第60話 名脇役

 ミクリはポケットからごそごそと何かを取り出すと、加恋にかけた。

「何それ?」

「聖水だよ。こいつをかければ生贄じゃなくんなる」

 聖水をかけられた加恋の身体から、徐々に光が消えてゆき、やがてどさりと落下した。

「ミクリ、貴方いつの間にそんなものを……」

 耳元から聞こえる女性が腹立たしそうにそう呟いた。

「民の意見は決まっていた。責任を取ってもらいますよ」

「ああ……」

 ミクリは頷くと、まるで状況を理解できないない俺たちなんかまったく気にせずに宣言した。

「俺がかわりに生贄になってやる」

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