第95話 サムソン デリラ登場です!

 フィリスティア人との戦いを、人生の目標とするサムソンは、夜を敵地で過ごす事を思い付きました。ガザにある遊女の家に泊まります。

 身を隠すにはもってこいの場所です。エッチ目的ではありません。とにかく寝る場所です。


 しかし、「サムソンが来た!」との情報がフィリスティア人の耳に入りました。遊女の家を取り囲み夜通し待ち伏せをするフィリスティア人。


 明け方出てきた所を一撃するのでしょう。ヤクザ屋さんも事務所待ちの明け方バン!人の命を取るので、撃つ前に「いただきます!」と言うそうですね。律儀ですが……殺人です。刑務所に行って下さいね。


 見張りを続けるフィリスティア人の前にサムソンが現れます。真夜中です。サムソンは両肩に何か担いでいます。町の門の扉と両脇の柱をかんぬきをつけたまま引き抜いてきたようです。


 サムソンはガザから、ヘブロンまで60キロの道のりを担いで運びました。怪力を見せつけたかったのでしょうか?筋トレでしょうか?お疲れ。


 フィリスティア人は手出し出来ませんでした。


 サムソン抹殺のためなら何でもするフィリスティア人。サムソンの弱味はおなごです。サムソンの愛する女性デリラに目をつけました。


 デリラはガザの遊女ではなく、ソレクの谷出身でした。諸説ありますが、たぶんイスラエル人だったのではないかと言われています。


 フィリスティア人の枢軸領主は、サムソンの力の源は何か、デリラに探るよう求めました。


 報酬としてデリラは、枢軸領主5人から銀1100枚を提示されます。5人だから5500枚の大金です。奴隷が一人、銀30枚で売買されていた事を考えると、一生遊んで贅沢出来ます。もし、デリラがフィリスティア人なら、愛国心に訴えてお国の為にサムソンを騙したでしょう。


 貪欲デリラはお金欲しさに、力の源を聞き出す事を約束しました。私の独断ですが、デリラはフィリスティア人の残酷な特質を知っていたのではないでしょうか?断ったら火で焼かれるかもしれないという恐怖は少なからずあったと思います。

 

 デリラは単刀直入にサムソンに質問します。

「どうか、教えて下さい。あなたの大きな力は何によるのですか?どのようにしたら、あなたも縛られて身動き出来なくなるのですか?」


 サムソンは答えます。乾燥しきっていない7本の弓弦で体を縛ればいいと。デリラはその通りにサムソンを縛ります。

 奥の部屋で待機していたフィリスティア人。


「サムソン、フィリスティア人が来ています!」

叫ぶデリラ。――サムソンは亜麻糸のように簡単に弓弦をちぎりました。フィリスティア人失敗。


 デリラは怒ってまた聞きます。今度は新しい縄で縛れと言います。――サムソンは糸のように引きちぎりました。フィリスティア人失敗。


 三度目の正直、サムソンの頭の七房の編み髪を縦糸で折り合わせます。デリラが言われた通りにしてもサムソンの力は弱くなりません。


 フィリスティア人失敗。デリラ堪忍袋の緒が切れて「あなたは『お前を愛してる』などとよく言えるものです。あなたの心は私と共になどありもしません。こうして3度も私をからかって(怒)」

と本当の事を教えてくれなかったサムソンに怒ります。

 サムソンは一番痛い所をつかれました。愛してるなら、教えるはずだ!という女性の巧みさに負けそうです。


 しかもデリラはその後も、毎日小言を言います。教えてくれるまでしきりにせがむのです。(お金、お金、金、金、カネが欲しいんだよー!)


 サムソンは教えてしまうのでしょうか?

 サムソンがんばれー。



 


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る