【朗報】クエストの一覧をながめているうち、なぜか謎の優越感が湧いてくる
家のなかは不自然に静かだった。
さっきの俺の呼びかけが聞こえなかったはずはない。なぜ親父も妹も来ないのか。
俺は不安と怒りをないまぜにして親父の部屋に向かい、感情をぶつけるようにドアを開け放った。
――どうしてそれを予想できただろう。
その信じがたい光景に、俺は棒立ちするほかなかった。
*
たらふく食って胃袋の奴もごきげんになった。いや、食いすぎだと苦情がきているぐらいだ。
食材も味つけもなじみがあって、まったく異世界感がないのは肩すかしだったな。まあ、怪しいゲテモノを出されるよりはいいが。普通にうまかったし。
お姉さんのアドバイスに沿って、店の奥、隅のカウンターに行ってみた。
さっきとは別のお姉さんが座っていて、暇をもてあますように髪の毛をくるくるいじっていた。
カウンターのすぐ横の壁にはびっしりと紙が貼り出されている。クエストの依頼だ。
モンスター討伐から旅の護衛、届け物、子守の依頼までなんでもありだ。それぞれに
たいていのものが最低ランクだが、そのぶん報酬も数千イェンと安い。少しお高めで一万前後。二万以上なんて数えるほどしかない。この辺は駆けだし冒険者向けの街に似つかわしいラインナップか。
近辺に出没するモンスターも低レベルみたいだし、俺でもどうにかなりそうな楽勝っぽい案件がずらり。ちゃんとしたスタート地点から始めれば、普通のRPGのセオリーどおり、ことは運ぶようにできてるってことなのかな。
そこここで無駄飯かっ食らって酒飲んでげらげら笑ってるザコの皆さんでも冒険してらっしゃるんだ。勇者サマの俺ならちょいちょいっとレベルを上げてってガンガンにステが上昇、一気に無双プレイ。案外、どうとでもなりそうな気がしてきたわ。
しょぼい案件を謎の上から目線で流していたとき、ひとつ、明らかに場違いなクエストが目にとまった。
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