エリシャに恋して

第110話 エリシャ 神に是認される

 紀元前910年代、エリシャは、風あらしに運ばれたエリヤにならって最初の奇跡を成し遂げました。エリヤの職服を着て、堂々とした態度でベテルに向かっています。ベテルとは「神の家」という意味があり、エルサレムの近くにあります。


 エリシャは農夫出身の預言者です。「神様に選ばれた事実をイスラエルの民に知らせたい!」

 そんな思いでベテルに向かいます。


「ハゲ頭、上って行け!ハゲ頭上って行け!」


 どこからか聞こえる声。エリシャは辺りを見回します。ハ、ゲ、あたま?誰の事?


「はげ頭上って行け!はげ頭上って行け!」

 今度ははっきり聞こえます。声の主も確認できました。40人以上の子供たち声です。


 はっ、げっ( ゚ロ゚)!!、頭。なんと、私の事だ!


 子供たちは、エリヤの職服を着ているエリシャをからかったのです。「エリヤのように天に上ってしまえ!」「早く、高地にあるベテルに上れ」

 

 エリヤにいつもくっついていたエリシャ、子供たちの親はいつもエリシャの悪口を言っていたのです。


 ここで教訓。親は子供の前で決して他人の悪口を言ってはなりません。

「あのハゲ部長、頭にくるな!」

「ミーちゃんのママ、まだブタさんよ」

子供たちは純粋です。悪口を吸収してしまいます。そしていつか、当人に言うのです。


 エリシャにとって、ハゲ頭はコンプレックスだったのでしょう。仕方ないよ、畑仕事で日光浴びて汗かいて、いや、遺伝でしょうか、知らんけど。

  

 エリシャはお怒りモード。神様に選ばれた私、預言者を侮辱し敬意を示さない奴らは許せない。


 お仕置きタイム。エリシャは子供たちに災いがあるように祈ります。

「神様、私は好きでハゲているわけではありません。帽子かぶっていいですか?あっ、蒸れるか。それに、この毛皮の職服、あせもになるんですけど、メッシュにしてもらえませんか?」妄想。


「私が正当なイスラエルの神の預言者であることが、イスラエルの民に知られますように、神の是認を受けた預言者であることを……。」


 エリシャが祈ると、森から2頭の雌熊が出てきました。熊は42人の子供たちを引き裂き、殺します。ホラーだ。42人全員御臨終。残念。

 

 エリシャは子供たちの悲鳴をどんな思いで聞いたのでしょうか?ある意味サイコパスです。


 しかし、神のお名前が汚される事が一番悔しいのです。エリシャをバカにするということは、神を侮る事になるのです。


 殺された子供の親たちは、イスラエルの神の恐ろしさを知った事でしょう!そしてとても辛い仕方で、エリシャが神に是認された預言者であることを確信させられたのです。


 エリシャは今度こそ、堂々とベテルに上ります。預言者としての務めを果たすために。


 エリシャがんばれー!


 


 

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