共同作業
ミルが帰ってくる頃には部屋の中を散策し終えていて俺は段ボールの上をゴロゴロしてい、、た。前日氷の上にシートを敷いて寝ていたので普通の床と段ボールが柔らかく感じる。
「お、おかえりミル。なんか整理はついたか?」
「はい。ココはホイホイと誰かを組織内に引き入れてるわけではないとわかってよかったです」
「そうだよな………もうここは外の世界…自分たちの身を自分たちで守んなきゃな」
しばらく缶詰などでゆっくり食事をしたり、寝転んだりして屋内という環境を楽しいるんでとドアの叩れる音がした。俺はミルと顔を見合わせ、ドアを開けるとそこにはココが立っていた。ツルハシを腰につけてコートを重ね着している。
「とりあえず2人に手伝ってもらう作業の説明しに行っても良いかな?」
ココは俺たちを見上げた。ならばと俺とミルは早速マントと手袋を身につけてツルハシを腰に装着し外出の準備をする。
部屋から通路に出ると少し気温が下がる。屋外はより寒いだろう。一旦中の快適さを思い出してしまうとまた外に出るのはなかなか辛いものがある。そんなことを知る由もなくココの足取りは軽やかだ。
歩くたび埃舞う通路を彼女は楽しそうに歩いていく。ここまでくるときに気づいたがココと同年代がこのショッピングモールにはほとんど住んでいなかった。同年代というだけで少し嬉しくなってしまうのは俺にも経験がある。
ショッピングモールから出て、コンクリートの地面に踏み出すと一気に冷気が俺たちを襲う。マントをおさえ、壁のありがたさを身に感じながら俺たちは氷壁に近づいた。
「ボクのツルハシでも削ってはいるんだけどさ。なかなか進まないんだ」
氷の壁にはいくつか削ったような跡が残っていた。引っ掻き傷のように残るそれらからはココが努力してツルハシを振るい、資源を取り出していたことがわかった。
「電化製品系はもうショッピングモールにあるんだ。今掘り出したいのは発電機だとか缶詰とかなの」
ココは氷の壁に目を細めて顔を近づける。うっすらと見える直近の資源はおそらく形からして電化製品だ。俺とミルの国では電化製品がかなり重宝されていたのでギャップを感じた。するとミルがツルハシを氷に打ち付けた。
「ミル?」
「割と硬いですねここの氷…発電機だとか見つけて掘り出すにしても難しくなります」
「どうして?」
「氷が硬ければツルハシを強く打つ必要がある。しかしそれでは資源を傷つける恐れがある。闇雲に強く削っていけば良いのではありません」
「た、たしかに…ボク結構資源傷つけたことあるな…」
「まずブロックみたいにくり抜いてアイスピックかツルハシでコツコツ細かく削る感じだな、デリケートな資源は」
俺もベテラン感を出すために口を出す
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