第57話 品評会

 北伊勢高校技術室。自作したミニチュアを1年G組の生徒たちが机の上に並べている。どれも唸るような名工ぶりだが、やはり目を引くのはメシヤグループである。


「イエスくんの桑名城、国宝級ね!」

 マリアが褒め称える。

「お~、ジャパニーズキャッスルだネ、イエス!」

「イエスさま、ご立派ですわ」

 エリとレマも称賛の声を掛ける。

「ああ、けっこう骨を折ったよ」

 受け答えもほどほどに、隣の作品に目を移すイエス。


「裁紅谷姉妹のも力作だな」

「センキュー、イエス! これはジューイッシュテンプルだヨ!」

「日本のお城にイスラエルの神殿。圧巻だわ」


「そういうマリアさまの作品も眼福モノですわ」

「ありがとう、レマちゃん」

「よく手が込んでるな、これは。このまま本物の家にしたら、買い手も付きそうだ」

「あら~、イエスくん、お上手ね」

 マリアはそう言うと、インナーガレージのシャッターを手動でオープンした。

「フェラーリ! それも珍しい白だヨ!」

「いまにも動き出しそうな迫力ですわ、マリアさま」

「えへへ、中も抜かりはないわよ」

 マリアがナゴブロックの屋根を取り外すと、大ホールの鏡や黄金の装飾、床の大理石にテーブルソファーセットまで表現してあった。

 ナゴブロックに細工をして、屋根を取り外せる構造になっていた。中身が空洞なので、これならピース数は少なく抑えられる。


「うお~、なんだよ、マリア! すごいじゃん!」

 遅れてメシヤが輪に入ってきた。

「あら、あんたいたの? なんにも喋らないから不気味だったわ」

「準備室でギリギリまで竣工検査をしてたからね」

「メシヤ~、どんなの出来タ~?」

「ああ、ちょっくら待っておくれよ」

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