
(油断ならないわね……思ってたより手ごわい)
「強いね、流石公官だ。3属性……いやもっと使えるのかな? そんなにうまく複数の力を使える人はなかなか見ないよ」
ラーギラが「予想以上だ」と言いたげなセリフを投げた。
それを聞いて、ミスカは少しだけ深呼吸をして言い放った。
「あんまり本気は出したくなかったけど……あなたが相手だと、手は抜いてられないみたいね」
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