勝利
「展開包囲斬撃!!」
ノルダの放った複数の斬撃はお互いにあたり、跳ね返りボルターの四方を囲む。鎌のよう攻撃を見るや否やボルターはその場から離れようと横っ飛びに移動する。
しかしボルターの体は何かにあたったように
止まってしまう。
「そこはカフェの壁だね」
ボルターは透明化されたカフェの壁に阻まれ移動に失敗、被弾する。相手のホームでは建物の位置が把握しきれない、ましてそれが透明なら尚更だ。
「じゃあ私がいっちゃうよ!」
透明化の解けたカフェの壁によりかかり、立ちあがろうとするボルターは視界にクリヤを捕らえる。しかし再び溶けるようにその姿が見えなくなる。
「ボルター!右だ!」
ポーンがクリヤの出現位置を言っても時すでに遅し。ボルターが反応した時にはツルハシが打たれている。
不規則に不可視化する建物と相手にボルターは能力の全て防御につかわざるを得なくなっていた。ノルダが攻撃し、クリヤが意表をつく。
「もういっちょ!」
クリヤが再びあたりを透明化すると浮いているような感覚がまたボルターを襲った。対抗したボルターは範囲的に電撃砲をあたりに撃ち始める。
「落ち着くんだボルター!」
ポーンから焦りの表情が見え始める。あたりに電撃があたりに閃光が迸り味方のポーンでさえもボルターに近づくことができなくなっていた。
ノルダが電撃砲を掻い潜りクリヤと共にツルハシを構えた。紆余曲折のように見えるが1番スマートなやり方。直接的に攻めているだけではこの隙は作れなかった。
「うわぁすっごい!電気バチバチでもう気取れないね!」
「コゲの匂いによって探知されない、バチバチで足跡も聞こえない、もうクリヤさんは無敵だ」
クリヤはボルターに接近する。彼女にあたろうとする電撃、触手、は全てノルダが後ろについて叩き落とした。
「ボルター!避け」
「もう遅い!」
閃光のトンネルを抜けた直後、クリヤはの背中を押し距離をゼロにする。クリヤはその瞬間自らを透明化し体をひねりツルハシを打った。匂いも足音もツルハシの音もクリヤの姿もツルハシの打たれた方向も完全にインビジブル。
ガード不能のな攻撃を使いこなす2人の前にボルターはその体制をくずして気絶した。
「資源保管庫はこの国の大切なものだからね、攻め込ませないよ」
「そうだそうだ」
2人は少し息を整えるとそう言い放った。
ポーンはというと味方の戦闘不能をしばらくぽかんと眺めていた。氷鉱夫2人にやられるとは思っていなかったのだ。しかししばらくするとその腰を下ろして手をあげた。
「ふむ…彼我の戦力を見誤ったな…私の負けだ…素晴らしき氷鉱夫よ…!」
諦めの表情を見せたポーンはその場にポーチを置いた。中にはサポートアイテムのキューブが入っている。
「ずいぶんあっさりだね」
「目的のために戦い、負けたものは仕方ない」
ポーンはボルターのそばに腰掛け、残った手持ちのキューブを2人に投げてよこした。
「まだ仲間はいる…彼らを信じてここで待つことにしよう」
「ねぇ…なんで攻めてきたの?」
クリヤが首を傾げて尋ねた。ポーンは目だけクリヤの方に向ける。
「資源不足だな…単純に…我々流氷も…ヒョウの国も…だから手を組んだ…」
「外交しようとは思わなかったの?」
「…はは…余裕がなかったのさ…ヒョウの国は技術も人口もあるが…余裕がないのさ…」
2人は政治に精通しているわけではない。だからこれ以上は何か言うつもりはなかった。ノルダとクリヤはポーチから一本ずつ栄養バーを取り出し、ポーンの近くに置いた。
「おいおい私は敵だぞ?」
「でもキューブがもらっちゃいましたし…暇でしょ?決着まで」
2人はそういうと資源保管庫の前まで移動して防衛を続ける。ポーンは2人を見て少し目を閉じた。
「暇…か。そうだな、余裕があるのはいいことだ」
ポーンは資源保管庫に向けて叫んだ。何かつきものが取れたような感じがしていた。ヒョウの国と組んでから何か引っかかっていた気がしたのだ。資源不足で余裕がなくなっていた。
「そこの2人!私の仲間は強いぞ!!」
「こっちの仲間も頼もしいですよ、何よりまっすぐだ!」
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