1264.『勇者』の称号と、『勇者の可能性』の称号。
新人冒険者や子供たちも含めて大規模になったレベリング大会が終了した。
全員がレベル20に達した。
ちなみに子供たちは、最年少が六歳なので全員参加させたわけではない。
八歳以上に限定した。
小さな子たちは、もう少し大きくなってから、本人の希望を聞いた上でやればいいだろう。
本当は十歳以上からにしたかったのだが、リリイとチャッピーが八歳だけに八歳以上からにした。
それはいいのだが……このレベル上げにより、思わぬ事態が発生した。
決して悪いことではない……のだが、俺的には驚きの事態だ。
まずは……『ツリーハウスクラン』育成冒険者第一号の『
彼女は、すでに迷宮にも入っていてレベル20を超えていたので、今回のパワーレベリングには参加していない。
ただ養育部門の子供たちが参加することになったので、彼女も指導役として一緒にいた。
最初だけ、見本として魔物に槍を突き入れた。
攻撃での参加はそれだけだったのだが……なんと彼女に、新たな『称号』が出現していたのだ。
しかもその称号というのが……『勇者』だった。
これには、さすがの俺も驚いた。
まさか『勇者』の称号を持つ子が現れるとは……。
しかも、地産勇者というか覚醒勇者だ。
ただ冷静に考えると、俺の『大勇者』としての『職業固有スキル』の『勇者育成』が影響したのかもしれない。
このスキルは、自分が育てたり助言をした者が、ある特殊な条件を満たすと『勇者』という『称号』を取得するという能力だった。
だが、“特殊な条件”が明示されていないので、実質的には使えないというか、放って置くしかないスキルになっていた。
それが何か影響を与えてのことなのかもしれない。
ちなみに、『称号』に『勇者』を得ても、『真の勇者』とは言えない。
『職業』としての『勇者』を取得することで『真の勇者』として覚醒して、『勇者』としての『職業固有スキル』が発現するのである。
例えるなら、『勇者』の『称号』は仮免みたいなもので、『職業』としての『勇者』になって初めて、本当の勇者ということになるのだ。
ただ、『勇者』の称号を得た者が、『真の勇者』になる方法は大体わかっている。
悪魔を倒したり、強い魔物を倒したり、多くの人に感謝されたりすると『職業』欄に『勇者』と表示されるようになるとこのスキルが説明してくれているのだ。
前にも思ったが、この説明はあるのに『勇者』の『称号』を手にするための“特殊な条件”についての説明がないのは、本当に納得できない……。
まぁぼやいてもしょうがないんだが。
ツリッシュちゃんの『称号』取得には、やはり『大勇者』としての『職業固有スキル』の『勇者育成』が影響したと考えるべきなんだろうか……。
だがそれを考えると……リリイやチャッピーも『勇者』の『称号』を得てもいいような気がする。
彼女たちを直接指導していたのが、俺が『大勇者』になる前だから、『称号』を得れていないのかな……?
もっとも、リリイとチャッピーは、『勇者』の『称号』を得なくても十分に強いから問題ないけどね。
それ以前に、『死霊使い』と『猛獣使い』という『使い人』スキルを得ているから、ある意味、勇者より強いんだよね。
まぁそれはさておき、ツリッシュちゃんが『勇者』の『称号』を得たのは、喜ばしいことだ。
彼女は、俺の『絆』メンバーになっているわけではないが、俺が関係している仲間……『ツリーハウスクラン』のメンバーであり、『勇者』の『称号』を得てくれたことは、本当に嬉しいし誇らしい。
今後は、なるべく早い段階で『真の勇者』として覚醒できるように助力しようと思う。
改めて考えてみると、ツリッシュちゃんに『勇者』の『称号』が発現したのは、ある意味納得だ。
彼女は、みなしごだった子供たちにとっては、すでに『勇者』と言えるような存在なのだ。
多くの子供たちを救って、守っていたからね。
もともと『勇者』の素養があったと見るべきではないだろうか。
俺が少し指導しただけの影響よりも、もともと彼女が持っていた素養の方が大きいのではないかという気がしてきた。
とにかく、今後彼女は大きな戦力になるはずだし、この『アルテミナ公国』を悪魔の支配から取り戻すために、前線に立つことも可能になるだろう。
そのための『称号』の発現ではないかと直感的に思う。
彼女の今後に期待だ。
それから、ツリッシュちゃんを助けて子供たちのサブリーダー的な役割を果たしていたハウジーちゃんにも、不思議な『称号』が現れていた。
ハウジーちゃんは、ツリッシュちゃんと一緒に『
今回の大レベリング大会においても、ツリッシュちゃん一緒に指導役という感じで、槍の使い方を子供たちに指導して、魔物に一突き入れていた。
そんな彼女が得た『称号』は、『勇者の可能性』という『称号』だ。
『勇者』の『称号』ではなく、『勇者の可能性』という不思議な『称号』なのだ。
『勇者の可能性』という『称号』は、初めて聞くし、ニアも知らないそうだ。
『勇者の可能性』に焦点を当て、詳細表示と念じると……『勇者になれる可能性を秘めた原石』とだけ表示される。
まぁ名前の通り、勇者になれる可能性があるということなんだろう。
これからの修練次第で、『勇者』の『称号』を取得できる可能性が高いのではないだろうか。
これも俺の『大勇者と』しての『職業固有スキル』の『勇者育成』が影響しているのだろうか……?
まぁ考えてもしょうがないね。
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