1168.遂に登場、ハンバーーーグッ!
二時間ほど仮眠を取ったところで、朝になった。
本当はもっと寝ていたほうが良いのだが、目が覚めちゃったんだよね。
昨日怖い思いをした子供たちに、美味しい朝食を作ってあげようと思っているのだ。
これから作るメニューは……満を持してリリースする『ハンバーグ』だ。
朝から『ハンバーグ』というのは、微妙な気もするが、ここの子供たちは、今まで毎朝バーベキューを食べていたから、大丈夫だろう。
朝からもりもり食べて、元気いっぱいになってもらいたいのだ!
『ドワーフ』のミネちゃんに頼んで肉をミンチにする装置を作ってもらったので、それを使えばひき肉がすぐできる。
魔法道具になっていて、魔力を流すと刃が回転して、ミンチ状にしてくれるのである。
『ハンバーグ』にも様々な種類がある。
荒い牛ミンチだけで作った『肉肉しいハンバーグ』、細かいひき肉だけで作った『パティのようなハンバーグ』、玉ねぎやニンジンなどいろんなものが入った『家庭料理っぽいハンバーグ』などいろいろある。
それに加え、ソースも様々だ。
今回は、『家庭料理っぽいハンバーグ』をリリースする予定だ。
いろんな野菜を細くして入れることができるし、これを普及させたいと思っている。
ソースもオーソドックスな『デミグラスソース』にする。
ということで、今回はタマネギとニンジンを細くして、一緒に練り込む。
クランに所属する冒険者たちも、昨日騒動の後に駆けつけてくれ、警備も為に泊まり込んでくれている。
そのみんなにも、ふるまおうと思っている。
早速、炊事担当の『ガングロおじさん五人組』が起きてきた。
ほぼ同時に『飲食店四人組』も起きてきた。
彼女たちも駆けつけてくれて、そのまま泊まっていたのだ。
二つ合わせて『炊事チーム』なのだが、早速手伝いを始めてくれている。
大人スタッフや他の冒険者メンバーたちも集まってきた。
みんな手伝うと言ってくれてたので、指示を出して、手分けしてハンバーグ作りを手伝ってもらう。
そうこうしてるうちに、子供たちもみんな起きてきた。
子供たちには、日課の護身柔術体操をやってもらい、その間に焼き上げてしまう。
少しして、護身柔術体操も終わり、子供たちが一息ついたところで、ハンバーグも人数分、焼き上がった。
庭に広げたいくつものテーブルに、大皿に置いて、『ハンバーグ』をてんこ盛りにする。
ここから一つずつ取って、ソースをかけて食べるのだ。
食べやすいように、『ハンバーグ』のサイズは小さめになっている。
『ハンバーガー』を作ったとしても、挟めるくらいの大きさだ。
まずは、『ハンバーグ』単体で食べてもらって、次にパンに挟んで『ハンバーガー』のようにしても食べてもらう予定だ。
ただ用意できているパンは、コッペパンなので、『ハンバーグ』をそのまま挟み込むことはできない。
『ハンバーグ』を、半分に切って挟み込むしかないのだ。
まぁ今日のところは、それでいいだろう。
なるべく早めに、『ハンバーガー』用のバンズを作りたいところだ。
早速みんなに食べてもらった。
『ハンバーグ』の美味しさに、あちこちで歓声が上がる。
肉とは一味違う柔らかさ、味わいが好評のようだ。
子供たちが、幸せそうな顔でガッついている。
その様子を見ていた、大人メンバー、冒険者メンバーが口に放り込む。
皆、恍惚な表情になっている。
「グリムさん、私たちは食通を自称していましたが……今となっては、恥ずかしい限りです。またしても食べたことがない至高の料理に出会ってしまいました。
やはりグリムさんは……『食通殺し』なんですね。
そして高名な料理人である事は、間違いないですね!」
ガングロおじさん五人組のリーダーにニクスキーさんが、超ハイテンションになっている。
今日もまた何か勘違いをしているようだ……。
そして何か……崇拝するような……神様を見るような感じで、俺を見つめるのはやめて欲しい。
ガングロのおじさんたち五人に、猛烈に見つめられるのは、微妙でしかない。
「すごく美味しいのだ! 美味しすぎて、ミネちゃんに食べさせてあげたいのだ!」
「ほんとなの〜。ミネちゃんが知ったら、泣いちゃうなの〜」
リリイとチャッピーが、そんなことを言った。
確かにそうかもしれない。
フードファイター『ドワーフ』のミネちゃんが、このことを知ったら、食べたかったと悔し泣きしちゃうかもしれない。
ミネちゃんに限らず、いつもの『竜羽基地』メンバーが知ったら、食べたかったと悔しがるに違いない。
特に、ビャクライン公爵と国王陛下は、大人気ない感じになりそうだ。
このことが、バレる前に『竜羽基地』でも、『ハンバーグ』大会をやらなければ……。
そういえば、昨日の夜も行くと言っておいて、結局行かないでしまった。
まぁ今夜にでも行って、『ハンバーグ』をご馳走してあげよう。
みんなが一通り食べたところで、まだまだある『ハンバーグ』を使って、『ハンバーガー』の作り方を教える。
といってもコッペパンを縦に切って、レタスを敷いて、二つに切った『ハンバーグ』を入れるだけだ。
仕上げに、『デミグラソース』と『マヨネーズ』をかける。
期待に胸を膨らませている皆さんに、早速食べてもらった。
子供たちも大人メンバーも、皆満面の笑みだ。
またもや笑顔の花が、広がっていってくれた。
さっきハンバーグを食べたのが無かった事のように、普通にバクバク食べていた。
この前は、大量の“マヨラー”を生産してしまったかと思ったら……今日は大量の“フードファイター”を生産している気分だ。
ここにいる子供たちは……かなりの確率で、“フードファイター”に仕上がってしまうかもしれない。
まぁそれはそれで、いいけどね。
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