661.セイリュウ七本槍、女傑バージョン?

 『神獣の巫女』と『化身獣』たちの今後の方針が決まったところで、今度は『龍馬たつま』のオリョウが入ってきた。


「ご主人、ちょっといいかし? アチシからも話があるっていうか……セイリュウ様が話したいって言ってる感じなわけ。セイリュウ様ってば告る気? なんか……セイリュウ様が告りたい人に告って、『セイリュウ七本槍』にして、すごいアイテムあげたいって言ってるわけ。まじ最高かよ! そんで……今回は女子の部隊がいいんじゃないかっていうノリなわけよ。男子がダメンズってことじゃないから、落ち込まないでって感じ! 落ち込む男子はマジ勘弁! あー、はいはい、わかりましたって感じ。セイリュウ様が早くしろって言ってるから、ちょっと変わるし…………愛しきハルナの子孫たち、そしてこの地を守る者たちよ、今代も頼もしい者たちが揃っているようです。我が気が宿るこの地を守りし者たちに、大いなる力を授けましょう。今代の『セイリュウ七本槍』に力を授けます。人々の為に戦う屈強な槍となりなさい。天声が聞こえるはずです。さぁ七本槍よ、我の前にでてきなさい……」


 オリョウが途中から、セイリュウ様憑依状態になったようだ。

 ただ憑依状態といっても、意識が入れ替わっただけで姿は『龍馬たつま』のままだ。


 話の感じからして、何か特別なものを授けるようだが、化身状態にならなくても力を発揮できるということのようだ。

 さすが神獣だ。


 そして……七本槍に出てきなさいと言っていたが……ここにいる人が選ばれたってこと?


 そう思っていると……おお、オリョウというかセイリュウ様の前に、女性たちが進み出た。


 『セイリュウ騎士団』団長マリナさん、ユーフェミア公爵、セイバーン家次女のユリアさん、三女のミリアさん、『セイリュウ騎士団』格付け第五位の槍士ランスンさん、第七位の弓士ユミルさんの六人だ。


 どうやら彼女たちには、天声が聞こえたらしい。

 今代の『セイリュウ七本槍』に選ばれたようだ。


 みんな、セイリュウ様憑依状態のオリョウの前に跪いた。


「セイリュウ様、お選びいただきありがとうございます。人々のために微力を尽くします」


 代表してマリナ騎士団長が挨拶をした。


「あなたたちに、力を授けます。手を前に出しなさい」


 セイリュウ様がそう言うと、マリナさんたちの手の周辺に光が集まってきて、収束しながら丸くなった。

 そしてその光はすぐに弾け、筆のようなものが現れた!


 どうやら特別なアイテムが与えられたようだ。


 そして、セイリュウ様の前に、突然、もう一人女性が現れた!


 その女性は……なんと、敏腕デカことゼニータさんだった。


 ゼニータさんは、元怪盗ラパンのルセーヌさんとの特捜コンビで、『領都セイバーン』の『マットウ商会』を検挙に行っていたのだ。

 おそらくセイリュウ様の力で、転移して来たのだろう。


 七本槍と言いつつ六人しかいないのが気になっていたが、どうやら七人目はゼニータさんだったらしい。


「今代の『セイリュウ七本槍』は、女性の特別チームにしました。頼もしい女傑が揃っていましたからね。今あなた方に授けたのは、『七本槍の筆槍(女傑の青槍バージョン)』という『名称』の『神器級ゴッズ』階級のアイテムです。通称『女傑の青槍せいそう』とも呼ばれています。私が過去に力を貸した、とある世界の、とある時代の女傑たちが使っていたものです。皆の筆槍には、水晶玉が一つから七つ刻んであると思います。それが一の槍から七の槍の証です。筆槍は魔力を通して念じれば、槍へと変わり強力な武器になります。槍の使い手でなくても使えます。体が自然に動くことでしょう。普段は魔法筆として使うことができます。怪我の回復ができる文字コマンドが設定されています。魔力は消費しますが、人々を回復させることもできるのです。それから七本槍同士、互いに通信することができます。お互いの場所に転移することも可能です。他に転移可能な場所を二十四カ所登録することもできますよ。詳しい使い方は、自然と頭の中に流れてくるでしょう。有効活用してください。この筆槍の真の力を引き出せれば、新たな武器を手にすることもできるはずです。精進してください」


 セイリュウ様が、自ら説明してくれた。

 なんと、『神器級ゴッズ』階級のアイテムだった。

 話を聞く限り……武器にもなるし……回復アイテムにもなるし……『ドワーフ』のミネちゃんが提供してくれている転移の魔法道具とほぼ同様の機能もある。

 凄すぎるんですけど……。


 それにしても……女性だけを選んで七本槍を組織するなんて……ちょっと遊び心的な感じもあるのだろうか……。


 でもわかる気がする……。

 これだけ女傑が揃っていたら……そういうチームを作ってみたくなるよね……。


「一の槍、マリナ=セイバーン、微力を尽くします!」

「二の槍、ユーフェミア=セイバーン、全霊を持って大役を果たします!」

「三の槍、ユリア=セイバーン、全力を尽くします!」

「四の槍、ミリア=セイバーン、必ずやり遂げます!」

「五の槍、ランスン=スピアード、人々を守ります!」

「六の槍、ユミル=キュドウ、全身全霊をかけて使命を果たします!」

「七の槍、ゼニータ=ヘイジ、命をかけて使命を全う致します!」


 七人が決意を宣言した。


 それにしても……この七人は、ほんとに立派だ。

 突然、天声が響いて、こんな凄い展開になっているのに、冷静な感じだ。


「みんなの活躍に期待しています。それでは私は戻りますが……このオリョウちゃんとも仲良くしてくださいね。彼女は、誰よりも熱い心を持っています。弱い者を助ける優しさと強い者にも立ち向かう勇気を持っています。それではまた会いましょう…………あ、戻ったって感じ。なんかセイリュウ様ってば、アチシのことよく言ってくれたっていうか……わかってくれてる感じっしょ。アチシのこと好きなんだかし? もしかして告る気? でももう身も心も一緒って感じだし。最高かよ! ああ、みんなこれからよろしくって感じ! アチシは、困ってる人を見捨てるのはマジ勘弁、悪い奴には手加減なしだかんね! そこんとこよろしくって感じだし。みんなで楽しいのが一番って感じ。このメンバー、まじ最高かよ!」


 オリョウに戻ったようだが……オリョウも『ライジングカープ』のキンちゃんとキャラ被りなくらいクセが強いから……入れ替わりのギャップが、キンちゃん同様、恐ろしいことになっている……。

 さっきまでの厳かな感じが……完全に台無しだ!


 ユーフェミア公爵とかは、慣れた感じでニヤけているけど……ランスンさん、ユミルさん、ゼニータさんは、顔に斜線が入った感じで固まっている。

 この人たち大丈夫だろうか……。


 まぁそのうち慣れてくれるだろう。



 

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