第96話 サムソン 破滅
しきりにせがむデリラに降参して、サムソンはついに自分の心の全てを明かしました。
「かみそりが私の頭に当てられた事はない。私は母の腹にいた時からの神のナジル人なのだ。もし、私の髪の毛がそり落とされたなら、私の力も必ず私から去り弱くなる」裁き人16:17
デリラはすぐに人をやって、フィリスティア人の枢軸領主を呼びつけます。彼らはお金持参でやって来て、奥の部屋で待機します。
サムソンを膝の上で眠らせるデリラ。なぜサムソンは警戒しなかったのでしょうか?
愛するデリラを信頼していたのでしょうか。まさか、お金を貰って自分を裏切るなど思っていなかったでしょう。3度もフィリスティア人に捕まえられそうになったのに。サムソン警戒心ゼロ。
サムソンがぐっすり眠ると、デリラは人を呼んで、髪の毛を切り落とさせました。
「サムソン、フィリスティア人が来ました!」
サムソンは目覚めて力を出そうとしますが、弱くなっています。全く力が出ません。
奥の部屋で待機していたフィリスティア人は、サムソンを捕まえ、両目をえぐりとりました。盲目にしてガザに連れていきます。
銅の足かせをして、獄屋に入れ重労働させるのです。怪力サムソンなら、簡単に粉引きの仕事が出来たでしょう。しかし力は奪い去られ、目の痛みもあるでしょう。かわいそうなサムソン。
身の破滅です。サムソンはデリラに裏切られました。獄中で粉を引きながら、後悔したことでしょう。生まれながらのナジル人の誓いを簡単に破ったのですから。神様との特別な関係を失いました。
裁き人として従順な時は祝福がありました。デリラの誘惑、圧力に耐えきれなかったサムソン、
不幸になっていく――生き恥さらしてる現実。
フィリスティア人は歓喜にわきます!仲間を殺したあのサムソンを捕らえたのですから。
「我々の神が敵のサムソンを我々の手に与えてくれた!」
フィリスティア人は、自分達の神様、タゴンに犠牲を捧げ、狂喜乱舞します。
仲間を大勢殺したサムソンを今や、奴隷として重労働させているのですから。枢軸領主達はポケットマネーまで支払ってるのですから、こんな愉快な事はありません。
イスラエルの裁き人サムソン。やはり自分の民をフィリスティア人の支配から解放させられないのでしょうか?
タゴン神殿は、まだお祭り騒ぎです。3000人以上のフィリスティア人が集まっています。
そろそろ余興が始まります。
「サムソンを獄屋から出して、みんなの前で戯れ事を行わせよう」枢軸領主が叫びます。
盲目の主役サムソンは、三千人の群衆の前に引きずり出されて来ました。
サムソンがんばれー!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます