第81話 ヨセフ 夢を解き明かす
薄暗く、埃くさい牢獄。後手に縛られたヨセフは絶望の中で、天井を見上げます。
「なぜ、こんな所にいるのだろう。なぜ奥様は嘘をついたのだろう。これからどうなるのか」
父親ヤコブの言い付け通りにしただけなのに、お兄さん達に殺されかけて辛かったね。兄達はどんな気持ちで、ヨセフを売ったお金を受け取ったのでしょう。腹立つわー。ポテパル腹立つわー。
ヨセフはどん底の状況の中で、どうしたでしょうか?なっなんと腐る事なく、働きます。真面目な働きは牢獄の護衛官の長の目に止まりました。
「長は牢獄内の囚人全員をヨセフに監督させた。囚人達が行う事は全てヨセフが指示した。ヨセフに任せておけば安心だったからである」39:22
出来る人は何処でも、どんな状況でも頑張るんですね。牢獄から出られるのかも分からないのに、もしかしたら処刑かもしれないのに、ヨセフは与えられた任務を真剣に果たしました。
「神がヨセフと共にいて、神がヨセフのすることを全て成功させていたからである」39:23
イスラエルの神様、ありがとう!エジプトでもヨセフを見守り、力を与えてくれて。日本人の私、お天道様は見ていますよね。ふてくされず、一生懸命生きていれば……良いことありますね。
しばらくして新人入りました。牢名主のヨセフは積み上げた畳にあぐらをかいて――ちがう、護衛官の長に信頼されているヨセフはその新入り二人の世話を任されました。
どちらもファラオの側近。一人はパン焼き人の長、もう一人は献酌人の長です。高官といえども囚人です。ヨセフは牢名主なのに謙遜に親切にその二人に接します。さすがヨセフ、イケメン。
ある朝、二人とも、元気がありませんでした。
寝冷えですか?下痢ですか?それとも……?
ヨセフはすぐに気がついて、理由を尋ねます。
エジプト人は夢を見ると、解き明かしに頼る風潮があります。占い大好き民族です。この二人も夢を見ましたが、意味が分からず、悩んでいました。吉凶気になるけど、牢獄には占星術者がいないのです。しかし、神様の力が注がれているヨセフ、夢の解き明かしが出来ました。
「夢を見ました。一本のブドウの木が私の前にあり、そのブドウの木には3本の小枝が付いていました。――そしてファラオの杯の中にそのブドウを絞り出しました」献酌人の長は語ります。
「その解き明かしはこうです。3本の小枝とは3日の事です。今から3日のうちにファラオはあなたの頭を上げ、必ず元の職務に戻します」
ヨセフはおめでたい解き明かしをします。処罰されるどころか、3日後に牢獄から出され、仕事に復帰出来る。良かったね。
ヨセフはその通りになった暁には、ファラオに自分の事を話して欲しいと頼みました。ちゃんと覚えておきなさいよ!
パン焼き人の長の夢も解き明かします。
「夢を見ました。白いパンを入れた3つのかごが私の頭の上にありました。一番上のかごにはあらゆる食べ物が入っていましたが、鳥たちがそれを食べました」パン焼き人の長は語ります。
「その解き明かしはこうです。3つのかごとは3日の事です。今から3日のうちにファラオはあなたの頭を上げさせて、頭をはね、きっとあなたを杭にかけるでしょう。そして鳥たちが、あなたの肉を食べるのです」( *゚A゚)( 。゚Д゚。)
ねぇ、ヨセフってアスペ?献酌人に話したのと同じテンションで言ってしまいます。首はねられて、杭につけられて、鳥に食べられるって。
私だったら、嘘の解き明かしをしてしまうかも。しかし、ヨセフは神様の解き明かしだと信じているので、真剣に話しました。アッパレ!
3日後はファラオの誕生日でした。ヨセフの夢の解き明かし通りの事が二人の身に起きました。
チーン、御愁傷様。
献酌人の長はおめでとさん。上から目線の私は怒っています!なぜなら、彼はヨセフの事をスッカリ忘れていたんですよ!2年間もです。
ヨセフはいつか、いつかと牢獄の中で、待っていたでしょう。可哀想に……、私のヨセフ。
しかし、ある事をきっかけに、献酌人は思い出しました。もう少しの我慢だよ!ヨセフがんばれー!
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