切実な想い

愛してたんだ

本当に、心の底から

ただそばにいるだけで嬉しくて

触れたりすることが冒涜に思えた

だいじにだいじに

過ぎていく時を共にしていたかった


そうやって

ダメにしてしまったものの数々が

記憶の淵からふわっと現れる

鼻腔に甘い香り

この手に幸せな重み

この心に所有したときの喜び

そして、時を経て

もう唇に触れられない絶望


本当に愛してたんだ


国産大豆とにがりで出来た厚揚げ

頂き物でしか手に入らない高級果物

飼料に配慮された長期肥育の豚肉

そしてそれで作られた無添加ソーセージ

艶やかでぷりっと新鮮な地魚


まだまだまだまだある

ひとつひとつ挙げていたら

きっと夜が明ける


愛したものが

色を変え糸を引き

変な汁が出て異臭を放つ

ふわふわしたものを生やして

持ち上げただけで崩れる

あの悲しみ


もったいなくてすぐには食べられず

美味しいものが今

私の手元にあるという思いだけで

幸せな時間を過ごして

そして忘れてしまう


学習能力が低くて

多分死ぬまでこういうことを繰り返す

こんなおバカが私なので

どうにもこうにも仕方がない





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます