1238.発足式の、ご馳走。
『ツリーハウスクラン』の準メンバーである賛助会員も、かなり増えている。
合計すると、百十一人になっている。
複数口会費を払ってくれている人がいるので、口数は二百十五口になる。
一口三千ゴルなので、これだけで毎月クランに六十四万五千ゴルのお金が入ってくるのだ。
ただ、お礼の意味を込めて、月に一度食事会を開くので、額面通りの収入というわけではないけどね。
ちなみに賛助会員の中で、一番数が多いのはニアの残念親衛隊とも言える中堅冒険者たちだ。
それから、農家のおじいさんバナボさんの友人の高齢の方たちも、結構メンバーになってくれている。
ちなみに毎日のようにバナボさんを訪ねて、おじいさんやおばあさんが来るので、『ツリーハウスクラン』の一画は、デイサービスみたいな感じにもなっているのだ。
皆さん、子供たちと一緒に遊んでくれたり、子供たちにいろんなことを教えてくれるので、すごく助かっているけどね。
それから、ギルドの職員や、ムーンリバー伯爵家の六人や『魔法道具専門店 魔具ネット』の店主のマドグさんと、孫娘のアイムちゃんも賛助会員だ。
そして新たな賛助会員として、『エリアマスター』討伐を達成した『強き一撃クラン』の皆さんも加わっている。
今日の午前中までパレードで大忙しだった皆さんだが、このクラン発足式にも来てくれているのだ。
レオニールさんを始め『強き一撃クラン』のメンバーが賛助会員になってくれたのは、今日の事だ。
会費が、『ツリーハウスクラン』メンバーの子供たちの養育費になるという話を聞いて、レオニールさんが音頭をとって、みんなで会員になってくれたのである。
金銭的に協力してくれるということなのだ。
俺としても、レオニールさんたちなら人間性に問題がないので、ありがたく申し出を受けることにした。
誰でも彼でも賛助会員にする気は無いのだが、『強き一撃クラン』の皆さんとは、短い間とは言え一緒に行動し、ある程度気心も知れている。
変な人がいないのは、確認済みなのだ。
『エリアマスター』の討伐を果たした凄いクランのメンバー全員が、別のクランの賛助会員になっているというのは、不思議な構図だが、まぁいいだろう。
何でもありなのがクランだからね。
それから、今後クランメンバーとなる、三つの私立孤児院の子供たちと、残ってもらう先生も招待している。
院長が不正に手を染めて摘発され、孤児院の自体存続が危ぶまれた状態だったが、俺がクランに組み込むというかたちで、子供たちを保護することにしたのだ。
三つの孤児院の敷地建物は、既に買い取ってある。
孤児院自体は、院長の犯罪行為により取り潰されたという体裁になっている。
三つの孤児院の子供たちは、今まで通りの場所で暮らせるが、そこはもはや孤児院ではなく、『ツリーハウスクラン』の支部というかたちになるのである。
ただ孤児院のスタッフについては、問題のあるスタッフもいるので、人間性を吟味し、残せる者だけ残すことにした。
今後スタッフを補充しなければならないが、これについては『冒険者ギルド』『商業ギルド』が協力してくれている。
『冒険者ギルド』では、引退する冒険者に希望者がいないか募集をかけてもらっている。
『商業ギルド』では、広く人材を探してもらっているのだ。
それからクランメンバーに組み込むわけではないが、今後支援をしていこうと思っている『冒険者ギルド』近くの私立の孤児院『ミトー孤児院』の子たちや先生たちも招待している。
今日の発足式のご馳走は、『ハンバーグ』である。
大量の『ハンバーグ』の消費が予想されるが、事前に作って『波動収納』に保管してあるので、準備万端だ。
人数が多いので、メニューは限定している。
『ハンバーグプレート』と『ハンバーガー』と『ポテトサラダ』だけにした。
『ハンバーガー』は、バンズも仕上げたので、丸い本当の『ハンバーガー』になっている。
食事メニューはこれだけに限定させてもらったが、デザートには新メニューを投入した。
前から商品化しようと予定していた『カステラ』と『プリン』を用意したのだ。
クラン農場に作る卵の直売所で、一緒に販売するつもりである。
それから、『ミトー孤児院』で販売を始めた『バナナ餅』も用意してもらった。
ここで盛大にお披露目をしておけば、今後こぞってみんな買いに行ってくれると思うんだよね。
量を作るのが大変そうだったので、クランのメンバーが手伝いに行って作ったのだ。
『ハンバーグプレート』も『ハンバーガー』も『ポテトサラダ』も初めて食べる人が多かったわけだが、大好評だった。
というか……興奮の坩堝と化していた。
絶叫したり、泣いたり、すごい騒ぎで、すごい量が消費された。
ハンバーガーショップを開いたら……それだけで一財産築けそうな気がしてきた。
それから『カステラ』と『プリン』が大好評だったことも、言うまでもない。
もともと甘味の少ないこの世界だから、絶対に受けるのはわかっていたけど……ここでもすごい状態になっていた。
みんなすごい勢いで『ハンバーグ』などを食べていたにもかかわらず、別腹とばかりに、さらに『カステラ』と『プリン』を食べまくっていたからね。
これについては、今後クラン農場に作る直売所で販売すると告知したので、毎日でも買いに来ると言っている人が何人もいた。
なんか……需要に供給が追いつかない予感がしてきた。
そして間違いなくこの商品でも、一財産築けそうな気がする。
それから、『ミトー孤児院』で作ってくれた『バナナ餅』も大好評だった。
特に高齢の人たちには、懐かしい味で、涙を流しながら食べている人もいた。
クラン発足式は……というか、ただの食事会だったような気もするが……大盛り上がりのうちに終了した。
みんな喜んでくれたようで良かった。
賛助会員の皆さんは、月に一回行われる食事会に参加できるというだけで、賛助会員になれて本当に良かったと、口々に言ってくれていた。
美味しい食べ物は、確実に人々の心をつかみ、そして幸せな気持ちにしてくれる。
本当にありがたいことだ。
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