【快報】第3使徒・プレアはついに悟リの領域に

ハイエナの錬金術師《ノリスケミスト》

 翌日、【ジェミナイの街】を拠点としたレベル上げが始まった。

 この街に集まる冒険者のレベルに相応の、歯ごたえあるモンスターやクエストが相手となる。まあ言っても実際にあたるのはほぼデネブとソアラなんだが。

 俺は「格闘技系の部活の漫画で、頭数あわせのためだけに大将へ据えられたキャラ」のポジションで、基本的に出番なし。あいかわらず経験値稼ぎのためにとどめだけ刺す係を臆面もなくひたすらこなしている。

 俺じゃなかったらこんなハイエナの錬金術師ノリスケミストを黙々と続けられないぜ? 普通の奴なら自尊心がずたずたになって使命を投げ出していることだろう。フッ、選ばれし勇者・アルタイルことそら様だからこそなせる偉業と言え「勇者様、ぼんやりなさらず早くとどめを指していただけませんか」「は、はいっ」


 我が忠実なる第一使徒に指示されて、俺は犬ぐらいあるでかいトカゲに剣を叩きつけた。ゲッという短いうめきとともに、緑のえぐい色をした血しぶきが散る。草の上でモンスターがこときれ経験値が入った。


【アルタイル:経験値+二・四】


 おお、ついに二・〇の大台を突破したぞ。へへっ、デネブさん、やりやしたぜ、と言わんばかりの顔で従僕におもねる。

 魔法少女もとい魔道士の少女は、額に手のひらを当てた。ピンクのデカリボンと黒髪を左右にゆらして、はあぁぁーと深々、ため息をつく。「レベル十の【グラスリザード】にとどめの一撃を与えて二・四……」

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