774.始祖の、スキル。

 『真祖吸血鬼 ヴァンパイアオリジン』は、すべての吸血鬼の『種族固有スキル』が使えるということだった。


 俺が知っているのは、『下級吸血鬼 ヴァンパイア』『中級吸血鬼 ヴァンパイアナイト』『上級吸血鬼 ヴァンパイアロード』の『種族固有スキル』だ。


 それは、『血の暗示』『血の命令』『血の統制』『血の強制』『蝙蝠変化』『闇纏い』『吸血眷属支配』『吸血眷属強化』だ。


『血の暗示』は、下級吸血鬼の『種族固有スキル』で、血を吸った相手に対して、暗示をかけることができる。

『血の命令』は、中級吸血鬼の『種族固有スキル』で、下級吸血鬼に命令し、従わせることができる。

『血の統制』は、上級吸血鬼の『種族固有スキル』で、下級吸血鬼、中級吸血鬼に暗示をかけられる。

『血の強制』は、上級吸血鬼の『種族固有スキル』で、下級吸血鬼を意のままに操ることができる。

『蝙蝠変化』は、中級吸血鬼の『種族固有スキル』で、蝙蝠に変化して飛行能力を得ることができる。

『闇纏い』は、中級吸血鬼の『種族固有スキル』で、体の周囲に太陽光を遮断する不可視の障壁を発生させる。

『吸血眷属支配』は、上級吸血鬼の『種族固有スキル』で、蚊、ダニ、ヒル、コウモリ、吸血フィンチという鳥などの吸血動物を使役することができる。

『吸血眷属強化』は、上級吸血鬼の『種族固有スキル』で、吸血動物を強化して巨大化させることができる。


 これに加えて、『貴族吸血鬼 ヴァンパイアロイヤル』としての『種族固有スキル』と、『真祖吸血鬼 ヴァンパイアオリジン』としての『種族固有スキル』が使えるということのようだ。


『貴族吸血鬼 ヴァンパイアロイヤル』の『種族固有スキル』は、『血の操り人形』というスキルらしい。

 自分の血を与えた生物を一定時間、命令に従わせることができるらしい。

 自分よりもレベルの低い魔物に対しても、短時間なら効果があるとのことだ。

 ただし魔物の場合は、戦えというような単純な命令しか下せないらしい。

 だがそれでも充分ではないだろうか。

 おそらく、魅了と同じような効果なのだろう。


『真祖吸血鬼 ヴァンパイアオリジン』の『種族固有スキル』は、『血の権能』『血の盟約』『吸血鬼促成』という三つらしい。


『血の権能』は、自分の血を対象に与えることで、一定時間、高速移動などの権能を付与することができる能力とのことだ。


『血の盟約』は、血を与えるとともに盟約を交わし、高速移動できる能力を半永久的に授けるというスキルらしい。

 吸血鬼を探知する能力を授けることも可能とのことだ。

 初代『ヴァンパイアハンター』である初代ヘルシング伯爵及びその後のヘルシング家に伝わるように与えられた能力は、このスキルによるものらしい。


『吸血鬼促成』というスキルは、一度の『吸血』と『与血』で、対象者を吸血鬼にすることができるという能力とのことだ。


 通常、吸血鬼にするためには、『吸血』とそれと同量の吸血鬼の血を与える『与血』を、三回繰り返し、吸血鬼一歩手前の『適応体』状態にして、死なせることによって『吸血鬼』として変性するということになっていた。

 この三回の『吸血』と『与血』もいらなければ、一度死ぬ必要もないらしい。


 さすが真祖の能力だ。


 ちなみに、『下級吸血鬼』『中級吸血鬼』『上級吸血鬼』『貴族吸血鬼』のそれぞれの『種族固有スキル』は、『真祖吸血鬼 ヴァンパイアオリジン』よりも後に誕生した下級種族の『種族固有スキル』だ。

 それゆえ、普通なら、『真祖吸血鬼』の『種族固有スキル』となっているのは、時系列的におかしいのだが、その種族が誕生し『種族固有スキル』が発生した時点で、『真祖吸血鬼』の『種族固有スキル』としても現れるのだそうだ。

 一番最後に発生したのは『貴族吸血鬼』だが、その時も、その『種族固有スキル』が発生した時点で、『真祖吸血鬼』の『種族固有スキル』に追加されたのだそうだ。


 眷属の長だからということなのだろう。


 ふと思ったが……俺は『聖血鬼』や『聖血生物』たちの眷属の長になっているはずだが……彼らの持っている『種族固有スキル』は、俺には発現していない……解せぬ。

 どうしてだろう……?

 眷属の長とは言いつつも、種族が違いすぎるからなのだろうか……?

 今のところ、それしか理由が考えられない。

 まぁなくてもいいけどさぁ……。

 でも……せっかく眷属の長なんだから、俺にも発現してくれてもいいのに……トホホ。



 それからヒナさんは、『癒しの勇者』時代から持っていた『固有スキル』として、『癒しの息吹ヒーリングブレス』と『魔力回復視線マナリカバリービーム』を持っているのだそうだ。

癒しの息吹ヒーリングブレス』は、息を吹きかけることで、『基本ステータス』の『身体力(HP)』を回復させることができるらしい。怪我などを回復させられるということだ。

 息を吹きかければ良いので、ある程度広範囲に、一度に発動することが可能なのだそうだ。

 そして、アンデッドに使うと攻撃になるとのことだ。

魔力回復視線マナリカバリービーム』は、視線を送るだけで、『基本ステータス』の『魔力(MP)』を回復させることができるのだそうだ。



 その他にも『通常スキル』を、いろいろと所持していた。

 俺が持っていないスキルとしては、珍しい回復魔法系の『状態コンディション最適化グリーン』を持っていた。

 対象者の状態異常を解除し、状態を最適にするらしい。

『呪い耐性』も持っていた。

 これは、元々持っていたものではなくて、呪いによって吸血鬼になった後に発現していたらしい。

 おそらく、一度強烈に呪われたから耐性がついたということなのだろう。


 あと……『挑発』『加速』『水泳』『暗示耐性』『運搬』という俺が持っていなくて、『ヴァンパイアハンター』のエレナさんが持っていた『通常スキル』と同じものを持っていたのだ。


 これらのスキルは、エレナさんが持っていたのは知っていたが、俺の『固有スキル』の『ポイントカード』の『ポイント交換』リストに載せる方法がわからず、そのままになっていたんだよね。

 これらのスキルも、ヒナさんが仲間になったお陰で、『共有スキル』にセットすることができる。

 これは大助かりだ。


 ちなみに娘のカーミラさんは、『固有スキル』は持っていないとのことだ。

『通常スキル』は、いろいろ持っているが、俺が持っていないものはなかった。



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