えーと、わく止まはいいんだが、微妙に異世界っぽくなくね? つーかある意味日本だよね、ここ

『魔道具屋 - 買取強化月間』

『武器専門店 - 他店購入の剣も修理します』

『防具店 - 全盾三十%オフセール中』

『書店 - 八十部突破! 話題のベストセラー魔導書入荷』


 って全部日本語かい! 全盾三十%オフじゃねえよ。異世界情緒どこいった。


 そういや、今まで普通に会話してたけど、よく考えたらここ異世界じゃん。なんで思いきり日本語通じてんだよ。もっと早く気づけよ、俺。お姉さんのパンツ覗いてる暇あるなら。

 そりゃ、ちんぷんかんぷんな言語よりはありがたいが、変に日本っぽいと風情ってものがないっつーか。フランス行ったら現地の人が日本語の看板出してたこ焼き売ってたぐらい萎える。海外行ったことないけど。


 なにはともあれ旅支度だ。俺は迷わず防具屋に入った。RPGでは武器よりも防具を充実させるタイプだ。よくいえば慎重、悪くいえば臆病だ。

 店内はコンビニの四分の一ほどと狭かった。薄暗くてよけいに狭っ苦しく感じる。客はおらず、店主のおっさんが暇そうに髭をいじっていた。

 店のなかを見回してみる。棚、壁、木製の台とあらゆるスペースに、種類も材質も異なる多種多様の防具が陳列されていた。なにを買っていいか目移りする。

 ひときわ目を引く鈍色の頑丈そうな鎧に近寄った。触ってみたり指で叩いたりしてみる。おお。鎧なんか触ったの初めてだ。【鋼の鎧/防御力:二十四】だってよ。これならあのゴブリンの攻撃だって――と興奮気味に値札を見て俺は固まった。

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