第80話 ヨセフ 牢獄に入れられる

「東へ行くのよ 唇かみしめ アナ アーウィズアローホ ナイル」ヨセフは明菜ちゃんの歌など知らない。しかし砂漠に沈む夕陽を見ながら、何百キロも離れた故郷を想ってうちひしがれたでしょう。「崩れる私を支えてお願い……」残念。


 大都市ナイル・デルタに到着。ここで、ヨセフは物扱いで売られるのです。屈辱だよね。イシュマエル人からヨセフを買ったのは、エジプトのファラオの護衛官の長ポテパルです。もちろん、エジプト人です。ヨセフは言葉が全く分からなくて辛かったでしょうね。


 ポテパルの家に連れて来られたヨセフはショックを受けます。派手な壁色、魔術の道具、見たことのない偶像。金や銀の器。家の造りも違うでしょう。ヨセフは自分の神様に祈ります。頼りになるのは、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神様です。


 ヨセフは自暴自棄にならず、一生懸命に働きました。働いて働いて、他の奴隷の長になります。


 そして、ポテパルのお気に入りとなり、家の全ての物を委ねられます。家の管理を任せられるのです。やったね、ヨセフ。がんばり屋さん。


「姿も容姿も美しい」青年へと成長しました。あの美人な母親ラケルの子ですから当然です。


 しかし、そのイケメン&ナイスボディに誘惑があります。ポテパルの妻に目をつけられました。


「私と寝なさい!」と毎晩誘惑されます。エッチ好きな人だったのか、夫ポテパルに飽きていたのか私には分かりませんが、とにかくヨセフを自分のものにしたかったのでしょう。分かる~‼


 ポテパルの妻は誰もいない時を狙って何度も誘惑します。ヨセフはただの奴隷ですから、奥様の命令に逆らえば、クビかもしれません。


 ある日、ついに妻に捕まりました。衣服を引っ張られて「私と寝なさい!」と強引に……。逃げようとするヨセフ。引っ張る妻。ヨセフ必死に抵抗します。ヨセフはついにハッキリ言います。


「初めてのひとは年増ではなく、ピチピチのギャルと決めています。勘弁して下さい」――失礼しました。私がヨセフに言わせたい言葉をつい書いてしまいました。


「ご主人様は、この家のもの全てを私の手にゆだねられておられます。ただし、あなただけは別です。あなたは奥様だからです。ですから、どうして、この大きな悪行を犯し、神に対して罪を犯す事など出来るでしょうか」キッパリ‼ 39:8~9


 イスラエル人は結婚外、また結婚前の性関係を神に対する罪、淫行の罪と重く受け止めています。結婚前が駄目なら、現在罪人ばかりですね。


 ポテパルの妻は自分とのエッチを悪行呼ばわりされて、ぶちギレました。他の奴隷に聞こえるように大声を出しました。


「私はヨセフに強姦されそうになったー」と。

 ヨセフは逃げます。引っ張られていた服を脱ぎ捨て逃げる、逃げる。妻叫ぶ、叫ぶ。同じ目にあった奴隷もいたかもしれません。しかし奴隷の身分です。ヨセフを庇うことは出来ません。残念。


 ポテパルの妻は夫に、証拠としてヨセフの服を見せてこう言いました。

「あなたの連れてきたあのヘブライ人の奴隷が、私の所に入ってきて、私を笑い者にしようとしたの。私が大声で叫んだから、服を残して逃げて行ったわ」巧みな嘘です。ポテパルは自分のエッチ下手(知らんけど)を棚に上げて、怒りに燃えました。


 ヨセフは捕らえられて牢獄に入れられます。ヨセフは無実なのに牢獄に入れられたのです。


 古代エジプトの牢獄は拷問もありました。ヨセフも殴られたでしょう。可哀想に……。ネズミのいる不衛生な所に足かせをされて辛かったね。


 ヨセフはどうなるのか、牢獄からいつ出られるでしょうか? ヨセフがんばれー。


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