異世界を魅了するファンタジスタ 〜『限界突破ステータス』『チートスキル』『大勢の生物(仲間)達』で無双ですが、のんびり生きたいと思います〜
478.フェアリー商会の、新体制、その六(元冒険者サリイとジェーン)。
478.フェアリー商会の、新体制、その六(元冒険者サリイとジェーン)。
九、乗合馬車事業本部——『フェアリー運行』を展開。
現在は、『マグネの街』に本店、『領都ピグシード』『ナンネの町』に支店がある。
今後『イシード市』にも出店予定。ヘルシング伯爵領には、今のところ出店の予定は無い。
事業本部長は、『マグネ本店』の事業支配人のジェーンさんにお願いした。
この事業部門は、以前は元冒険者のサリイさんが支配人をしていたが、ジェーンさんを抜擢した。
ジェーンさんは、サリーさんの元冒険者仲間で、『アルテミナ公国』からサリイさんが呼び寄せた人なのだ。
サリイさんが『フェアリー商会』に入ってしばらくした後に、入社してくれていたのだ。
今までサリイさんと一緒に、この部門の運営をしてくれていて、その手腕を評価して今回の抜擢人事となった。
ちなみにジェーンさんは、サリイさんと同じ二十八歳で、レベルもサリイと同じ38である。
二人とも、衛兵隊でいえば隊長クラスの実力なのだ。
冒険者としても、中堅以上の実力だろう。
一緒にパーティーを組んでいたようだが、聞いたところによると女性だけの六人パーティーだったようだ。
『斥候』『アタッカー』『ロングアタッカー』『タンク』『魔法使い』『ヒーラー』と完璧にバランスのとれたパーティーだったようだ。
これは前に、元冒険者パーティー『
なんでも、彼女たちを目当てに冒険者を目指すいう不純な動機の男たちが続出してしまったらしい。
『
ローレルさんはサリイさんの師匠だが、他のメンバーもローレルさんたちから教えを受けていたらしい。
サリイさんは、金髪をポニーテールにした細身の美人だが、ジェーンさんは黒髪をショートにした健康的な美人だ。
サリイさんは『斥候』を担当していたようだが、ジェーンさんは『ロングアタッカー』を担当していたようで、弓の名人らしい。
リーダーをしていた『ヒーラー』の女性が亡くなって、パーティーを解散したらしい。
これも前にローレルさんから聞いた話だが、サリイさんたちもローレルさんたちのように二つ名を持っていたようだ。
中堅以上の冒険者になると、かなりの確率で二つ名を持っているらしい。
サリイさんは、階層の事前調査や魔物の釣り出しなどを担当する斥候が本来のポジションだが、剣も槍も弓も魔法までも使うオールラウンダーでもあることから、『変幻のサリイ』という二つ名だったらしい。
戦闘中、ポジションを変幻自在に変え、消えるかのごとく超速で移動する事から、そう呼ばれるようになったそうだ。
どうも俺が思っているよりも、かなりすごい冒険者だったらしい。
そしてジェーンさんは、『双射のジェーン』という二つ名を持っていたとのことだ。
二本の矢を同時に射ることから、その名がついたそうだ。
弓矢を使うアメコミヒーローや時代劇の英雄ものの映画などでは、同時に二本射って二人の敵を倒すというシーンをよく見るが、実際はかなり難しい技なのだ。
『弓術』のスキルレベルが10でも、スキルの力ではできない技なのだ。
かなりの訓練をしないとできないと思う。
二本同時に射ることはできても、二本とも狙った的に当てるのは至難の業なのだ。
ジェーンさんは、かなりの訓練でできるようになったらしい。
聞いたところによると、その訓練を通じて『双矢術』というスキルが身についたらしい。
『弓術』スキルとは別に、このスキルが身に付いたことによって、格段に命中精度が上がったらしい。
『双矢術』は、『通常スキル』ではあるが、レアなスキルのようだ。
この部門の事業内容は、乗合馬車の運行と貨物輸送であるが、今後の新たな展開を考えると、元凄腕冒険者のジェーンさんが事業本部長というのは、とても大きな意味を持ってくるのだ。
今後は、ピグシード辺境伯領の各市町を繋ぐ長距離乗合馬車を稼働させようと思っている。
例えていうなら高速バスのようなものである。
『マグネの街』『領都ピグシード』『ナンネの街』そして今後復興する『イシード市』を繋ぐ定期運行馬車を稼働させるつもりなのだ。
これが実現すれば、もっと人や物の流通が多くなるだろうし、旅行のようなこともできるようになる。
この世界では、旅は命がけの危険なものであるが、『フェアリー運行』の長距離乗合馬車で早く安全に旅ができるようにしようと思っているのだ。
道中、盗賊や魔物が出ても、対応できるようなかたちを整える予定だ。
まず馬車自体を強化したものにしようと思っている。
魔物の素材を使った強化馬車を作って、不測の事態が起きたときに中に籠城できるようにしようと思っているのだ。
外見は通常の馬車に見えるように偽装するが、盗賊などの攻撃程度では破壊されないようにする。
魔物に襲われた場合には、体当たりなどをされる可能性もあるが、すぐに粉砕されるようなことは無いくらいの強度にはしようと思っている。
次に馬車を引く荷引き動物たちは、皆俺の『絆』メンバーなので『共有スキル』が使える。
緊急事態が起きても、スキルの力で防御したり回復したり戦うことも可能なのだ。
ただ普通の馬とかが、魔法とかを使うのはかなり衝撃的なことなので、どうしようもないとき以外は、目立つ行動はしないようにしてもらうつもりだ。
一応マスコット代わりに、レベル上げが済んでいるスライムを二体添乗させるつもりなので、直接乗員を守る行動はスライムにしてもらおうと思っている。
馬とかが凄いスキルを使うよりは、まだスライムの方がいいだろう。
『妖精女神の使徒』としても、だいぶ浸透しているからね。
また、これを補うために御者を務める乗務員には、ある程度腕の立つ者を人選する予定だ。
一つの馬車に、二名体制で乗務してもらうつもりだ。
この乗務員には、元冒険者が適任なのだ。
実は最近、『フェアリー商会』に面接にやってくる元冒険者が増えている。
これは前にも報告を受けていたこと……『アルテミナ公国』の政情が不安定になっていて、不満を持つ冒険者が他国に流れているという話と関係している。
そんな冒険者の中には、それをきっかけに引退して違う道に進む者もかなりいるようなのだ。
その人たちが、このピグシード辺境伯領の『マグネの街』に集まってきているのだ。
サリイさんが昔の知り合いに連絡をして、宣伝してくれているのがかなり効いているようだ。
ただ、どうもローレルさんの話を聞く限り、美人パーティーで有名だったサリイさんやジェーンさんがいるという噂を聞いて、訪れている元冒険者も結構いるようだ。
サーヤの話では、元冒険者という若い男性が多く面接に来ているらしい。
どう見ても、まだ引退するには早い若者が多いようだ。
ほぼ間違いなく……サリイさんたちを追ってきたに違いない。
まぁそれでも、ちゃんと働いてくれる人材なら問題はないけどね。
当然ストーカーみたいな悪質な奴は、サーヤの面接で弾いてるはずだし。
サリイさんやジェーンさんには申し訳ないが、ここは開き直って二人が『マグネの街』にいることを『アルテミナ公国』の冒険者ギルドに大々的に流せば、サリイさんたちを目当てに多くの冒険者が『フェアリー商会』に面接に来てくれるかもしれない。
……意外といい手かもしれないなぁ。
まぁ目当ての女性を追いかけて、冒険者を辞めるような男たちなので、冒険者としては微妙だろうが普通に働いてくれるなら俺としては問題ない。
もしかしたら、サリイさんたちの部下にしてあげたら、普通どころか喜んで社畜のように働きまくるかもしれない……。
そんな少し悪い考えも思い浮かんでしまったが……ブラックな経営者にはなりたくないので、自重しておこう。
これらの安全対策とともに、もう一つ考えなければならないのは、宿泊の問題だ。
どの路線も、大体到着までに三日程度はかかる。
常識的な馬車の速度で運行すれば、その程度はかかるのだ。
最低でも、二泊はしなければならない。
普通なら野宿というかたちになるが、できれば快適に過ごしてもらいたいので、予め中継地点を決めて、キャンプ場のような宿泊できる無人の施設を作っておこうと思っている。
将来的には、宿屋を作ってもいいと思っているが、いきなり大人数が利用してくれるとも考えられないので、当面は寝る場所を用意してあげればいいと思っている。
食事は、みんなでキャンプのように作ればいいのではないだろうか。
宿泊予定地以外にも、日中の道中でも午前と昼と午後の三回くらいは休憩が必要なので、事前に休憩場所を決めて無人のサービスエリアのような施設を作ろうと思っている。
トイレ休憩やリフレッシュなど、少しでも旅を快適にしてもらうためだ。
将来的には、本当のサービスエリアのように出店を出店してもいいかもしれない。
まぁこれで採算を取るためには、かなりの人数が利用してくれないとダメだけどね。
そこまでいかなくても、周りに綺麗な花を植えて景観を良くするとかの工夫はできるかもしれない。
紫陽花の咲くサービスエリアとか、チューリップの咲くサービスエリアとか、向日葵の咲くサービスエリアとか……うん! いいかもしれない!
当面は不採算になるだろうが、長距離乗合馬車事業は、すぐにでも始めるつもりだ。
ちなみに、『マグネの街』『領都ピグシード』『ナンネの街』で運行している通常の乗合馬車事業は、至って順調である。
黄色い馬車は、相変わらずよく目立っているし、二階建ての馬車も人気だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます