726.呪われた、魔法の杖。
「さあ皆さん、第二部、最後の品目です。お待ちかねの『魔法カバン』三点の競りとなります。引き続き盛り上がっていきましょう! それでは、まずはこちらの『魔法カバン』です。真っ黒いデザインの『魔法カバン』は、珍しいですね! 『
『魔法カバン』の競りがスタートした。
前に聞いた『魔法カバン』の相場は、『下級』で五百万ゴルから一千万ゴルくらいという話だった。
そういう意味では、四百万スタートは安いかもしれない。
だがやはり食いつきはいいようで、すぐに五百万ゴルを突破した。
そしてなんと、最終的には九百万ゴルという高値がついていた。
「思ったよりも、いい値段がついたね。あの真っ黒っていう色がポイントだったね。中々ないからね」
マリナ騎士団長が、解説してくれた。
そして、次に出された『下級』の『魔法カバン』は、これまた珍しい赤いカバンだった。
この魔法カバンはなんと、一千百万ゴルの落札価格になっていた。
確かに……この真っ赤な感じは……一点物に近い希少さがある。
次の『魔法カバン』は、出回ることがほとんどないという『
「さあ皆さん、注目してください! 第二部最後の品は、貴重な『中級』の『魔法カバン』です! 四千万ゴルからのスタートです!」
なんと『中級』の『魔法カバン』は、いきなり四千万ゴルからのスタートだった!
確か前に、ビャクライン公爵夫人のアナレオナさんが言っていたが、『中級』だと五千万から一億ゴルが相場だということだった。
出回ることがほとんどないため、値段はかなり変動するとも言っていた。
それで相場金額にもかなりの幅があるわけだが……オークションでいくらになるか楽しみだ。
その話を聞いたときに、俺は最初高いと思ったが、よくよく考えてみると、超巨大な倉庫を持っているのと同じだから、そう考えれば妥当な値段とも言えると思ったのだった。
ここに参加しているほとんどの人たちは、何かしらの『魔法カバン』を持っているはずだが、やはり容量が多い中級は魅力的なようで、すごい数の入札が入っている。
俺にとっては『下級』や『中級』の『魔法カバン』は、もはやあまり価値を見出せないが、普通の人にとっては凄いお宝なんだよね。
競りは、白熱し……最終落札価格は……一億一千五百万ゴルになっていた。
四人ぐらいが最後まで競り合っていた。
一億を超えた時点で、二人に絞られ、あとは根比べ状態だった。
第三部の『武具の部』が始まった。
ここにも俺は出品している。
それは『マシマグナ第四帝国』の遺物である剣と槍を、一本ずつ出品したのだ。
これは『正義の爪痕』の首領のアジトで、没収していたものだ。
大量というわけではないが、それなりの数があった。
いろんな武器が、十個ずつぐらいはあったのだ。
そこから試しに、剣と槍を一本ずつ持ってきたのだ。
大量にあった『スモールシールド』という五角形の盾は、セイリュウ騎士の皆さんにプレゼントしたんだけどね。
『
『マシマグナ第四帝国末期の武具』となっている。
この第三部でも、盛り上げるためか、最初の品に選ばれていた。
前に聞いたところによると、『上級』の剣や槍の相場は六十万ゴルから百万ゴルという話だった。
もちろん『
競りが始まったが、スタート価格が五十万ゴルと比較的安いスタートだった。
だがやはり、『マシマグナ第四帝国』の遺物という希少性の為か、すぐに競り上がった。
そして……最終的に百五十七万ゴルで落札されていた。
そこまで上がるとは……驚きとともに、嬉しい!
同じく槍も競り上がり、百四十九万ゴルで落札された。
この二つの武器は、おそらく実際に使うというよりは……家宝的な感じで飾るんだよね、きっと。
この後には、少し変わった形の剣や槍などが出品されていたが、魔法の武器ではないので落札はしなかった。
特にめぼしい武具もないまま、最後の品になった。
「皆様、残念ながら第三部最後の商品となります。これまた珍しいものが出品されました。『魔法の杖』であります。そしてなんとこの杖は、呪われた『
司会者は、いつもと変わらない元気なテンションでそう紹介した。
呪われた武具を紹介しているとは思えない明るいノリだ。
更なる説明によれば、アンデッドを討伐した冒険者が手に入れた品ということだった。
『名称』が『闇の石杖』となっていて、対象者の『サブステータス』の『攻撃力』『防御力』『魔法攻撃力』『魔法防御力』『知力』『器用』『速度』の全ての数値を10%程度下げる『減退の闇』という技が出せるらしい。
この技は、同時に自分の『サブステータス』も全て10%下げてしまうとのことだ。
そして、その状態が三日間も続くらしい。
この三日間は、『呪いの三日間』とも言われているようだ。
それゆえに呪われた『
そして『減退の闇』という技を、なんと五回まで重ねがけできるようだ。
相手の能力を半分くらいにできてしまうので、かなり恐ろしい攻撃と言えるだろう。
だがその場合、同時に自分の能力も半分ぐらいになってしまうわけだけどね。
まぁパーティーで戦うなら、仲間に守ってもらって使うことができるかもしれないけどね。
それにしても、ちょっと怖いよね。
まさにハイリスク、ハイリターンな攻撃のようだ。
俺は、呪われたアイテムなど欲しくはないが、誰かに悪用される危険もあるので、ここは競り落とすことにした。
もし人を使い捨てにするような奴がいたら、使用者を捨て駒にして使わせるということがありそうだからね。
……さすがに呪われた武具は人気がなく、俺が落札できた。
五十二万ゴルだった。
『
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