1083.Bランクメンバーの、二つ名。
アミスさんは、俺の話を理解してくれ、了承してくれた。
だが、一点だけ疑問を呈されてしまった。
それは、所属する冒険者パーティーから何も徴収しないという点についてである。
クランは、やはりいくつかの冒険者パーティーが集まった一つの大きなパーティーと考えるのが一般的で、収入もまとめるのが普通だろうとのことだった。
ただ俺の言う通り、駆け出しのパーティーが自分たちが頑張ったら、その成果で自分たちが欲しい装備が買えるというモチベーションは、非常に大事とのことである。
だから収入をまとめるのは、しない方が良いと賛成してくれた。
だが全く何も支払わないのは問題で、メンバーとしての自覚と責任を持たせるためにも、少ない金額でもいいからクランに収めさせるべきだとアドバイスしてくれた。
確かに言われてみれば、そうかもしれない。
そこで俺は、『冒険者としての収入がある場合は、その一割以上を納める』というルールにすることにした。
『一割以上』というのは、本人たちがもっと納めるなら受け取るという意味である。
そして、『冒険者としての収入がある場合』という意味は、何かの事情で冒険者活動ができなかった場合は、納める必要はないという意味だ。
互助会的な意味があるからね。
もし活動できない時があっても、助け合うのである。
まぁ俺のクランの場合は、大怪我したり何か病気になったりしても、回復魔法とか魔法薬があるから、長く寝込むという事態は起きないと思うけどね。
面接に通った人たちに、このルールを提示して、不満がなければクランに入ってもらうことにしようと思う。
俺はアミスさん以外の皆さんとも、改めて挨拶を交わし、冒険者パーティーでのポジション等について、簡単に教えてもらった。
姉弟の中で一番上のアミスさんがリーダーで、いつも仕切りをやっているようで、他の皆さんは、口を挟むことなく同席していたんだよね。
Bランク『
年齢は、尋ねたわけではないのだが、勝手に教えてくれた。
茶髪にいい感じで白髪が混じった熟女的な魅力を放っている。ボブカットになっていて、小綺麗にまとまっている。
ポジションは『魔法使い』だが、『ヒーラー』ポジションも兼ねているとのことだ。
回復系の魔法も使えるらしい。
彼女は、『炎武』のローレルさんと同じように、合体魔法が使えるそうだ。
五人姉弟の長女である。
『雷氷のアミス』という二つ名だそうだ。
次女のルミスさんは五十一歳で、レベルは52だ。
薄い茶髪のショートヘアで、上品な感じだ。
そしてかなりスレンダーだ。
驚いたことに、五人の中で一番華奢に見えるルミスさんが、『タンク』ポジションなのだそうだ。
『三枚盾のルミス』という二つ名とのことだ。
三枚盾というのがあまりにも気になったので、少しだけ尋ねてみた。
両手に一枚ずつ盾を持って、お腹に長いアームで固定した盾を装着し、三枚の盾を展開するのだそうだ。
どうやって持ち歩くのだろうと、ふと思ってしまったが、このレベルのパーティーなら、全員魔法カバンを持ってるよね。
三女のテミスさんは五十歳で、レベルは52だ。
濃い茶髪をロングヘアにしている。
ポジションは『斥候』とのことだ。
『レア察知のテミス』という二つ名で、レアな魔物を見つけるのが得意なのだそうだ。
この三姉妹は、顔もよく似ているので、三つ子と言っても通るかもしれない。
アスリート的な精悍な顔つきをしているが、三人とも、もちろん美熟女と言える美しさを持っている。
長男のミミスタさんは四十八歳で、レベルは52だ。
黒髪を少し刈り上げたさっぱりとした髪型をしている。
人の良さそうな感じの優しい顔つきだ。
ポジションは『アタッカー』とのことだ。
『三剣流のミミスタ』という二つ名だと言うので、一本は口に加えるのかと思ったのだが……そうではなかった。
前に向けて角のように剣がついている特殊なヘルムを被って戦うらしい。
一度見てみたいが……さすがに今見せてくれとは言えなかった。
次男のナミスタさんは、四十六歳でレベル52だ。
彼も黒髪で短くまとめている。
口ヒゲを蓄えていて、ワイルドな感じだ。
パーティー中では、一番がっちりしていると思うのだが……ポジションは『ロングアタッカー』とのことだ。
『特矢のナミスタ』という二つ名で、特殊な矢を使って攻撃するらしい。
手先が器用で、自分で矢を改造しているとのことだ。
毒矢、捕獲用の網を放出する矢、難所で命綱などに使えるロープ付きの矢など、いろいろ作ったそうだ。
趣味に走りすぎて、実用性がない矢も結構あるらしい。
なんとなくだが、この人とは話が合いそうだ……。
『
いずれ、この人たちの戦っているところを見てみたい。
すごく楽しみだ!
「もしよかったら、もう少しここの子供たちと遊んで行ってもいいかい?」
帰り際に、アミスさんが尋ねてきた。
かなりの子供好きのようだ。
さっき聞いたところによれば、『
アミスさんが尋ねてもいないのに、笑いながら言っていたが、みんな結婚する気にはなれなかったのだそうだ。
冒険者という、いつ死ぬか分からない仕事をしているから、家族を持つ気にならなかったそうだ。
皆さん、子供はすごく好きみたいな印象を受ける。
「もちろんです。よかったら、子供たちと一緒にお昼を食べていって下さい」
「じゃあ、お言葉に甘えるかね。それにしても……この数の子供たちの食事を用意するのは大変だろう? どうしてるんだい?」
「はい。恥ずかしながら、人手が足りないものですから、今のところ毎食バーベキューです」
「なるほど、手間がかからないもんね。私たちも、手伝いながらご相伴に預かるとするよ」
そう言うと、アミスさんはまた豪快に笑った。
なんとなく……肝っ玉母ちゃんというか……女社長というか……まぁ豪快な人だ。
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