563.パーティー戦、出場選手。
次は、模擬戦第二戦、パーティー戦である。
出場するのは、『
みんな今日のために、密かに秘密基地『竜羽基地』のある竜羽山脈の魔物のエリアで、魔物狩りをしてレベルを上げている。
彼女たちの現在のレベルは……
クリスティアさんは、5つ上げてレベル45。
エマさんは、3つ上げてレベル50。
シャリアさんは、3つ上げて47。
ユリアさんは、4つ上げて45。
ミリアさんは、6つ上げて45。
となっている。
『セイリュウ騎士団』と戦うためには、レベル45はほしいということで、レベル45に至ってなかったメンバーは、かなり頑張ったのだ。
装備は、専用装備の『
武器は、基本的には、それぞれが普段使っている武器を使うことになっている。
クリスティアさんは二刀流の剣、エマさんは剣、シャリアさんも剣、ユリアさんは大剣と短杖、ミリアさんは槍が通常の戦闘で使う武器だ。
だが今回は、パーティーで戦う団体戦なので、冒険者パーティーのように役割を決めて装備を変更したようだ。
事前に聞いた話では、ユリアさんが持っている短杖での魔法攻撃は行わず、武術での真向勝負を挑むつもりらしい。
『セイリュウ騎士団』も、おそらく魔法の武器は使わないだろうという予想だった。
ということなので、役割を決めるといっても、冒険者パーティーのように『魔法使い』ポジションや『ヒーラー』ポジションはなしで、壁役の『タンク』ポジションと『アタッカー』だけで構成するということだった。
壁役を担当するのは、シャリアさんとユリアさんだ。
彼女たちは、大盾を装備して前衛となるのだ。
今回使う大盾は、特別に作ったものだ。
一メートル五十センチ四方の板のような四角い大盾だ。
盾の内側には、両手で支えられるように、持ち手が二つ付いている。
そして、機動隊などで使うシールドのように目線の位置がくり抜いてあって、見えるようになっている。
この部分には、シースルー装備同様蜂魔物の羽を使っている。
この大盾を作っているときに改めて思ったのだが、盾が大きくなればなるほど、視界が奪われるという問題が発生するのだ。
この問題は、程度の差こそあれ普通の盾でも一緒だ。
丸盾などの小さい盾を除き、ある程度の大きさの盾には内在する問題なのだ。
そこで思いついたのが、俺が元いた世界で見た透明なシールドだ。
形状は機動隊などで使っているシールドと一緒だが、特殊な素材で盾全体が透明になっているのだ。
これなら視界を遮らない。
そんな盾を作ったら、売れるんじゃないだろうか。
ただ現時点では、盾にできるほど強固な素材で、かつ透明なものを発見できていない。
蜂魔物の羽も、盾にするほどは強くないのだ。
だがいずれ商品化したいと思っている。
今回作った大盾の名称は、『魔竹の
『階級』は『
『魔竹』がベースになっているので、大きくても軽い。
そして魔力を通すと、さらに強固になるという特徴があるのだ。
二人三人と並んで使えば、即席の防衛陣地のようにもなる。
大盾の内側には、内蔵の杭が装備されていて、専用のレバーを倒すと盾の下部から杭が伸びる構造になっている。
これが地面に突き刺さり、盾を固定できるのだ。
大盾は、『魔竹』の細めの部分を縦に並べた状態になっている。
盾の周囲のフレームと内蔵杭は、象魔物の象牙でできているのだ。
赤黒い『魔竹』の盾の周囲を、象牙から作った白いパーツが縁取っている形になっていて、結構かっこいいのだ。
もっとも、『魔竹』の色が普通の竹の色だったら……ざるそばの敷物の竹すのこを、巨大にしたように見えたかもしれないけどね。
攻撃を担当するは、クリスティアさん、エマさん、ミリアさんだ。
彼女たちは、従来の自分たちの武器で戦う予定だ。
対する『セイリュウ騎士団』の出場者は……
格付け第三位の斧士ログアクス=ナガテオさんは、三十八歳でレベル49とのことだ。
彼は長手斧を使う。
背はそれほど高くないが、がっちりした体つきで全身鎧が窮屈そうに見える。
黒髪黒ひげのワイルドな顔つきだ。
第四位の斧士バトアークス=センブンさんは、四十五歳でレベル50とのことだ。
彼は戦斧を使う。
大柄で筋骨隆々だ。
全身鎧を着ていてもわかる。
スキンヘッドで、白髪混じりの顎ヒゲを生やしている。
第五位の槍士ランスン=スピアードさんは、二十八歳でレベル47とのことだ。
彼女は槍を使う。
長身で、全身鎧を着ていてもスレンダーなのがわかる感じだ。
目力が凄いというか……気が強そうな顔をしている。
ランスンさんは、セイバーン公爵領の執政官を務めているスピアード伯爵の娘さんなのだそうだ。
スピアード伯爵に会ったことはないが、執政官ということは、ユーフェミア公爵の右腕のような存在なのだと思う。
その伯爵令嬢が、セイリュウ騎士だなんて……。
この人もやはりユーフェミア公爵に憧れているのだろうか。
髪色こそ茶髪で違うが、ユーフェミア公爵とそっくりのボブカットにしている。
公爵ファンで間違いないようだ。
第六位の剣士スウォード=ケンシンさんは、三十五歳でレベル44とのことだ。
彼は剣を使う。
金髪のイケメンだ。
二十代にしか見えない。
全身鎧なので定かではないが、着やせするタイプでなければ、かなり細身なように見える。
ケンシン子爵家の次男だそうだ。
ケンシン子爵家は、セイバーン公爵領の海に面した市町の一つである『ウバーン市』の守護をしているらしい。
第七位の弓士は、先程アンナ辺境伯と弓術を競ったユミルさんだ。
彼女は、連戦となるのだ。
改めて彼女のプロフィールを確認すると、ユミル=キュドウさん、二十八歳でレベルは45だった。
明るい金髪をボブカットにしている。
ユーフェミア公爵とそっくりの髪型だ。
軽鎧を着ている感じからして、引き締まったアスリートのような体つきだろう。
怜悧な感じの美人だ。
キュドウ男爵家の令嬢で、次女とのことだ。
キュドウ男爵は、領の財政担当執務官をしているらしい。
財政担当執務官は、領の財政を管理する重要な役職のようだ。
いわゆる財布の紐を握っているというやつだ。
ピグシード辺境伯領では、悪魔の襲撃事件によって貴族がすべて殺害されてしまって人材がいないので、現在は機能していない役職だ。
執政官のユリアさんがすべてを取り仕切り、優秀な文官たちが実務を担当して領政を何とか回しているのだ。
だが本来は、セイバーン公爵領のように、領政の中で貴族が担当する役職が多くあるらしい。
全体を取り仕切る執政官の下に、部門毎に実務をまとめる執務官が配置されているのだそうだ。
ちなみに、セイリュウ騎士には、名誉騎士爵以上の爵位が与えられるようで、貴族でなくても貴族に取り立てられるのだそうだ。
また貴族の子弟も、自分独自の爵位を得ることができるので、家督を継ぐ資格がない者にとっては非常に意味のあることなのだそうだ。
名誉爵位なので、一代限りとは言っても、自分で貴族家を興すことができるのだからね。
このパーティー戦に出場する騎士たちは、ユミルさん以外は、皆『セイリュウ騎士団』の標準装備の全身鎧を装着している。
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