ある少年の通話内容、そして終了時

 ……と、いう訳なんだよ。いやぁ語った語った、口ん中が砂漠並みに渇いているよ、俺。


 いや、悪かったって。俺もこんなに時間掛かるなんて思わなかったよ。でもさ、龍一郎に全部教えて貰った時も、こんぐらい時間掛かったんだぞ?


 何、俺はどうだって? 馬鹿、違ぇよ。いや、本当にモテるんだって、本当に本当。嘘じゃないって。この前も金花会って集まりに行ったら、次々と女が集まって来て……。


 カモ? 違う。


 え、龍一郎? あれは……どうなんだろうなぁ、《代打ち》やってまーすなんて、自分から言うようなタイプじゃないしな。でもまぁ、やっぱり花ヶ岡は女だらけだろう? あっと言う間に「ヤバい勝負」に勝ったって事、広まったらしくて……。


 あぁ、大変そうだよ。依頼っていうのか、そんなのが引っ切り無しだ。でもアイツは格好付けているのか知らんが、「内容を精査してから受ける」、だとさ。


 脱線したな……龍一郎の女性事情、だったな。


 噂程度では色々と聞くが、この俺が太鼓判を押す説は、「同じ代打ちの女子」……だな。これは信憑性高いぞ、実際に俺もその子を見たが、まぁ可愛い。龍一郎がいなければ、俺がお願いしたいくらいだ。


 まぁ、アイツとは親友だからね、俺は。現状、キチンと付き合っている女はいないらしい。あの子とも、今は友達以上恋人未満、って感じだろう。


 一つ、恋愛マスターの俺が首を捻るのは、アイツ、だと思ったんだがなぁ。ああいう危なっかしいタイプは、優しいお姉さんに支えられた方が良いんだよ。偉そう? うるせぇよ。


 いや、全くおかしな高校だよ、ここは。長々自分で説明していてさ、やっぱり変だなって思うよ。授業の合間合間で賀留多をやろうとする奴ばかりだし、売店はドンドン賀留多コーナーを増やしているし……。


 でも、今んところは楽しいぜ? この高校。龍一郎もいるし、極道みたいな顔した奴もいる。皆良い奴だよ。


 ……さて、そろそろ寝るかなぁ俺も。


 え、何? やりたいのか、花札。いやぁ、仕方無ぇなぁオイ!


 今度教えてやるから。な! 俺が丁寧に――。


 は? 女子? 呼べねぇよ! いや、沢山いるし連絡先も知っているけど、それでも呼べないんだよ! 嘘じゃないっての! さっきから嘘だ嘘だって、失礼極まり無いな!


 何? 本当の事だから謝らねぇって? あーなるほど、なるほどね、すっごい腹立っていますよ、これは。


 あぁ、分かったわ俺。こういう時なんだな、《代打ち》を呼ぶのは!

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