最速
「ミル!よかった…ありがとう!」
「ハイリスクすぎます…マインの作戦は」
「うう…ごめん。でも!めちゃくちゃでかいリターンが来た!」
ミルは驚いた顔をした後俯いてしまった。自分でも少し恥ずかしいことを言った気がする。
「で?ここからの作戦とか考えたんですか?マジックアイスはすでに各個撃破に戻ってます」
「まぁ一応な。こっから国内マジックアイスを見つけて推進力で突っ込む」
「はあ?ワープされたらどうするんですか」
「1番早い攻撃じゃないとこっちがもたなくなるワープされる前になんとか」
国内のあちらこちらから悲鳴や戦闘の音が聞こえてはきえている。マジックアイスの作戦がどハマりしているのだ。
「グレンさんのようなパワーやスピードはないですよ…私たち」
「パワーのヤバいやつなら俺の目の前にいる」
「………そういや最近スピードを身につけた奴が目の前に………」
半ばやけのような作戦だ。作戦と言っていいのかもわからない。ツララ塔の先端からマジックアイスの位置を特定、ミルによる超パワーツルハシアンカーでなげてもらい、推進力で突っ込む。
「滑空の最中俺は無線機に向かってサポートを呼びかけ続ける。繋がったら誰か助けてくれるかもしれない」
「……着地は?」
「頼んでいいか………?」
「………いいでしょう…追いついてキャッチして見せます…」
俺は再び息を吸いゆっくり吐いた。言ってしまえば氷鉱夫の戦闘はビジネスの一環だ。産業としてしっかり氷鉱夫は保護されている。こんなイレギュラーが起こるなんて思っても見なかった。
「………マジックアイスはいま工場の方にいます…戦っているのは…カストルフさん」
「継戦能力特化のカストルフさんなら時間を稼いでくれるはず…いくぞミル!!」
ミルの体から熱を感じた。筋が浮き上がり、ミルのツルハシをが振動している。ツルハシにためていたパワーを身体に戻して身体能力アップ、よく身につけたものだ。そしてツルハシ自体に残るパワーも使うことができるらしい。
「投げますよ!」
「OK!労災降りてくれよ!!」
ミルはツララ塔の先端に腕を固定して、俺のツルハシをと自身のツルハシを引っ掛けた。そして勢いをつけハンマー投げのように工場の方へ投げる。
「はぁぁあ!!」
猛禽類の視点とはこんな感じだろうか、周りがほぼ線である。カラフルな線が前から後ろへと流れる。いまだかつてないスピードで俺は工事の方へとうちだされた。
「わぁぁ!!!そ、そうだ無線!」
国を横断しているのだからどっかでつながるだろう。
「マインです!突っ込みます、サポートよろしく!!」
これだけで状況を把握できる氷鉱夫は何人いるだろうか。把握したとしてもサポートなんてできるだろうか。いや、そんなことは考えても仕方のないことだ。信じるのみだ。
「推進力発動!!カストルフさん!!避けて!」
工場でマジックアイスとタイマンをはっていたカストルフさんはこちらを向き、まじか…というような顔をした後後ろへと飛んだ。流石の思考の速さだ。
「突っ込むってそういう…」
しかし後100メートルというところでマジックアイスは俺に気付いてしまう。
「やばいっ………ワープされ…」
「資源保管庫に来たわよ!!」
無線機にたまたま繋がったマリーナ姉さんの声だ。マジックアイスは資源保管庫の方に行ったらしい。しかし俺はこのままでは工場に激突する。
「全くとんでもない後輩がいたもんだ!!もう一発いくぞマイン!」
「は、はい!」
高速で突っ込む俺にカストルフさんはツルハシを向けた。カストルフさんの真横を通り抜ける一瞬。俺のツルハシに自らのツルハシをひっかけハンマー投げのように投げかえす。
瞬く間に突っ込む方向が変えられた俺は思考がまとまらないまま資源保管庫の方へと向かった。スピードもどんどん上がっている気がする。
しかしマジックアイスと戦うマリーナ姐さんがみえたと思うと再びワープしてしまう。
「またかよ!!」
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