再戦
ツララ塔は経済、産業の要である。ここを守ることは国を守ることにつながる。
青く高くそびえ立つ塔の周りにはテントが張られ、その中に避難した人々が隠れていた。
隣の国ヒョウ、流氷が資源を狙って攻めてきている今、氷鉱夫以外は避難せざるをえなかった。人々は皆各々ののやり方でテント内での心細さを紛らわしている。
俺とミルが守るべきテントとツララ塔の近くで戦闘をするわけにもいかず、すこし離れたところに2人で立つ。
「隣の国から攻めてくる以上この格子状の商業施設群を抜けないとツララ塔にはいけません」
「入り組んでるから迎撃にはピッタリだな」
「ちなみに先程ツドラルさんから通信があり、今バリヤー内部にいる相手を目視で確認したそうです」
ツドラルさんとグレンさんはクリスタをたおし、バリヤーをとく途中相手の視察をしてくれていたらしい。
戦力が未知数なのよりすこし情報があった方が気持ち的にもいい。
「どんくらい内部に?」
「こちらに向かう動きを見せているのは流氷1人人、隣の国の氷鉱夫1人と守護者が4体です」
「4?少なくないか?」
「バリヤーの外にも氷鉱夫がいます、その相手をするだろうし内部に入ってきている守護者たちはクリスタの護衛もしているのでしょう」
バリヤーを発生させているクリスタは相手にとっては作戦の重要なポイント、守りを固めるのは当然だ。
そして氷の壁付近の戦線にも戦力をやると4体は不思議ではないように感じられた。
「でもその四体は…裏を返すと四体で事足りるようなパワーを持つということです」
冷や汗が垂れた。四体の超強力な相手、今までの相手もかなりキツかったのを思い出すと緊張を隠せない。
もちろん四体はすべてが来るわけではない。おそらく二体ずつツララ塔と資源保管庫だ。だからと言って余裕と言えるわけはない。
この格子状の商業施設群を駆使して、ホームの有利を考えても勝てるがどうかは五分五分だ。
「でも守らなきゃ…いっぱいもらったしな今まで」
氷鉱夫として成長できたのは氷鉱夫の仲間たち、ツララ塔、そして国の人々のおかげだ。ツルハシを作る人、氷から取り出したものを買ってくれる人。どこが欠けても俺はここにいないだろう。ミルもそうだ。
「そうですね…私たちの恩返し相手に丸ごと喰らわせましょうか」
ミルはドンと自らの胸を叩いて深く息を吸った。俺もそれに倣い、ツルハシを構える。
前方から見覚えのある人物、隣の国の氷鉱夫であるカゲトが歩いてきていた。鎧を着こみ、ツルハシを二つ腰に下げたカゲトは俺たちを見つけるとピタリと止まる。
「またあったな…2人で俺たちの相手をする気か?」
「そうだ…ツララ塔には手を出させないぞ」
カゲトは両刃の色が違うツルハシを腰から抜き、真後ろに控えた初見の守護者の横にに立った。
カゲトのツルハシは治癒の刃、パワーアップの刃など付け替えが可能だ。そして流氷と組んでいるので音のキューブなどサポートアイテムも持っているだろう。
「守り切ってみろ…俺たちは目的のため全力でツララ塔に攻め入る!!」
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