協力

 作業を完了させた氷鉱夫たちは二つに分かれていた。カゲトたちははガール氷鉱夫団のメンバーであつまり泣きながら肩を抱き合う。


 そして俺は協力してもらった自国の氷鉱夫に集まってもらっていた。発電所をバックに俺は彼らに頭を下げた。


「みんな本当にありがとうございました!助けたいって言う俺に付き合わせたのに」


「それは違いますよ」


 ミルが彼らの中から一歩踏み出し俺の顔をグイッと半ば無理やり上げさせた。不思議に思っているとミルは少し俺に顔を近づけた。


「な、なに…」


「きっかけは確かにマインの助けたいって意思ですが…それはただのインスパイアです。私たちがここにきたのは私たちもマインと同じように助けたいという意志があったからだと思います…少なくとも私はそうです」



 語末に少し自信なさそうに付け加えるとミルは少し後ろを振り返った。しかし誰もミルの言葉に首を横に振るものはおらず、それを見て少しミルは安心したみたいだ。


「マインの力になりたい…ってのもあるけどさ。やっぱり困ってるなら助けたいよね」


ノルダもにこりと笑い、俺の前にやってきた。それにクリヤもひょこっと顔を出すようにして近づいてくる。


「そうそう!氷鉱夫の協力ってのは多分あれだよ…えーと…」


「意志誰かに合わせるんじゃなくて、同じ意志を持つもの同士が手を取る…って感じかな」


「それ!ありがとうノルダ!」


「どういたしまして」


 ノルダが再びにこりというとクリヤは嬉しそうに笑った。そして2人は俺とミルを巻き込むようにして肩をくんだ。


「さぁ、そろそろ帰らないとだ隊長や、グレンさん、ツドラルさんに怒られるぞー」


クリヤの言葉に俺とミルはキョトンとする。すると後ろからカストルフさんがこれまた笑いながら。


「ここにいるメンバーの空きはグレンさん、ツドラルさん、斥候部隊の隊長さん…そして雇われた流氷のリーダーの…確かマックスさんが補ってくれてるのさ」


「グレンさん、ツドラルさん…」


ツドラルさんにはカゲトを助けようとしたときに遠回しな助言をもらった。「2人だけでは無理だ」と。だから俺はこうして皆に協力を仰ぐというアイデアを思いつけたのだ。


「ほんっとうにすごい氷鉱夫だよな…」


 10年かかっても勝てそうにない、氷鉱夫に圧倒的先駆者だ。でも絶望はしない。仲間と協力して刺激し合えばいつか追いつける。いや追いつく、そう心に決めた。




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