605.ロイヤルピクシーの、その先へ。
ニアは、『ロイヤルピクシー』から『クイーンピクシー』にクラスチェンジして、新たな『通常スキル』と『種族固有スキル』を手に入れたようだ。
『クイーンピクシー』は、どうも空間魔法・亜空間魔法系が得意な種族らしい。
ちなみに、『ピクシー』は『風魔法』系、『ハイピクシー』は『雷魔法』系、『ロイヤルピクシー』は『回復魔法』系という感じだった。
『
『
ニアは軽く説明してたけど……めちゃめちゃ凄いスキルだと思うんだけど!
戦い方が根本的に変わるような気がする。
しかもありがたいことに……『通常スキル』ということは……ムフフ。
『共有スキル』にセットできるということだ!
まぁ『通常スキル』でも、一部のレアスキルは『共有スキル』にセットできないから、やってみないとわからないけどね。
縮地とか瞬間移動系のスキルが欲しいと思っていたので、非常に嬉しい!
『亜空間検知』は、亜空間の歪みを検知することができるスキルらしい。
更には、紐付けを失った漂流亜空間に接続することもできると表示されているそうだ。
今のところ、どういう使い方ができるのかよくわからない。
ただもしかしたら……敵が転移で現れるときなどに、その予兆を感じ取ることができるとか……そういうことなのだろうか……。
それからニアの考えでは、紐付けを失った漂流亜空間というのは、おそらく『アイテムボックス』スキル所持者が死亡して、回収できなくなっている収納空間ではないかとのことだ。
魔法カバンなどでも、起こりうることらしい。
もしそうだとすれば、このスキルを使って“亜空間宝探し”のようなことができるかもしれないと悪い笑みを浮かべていた……。
まだ戦いの最中なんだから、そんなことを考えてる場合じゃないと思うのだが……。
ニアさんは、クラスチェンジにより、いつも以上にハイテンションになっているようだ。
そういえば、ニアに限らずクラスチェンジすると、みんなエネルギーに満ち溢れるようで、凄く元気になるんだよね。
『種族固有スキル』も、二つ手に入れたようだ。
一つ目は、『
なんか凄いのが、ここにも来てる……。
これきっと……『アメイジングシルキー』のサーヤの『種族固有スキル』の『
あの無双警備員たちのように……無双なピクシー騎士団がやってくるのか……。
まぁ『
二つ目は、『
奇跡を起こすって……。
ニアのスキルらしくめちゃくちゃだ……。
『ミラクルスロット』というのが三つあって、そこに願いをセットできるとのことだ。
ニアはそこに、『いつでもグリムの下に瞬間的に戻れる』という願いと『なりたいときに人型形態になれる』という願いをセットしたらしい。
なんとこの力で……亜空間を飛び越えて、戻ってきたらしい。
なんかもう……めちゃくちゃだ……。
戻ってきてくれたのは、本当に心から嬉しいけども……
もうそのやり方が……めちゃくちゃというか……まさにミラクルすぎるんですけど……。
何なのこの破天荒スキル……
まぁクイーンのスキルだから……ということで、無理矢理納得しておくしかない……トホホ。
ちなみに、三つ目の願いを訊いたところ、「内緒よ……うふ」と言われてしまった。
何か……背筋に悪寒を感じたが……まぁ無事に戻って来てくれたから、よしとしよう。
「あるじ、見つけた! 捕まえた!」
おお、『エンペラースライム』のリンが、潜伏している構成員を見つけてくれたようだ。
すでに取り押さえている。
「ありがとう、リン」
俺は、すぐにリンのところへ行って尋問する。
「このエリアに残っているのは、あと一人でいいのか? 間違いないか?」
ニアが無事に戻ったお陰で、怒気が薄れているようで、今度は気絶しなかった。
「そ、そうだ……ま、間違いない……」
構成員は、諦めたように言った。
「他のブロックには、何人ずついるんだ?」
「う……」
「諦めて白状しろ!」
「うげぇ、あぁ、あがぁ……わ、わかった、わかった……。全体に分散しているし、お前の言うブロックというのが、どんな区切りか知らないが……おそらく三、四人ずつだ……」
俺は思わず……有形力の行使をしてしまった。
でも、多少である……本当である……。
おかげで素直に教えてくれたのだ。
決して拷問をしたわけではないのだ……信じてほしい……。
この構成員が『死人薬』などを飲んでも困るので……『状態異常付与』スキルで、『眠り』を付与して眠らせた。
「よし! 残り一人ね、私に任せて!」
ニアが張り切っている。
それはいいのだが……。
人間サイズで、普通の美少女として立っているのが……俺には違和感でしかない。
いつも俺の目線のあたりを飛んでいたからね。
「そこ、タアァ、タアァ、タアァ!」
——ドスッ
——ババンッ
おお、ニアが当てた!
透明になって隠れていた構成員に、正拳突きを当てた!
ただ、力が入りすぎていて、構成員は殴り飛ばされてしまった。
後方の建物まで飛んで、激突して気を失っている。
てか……死んでないよね?
ニアは、今までの羽妖精サイズでは、素手での格闘戦なんてしたことないから……力の加減がまだわかっていないようだ。
それにしても……よくいる場所がわかったなぁ……。
二回空振りしていたが、三発目で見事に当てていた。
ニアは、何かを察知できるのだろうか……?
ただなんとなく……最初の二発の空振りを見ていると……当てずっぽうに殴っていたような気がしないでもない……。
もっとも……そうだったとしても、それはそれですごいラッキーガールっていうことになる。
いずれにしても……『ニアさんは、めちゃくちゃだ』という結論に落ち着いてしまうようだ。
ニアは、殴った構成員の生死はあまり気にしていないようだ。
あれで死なない程度に殴ったつもりなのかなぁ……少し不安になる。
羽妖精のときには、格闘戦なんてできなかったから、格闘で倒したことがよほど嬉しかったようだ。
満足そうに頷きながら、悪い笑みを浮かべている。
それにしても、今まで見た姿と違って……全てが違和感というか……よく言えば新鮮だ。
人間サイズの少女状態になると……顔つきは同じなのだが、本当にアイドルにしか見えない。
超絶に可愛いアイドル美少女だ。
ニアは、黒髪黒眼で、日本人っぽい顔つきだから、本当に日本のアイドルみたいなんだよね。
今までの三十センチくらいの身長が、百五、六十センチになっただけで、全然印象が違う。
今着ている服は、ハナシルリちゃんに合わせた『ゴスロリドレス ミニスカバージョン』だが、それも微妙にアイドルっぽく見えるんだよね。
お洒落カッコイイアイドルだ。
そして何故か……服も破れずに一緒に大きくなってるんだよね……やっぱりミラクルなんだね。……そう自分に言い聞かせ……納得するしかない……。
まぁ服が破れていたら、大惨事になっていたから、破れなくてよかったけどね。
背中に付いていた四枚の羽がなくなっているのも、大きいかもしれない。
印象が全然変わるからね。
そんなことを思いながら……俺としたことが、ついついニアさんを見つめてしまっていたらしく……
「まったくもう……私への気持ちが抑えられないの。もう十分グリムの気持ちはわかってるから! 今は戦いの最中なのよ、が・ま・ん・し・て……ふふ」
と言われ、優しく微笑まれてしまった。
なんだろうこの感じ……優しく微笑まれたのに……体が受け付けないこの感じ……。
絶対いつもならジト目を向けられるし、他の人に見とれていたら『頭ポカポカ攻撃』をされてるところだ。
それがなかったことが、物足りないと俺は感じてしまっているのか……?
もしそうだとしたら……ドMな何かが、また目覚めようとしている感じで嫌だ……。
それとは別に……ニアに優しく微笑まれると……なぜかドキドキしてしまった……なんだこれは……?
これもやはり……“ギャップ萌え”というやつなのか……?
俺ってもしかして……基本性能として……『ギャップ萌え』に弱いのか……。
最近、自分がよくわからなくなるときがある。
美熟女好きなのか………バニーガール好きなのか……コスプレ好きなのか……ギャップ萌えに弱いのか……。
もしかして、全て俺の基本性能なのか……。
出会う人がみんな可愛く綺麗に見えるし……ストライクゾーンが広いという恋愛性能もあるのかもしれない。
ダメだ……何を考えているんだ……
ニアが捕まった動揺で、おかしくなってきているようだ。
深く考えるのはやめよう……トホホ。
子供と動物が大好きという健全な基本性能だけを信じることにしよう……がんばれ、俺!
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