1022.クランの目的と、役割分担。
俺は、再びツリーハウス屋敷に戻って来た。
『冒険者ギルド』とツリーハウス屋敷を、今日だけで何回行ったり来たりしたことか……まぁいいけどさ。
子供たちとバーバラさん達が、引き続きツリーハウス屋敷の整備をしてくれているが、一旦集まってもらった。
そして『ツリーハウスクラン』を作ることになった経緯を簡単に説明し、届け出を出してきたことを報告した。
冒険者パーティー『
メーダマンさんが言っていた通り、俺のクランに加入することをみんな二つ返事で了承してくれた。
そしてすごく喜んでくれたのだ。
子供たちにも、俺のクランのメンバーになるということを説明し、ここに一緒に住めると改めて伝えた。
幼い子供たちは、いまいちクランの説明を理解できていなかったようだが、とにかくここにみんなで一緒に住めるということを喜んでくれていた。
そして俺は、この『ツリーハウスクラン』の目的を簡単に説明した。
まず一つ目は、『身寄りのない子供たちをメンバーとして迎え入れ、ここで暮らしてもらうこと』だ。
それに伴って、文字の読み書きなどを教えてあげたり、自分の身を守れるように武術を教えてあげるつもりだということ。
また、将来自立できるように、仕事も教えてあげるつもりだということを説明した。
そしてこのツリーハウス屋敷の道を挟んだ向かいにある農地も取得したので、そこで野菜の栽培と養鶏を中心とした農業を行う事も伝えた。
同時に農地の一画に、卵や野菜などを売る直売所を作り、そこで特別なお菓子も販売するつもりであることを説明した。
特別なお菓子というのは、卵を使ったお菓子でプリンやカステラなどだ。
これは、セイバーン公爵領の『領都セイバーン』に作った貧しい家の子供たちの為の養鶏場と同じプランである。
養鶏場の隣に直売所を併設して、卵を使った加工品を販売するのだ。
それから、農地の更に奥にある子供たちが隠れていた林も取得したことを伝えた。
遊び場としても使えるし、成っている果物や野草等も採取して活用しようと思っている。
また商売を実践して学ぶために、簡単な屋台を出すことも考えていると伝え、年嵩の子供たちを中心に、やりたい子がいれば屋台も用意するという話もした。
ただ子供たちを無理に働かせるつもりはないので、基本はここで遊んだり勉強したり武術を磨いてもらって、商売をしてみたいという子がいれば、やるという程度である。
二つ目のクランの目的は、『若手の冒険者の支援をすること』だ。
駆け出しの冒険者を鍛えてあげたり、資金的な援助をしてあげるという意味である。
心身の準備不足や装備の不足で、命を落とす駆け出しの冒険者を少なくしたいのだ。
冒険者として生き抜くための教育をしてあげたり、ある程度の装備を支給してあげようと思っている。
ピグシード辺境伯領で行っている『ハンター育成学校』の簡易版みたいなものだ。
以上の二つのクランの目的については、みんな理解してくれたようだ。
次に、クランを運営するにあたって、大体の役割分担を決めた。
まずプライベートギルドであるクラン……『ツリーハウスクラン』のギルドマスターというかクランマスターは、俺が務めることにした。
『冒険者ギルド』への届出上も、そうなっているからね。
クラン全体の管理や総務的なことをやってもらう管理部門長は、バーバラさんにお願いすることにした。
管理長という役職名称にした。
バーバラさんは、俺専門の奴隷商人というか奴隷保護人として活動してくれているわけだが、しばらくはこの『アルテミナ公国』にいるということだったので、全体の取りまとめをお願いしたのだ。
『アルテミナ公国』の他の市町での奴隷の保護活動も引き続き行うとの事だが、実務は部下の三人に任せるそうだ。
したがって部下の三人も、クランのメンバーに入ってもらったが、自由に活動してもらうことにした。
バーバラさんの下で、直接クラン全体の総務的な動きをしてもらうのは、悪徳奴隷商人の商館で保護した初老の男性ショムニーさんになった。
副管理長という役職にした。
彼は長年仕えた主人に捨てられたという可哀想な人だが、人柄が良く、様々な雑事や帳簿の記録や計算など幅広く行っていたということなので、総務的な仕事をしてもらうのにぴったりだと判断したのだ。
彼は、すごく喜んでくれていた。
子供たちの面倒を見るいわば養護院的な部分だが、養育部門という名称にした。
この部門長も、一旦バーバラさんにお願いした。
適した人材が確保できるまで、兼務してもらうことにしたのだ。
役職名は、養育長とした。
養鶏や野菜の栽培などの農業活動と直売などの商業活動を行う部門を事業部門として、部門長を俺が担当することにした。
役職名は、事業長だ。
ここも適した人材が見つかれば、誰かに任せたいと思っているけどね。
メーダマンさんは、『ヨカイ商会』と『トリドリ商会』を見なければいけないので、クランの事業までは頼めないのだ。
それからクランの本来のあり方とも言える冒険者稼業をする冒険者部門を作り、『
役職名は、冒険長だ。
今後受け入れることになる若手の冒険者への教育も、ニャンムスンさんを中心とした『
彼らには以前、今後増設されるであろう『ハンター育成学校』の講師にならないかと勧誘をしたことがあるが、奇しくも冒険者を続けながら講師もするというかたちになった。
みんな、冒険者を続けたいという気持ちだったわけだが、講師もしてみたいと思っていたらしく、両方ができるかたちになって喜んでいた。
以上が、現時点での役割分担だ。
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