勝利

 協力して攻めても勝てるかどうかの相手だが俺たちは戦いの手を緩めない。だんだんと相手の動きに対応し、全力のツルハシ攻撃でなんとか氷の刀と撃ち合うことができるようになってきた。


 相手の攻撃を避けてすぐに相手の氷の刀を打つ。それを2、3回繰り返すと氷の刀から氷片が溢れるようになってきた。


「今だミル!」


 ミルのツルハシの力は氷の壁に打てば見えてる部分ほとんど飛ばしてしまう威力だ。ミルのツルハシの刃が氷の刀と鍔迫り合いになる。


 「はぁぁあっっ!!」


ミルは全身をつかって氷の刀にツルハシを押し込んだ。しかし相手の氷の刀は2段階で攻撃をしてくる。ミルのツルハシが受け止めているのはまだ一撃目だ。



 追加効果の二撃目では氷の刀が振動するように動き、鍔迫り合いをしているミルにさらなる負荷をかけてくる。


「う……!」


 ミルが痛みに顔をしかめた。溜めていたエネルギーを使っての攻撃は一撃の威力は高いが2段階目は自力で耐えなくてはいけない。


 ミルは押しつぶされそうな体制でなんとか刀を受け止めうていた。ミルの負担を少しでもや早く減らすため俺は素早く技を発動する。


「推進力発動!!」


 狙うは氷の刀ではなく相手の腕だ。氷の刀を手離させることができればこちらは有利になる。


 潜り込むように姿勢を低くしツルハシをかち上げる。弾かれるように氷の刀は手を離れ宙をまう。その隙を見逃さず刀のハイプレッシャーから解き放たれたミルと共に一気に懐に潜り込んだ。


「うらぁぁっ!」


二つのツルハシが風をうならせ、直撃。するかと思われたが意外なものには阻まれた。


「俺もいることを忘れるなよ」


まさかカゲトが守護者の前に躍り出てツルハシでガードをするとは思っても見なかった。驚きで一瞬固まったが、すぐさま距離を取った。

守護者のもう一振りの氷の刀が近づいていたからだ。


「随分と体を張るな!」


「言っただろう!目的のためなら全力だ!」


カゲトが腰のポーチに手を入れたのを見て俺はとっさにその場から動いた。キューブは殆どが相手に不利益な効果を与える。轟音、閃光、ネットまともに食らうことはできない。


「ミル距離を詰めるぞ!」


飛んでくるキューブを見越し、俺は守護者の懐に近づいた。カゲトは味方の守護者を巻き込むわけにもいかず、投げようとしたキューブを引っ込めた。


「推進力発動!!」


 懐からのアッパー。まともな一撃は貴重だ。しかし倒すには至らない。残った方の氷の刀が俺に近づいてくる。


「バースト!!」


 ミルの掛け声と共に放たれた強化攻撃が氷の刀を受け止め鍔迫り合いが始まった。しかしこの守護者の能力は2段攻撃、一撃目を止めてももう一度衝撃が氷の刀から放たれる。


「2発目は俺が止める!」


 ミルの止める氷の刀にツルハシの鉱技でスピードの上がった攻撃を打ち込む。ちょうどその瞬間、守護者による2段階目の衝撃が打たれた。



 打ち消しあった俺の鉱技と2段階目の衝撃により俺のツルハシと氷の刀は宙を舞い、商店の壁にあたり落ちる。


互いに武器をなくした状態。否。こちらには三手目があった。カゲトが近づいてくるが彼の防御はもう間に合わない。


「三手目…!」


「こんだけ近づけば周囲の被害もありませんね」


こちらの最高火力であるミルの突風攻撃が充填されたエネルギーをもとに打たれた。ミルと相手の距離はほぼゼロだ。商店を巻き込む心配もない。 


 ツルハシの勢いで発生する風により押し出され揉まれながら商店郡に衝突し、相手はついに倒れた。


「やった…!すごいよミル!」


「は、はい…でも流石に疲れが…」


商店の傷も最小限だ。ツララ塔の方にもいかせず作戦は成功だと言える。しかし防具はほぼ意味をなさない状態となり、打撲、擦過傷が多く次の相手は厳しくなるだろう。


 カゲトは目の前の光景にその場にうなだれて座り込んだ。パワーアップ、治癒のツルハシなは気絶していては意味をなさない。



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