472.不動産の、リスト、その一。

 新しくできた『資産管理室』で管理してもらう俺の資産だが、丁度いい機会なので、商会とは関係しない俺の個人資産扱いの不動産物件を一旦整理してみた。

 馬車などの動産さんや宝石など資産価値があるものは他にもあるが、それらは皆『波動収納』にしまうことができるので、無理に管理してもらう必要もないと思っている。

 使う必要が出きたときに、商会に提供すればいいと思っている。

 当面は、『波動収納』にしまえない不動産のみを、管理してもらえばいいだろう。


 俺の個人資産扱いの不動産は……


 一、霊域の家

 俺はあまり使っていないが、今は『蛇使い』のギュリちゃん、『石使い』のカーラちゃん、『土使い』のエリンさんとその一家に使ってもらっている。

 彼女たちはここに住んで、大森林の広場に特訓に出向いているのだ。

 エリンさんとその一家は、もうすぐ完全に『イシード市』に引っ越すことになっている。

『イシード市』復興の準備として、彼女たちの家も既に立ててあるのだが、まだ完全には引っ越していないようだ。

 ギュリちゃんとカーラちゃんのことが、気になっているようだ。

 ギュリちゃんもカーラちゃんも『ドライアド』のフラニーが親身になって面倒をみてくれているし、結構な頻度でトルコーネさんの『フェアリー亭』を手伝いに行っているので寂しくはないと思うが、やはり今まで一緒にいたから気のなるのだろう。


 二、大森林の家

 大森林の家は、俺もそれなりに使っている。

 霊域にも大森林にもそれなりの頻度で訪れているが、大森林にいる時間がいつも長いので休憩所として使っているのだ。

 ちなみに大森林には、仲間たちが『家魔法』の練習で作った様々な家が設置してある住宅地のようなものがあり、そこにある家は、一応仲間たちの個人資産ということになると思う。


 三、不可侵領域にある元盗賊のアジトで、現在俺の別荘扱いの場所が十カ所ある。

 整理するために、名前を正式につけることにした。

『ピア街道別荘一号』から『ピア街道別荘十号』にした。

『アルテミナ公国』と、ピグシード辺境伯領『マグネの街』を繋ぐピア街道の西側の領域の比較的街道に近い場所に六カ所、東側の比較的街道に近い場所に四カ所ある。

 街道の西側にある六カ所の別荘を北から南にかけて順番に一号から六号と割り振り、東側にある四カ所を七号から十号と割り振った。

 ちなみに、『ミノタウロスの小迷宮』がある不可侵領域内の山脈に一番近いのは一号別荘で、『ピュア温泉郷 妖精旅館』に一番近いのは三号別荘だ。

 そして、不可侵領域で作っている米の栽培エリアに一番近いのは、九号別荘である。

 ピア街道の近くには、他にもミルキーたちの家だった建物やリリイの家だった建物が残してある。

 ミルキーたちの家は、六号別荘よりもさらに南側にあり、リリイの家は十号別荘よりもさらに南側にある。

 これらは、彼女たちの資産ということになるが、一緒に管理してあげることにしている。

 ちなみに、これらの物件は未だに有用な使い道が思い浮かばない。

 周辺を巡回しているスライムたちに、変な集団に再利用されないように管理してもらっている状態だ。

 ほぼスライムたちの遊び場になっている感じだが、それでもいいかなと思っている。


 四、『ピア温泉郷 妖精旅館』

 これも一応、俺の資産ということになるだろう。


 五、『ピア温泉郷 妖精旅館』の地下にある『ピア街道地下街』

 今後は『アラクネロード』のケニーの隠密諜報部隊の作戦基地になりそうな予感はするが、今のところ使い道は決まっていない。

 今まで受け入れていた吸血鬼一歩手前の『適応体』状態の人たちは、『イシード市』に一旦移ってもらったからね。

 そして、聖血鬼になったメンバーも、みんな配属先が決まったらね。


 六、『マグネの街』の個人屋敷

『マグネの街』では屋敷を二つ手に入れ、一号屋敷は『フェアリー商会』の本部建物として使っている。

 二号屋敷が、俺の個人としての邸宅だ。

 この一号屋敷と二号屋敷は隣り合っていて、その更に隣には守護の屋敷がある。

 守護の屋敷は、今のところ守護である俺に利用権はあるが、俺の所有物ではないのだ。

 屋敷を管理している執事、メイド、下僕といった使用人は、元々俺が個人で雇用しているかたちだったが、全員を『フェアリー商会』の社員にした。


  『フェアリー商会』の本部建物になっている一号屋敷の執事だったバンジェスさんは、『フェアリー商会』の総務部門長をしつつ、引き続き屋敷全体の管理もしてくれている。

 料理人だったチョリスタさんとリョリンさんは、『フェアリーパン』の立ち上げメンバーであり、現在は完全に移籍している。

 リョリンさんは、今後『フェアリー食品』に移動してもらって、部門長を任せる予定だ。

 この本部となっている一号屋敷の管理は、メイド三人娘のメイダさん、イドルナさん、ドメイさんと、下僕のゲボルグさん、ボクニールさんを中心に行っている。

 この五人は、総務部門の所属になっていてバンジェスさんの指示の下、屋敷の管理以外にも様々な雑事をこなしてくれているようだ。


 俺の個人邸宅である二号屋敷は、最近では、執事やメイドを目指す者の学校のような感じになっている。

 子供たちを中心に、執事やメイドを目指したいという人たちに教えてあげているのだ。

『使用人育成学校』という名前にして、商会の教育事業部門の一つに組み込むことにした。

 元々二号屋敷の執事であるタバスさんが中心となって教育をしてくれているので、校長に就任してもらうことにした。

 今後も今まで通り、タバスさんとメイド長のロッテンさんが中心となり、執事、メイド、その他使用人全般について教育してもらう。

 この屋敷のメイドのハイージさんとクラーラさんも、今まで通り新人教育の補助をしてもらうことになっている。

 この屋敷の料理人だったペタさんとユキイさんは、『フェアリーパン』を手伝いつつ、『一号屋敷』『二号屋敷』『守護屋敷』の使用人たちの食事も作ってもらっていた。

 今後は、『フェアリーパン』の兼務をやめて、『経営戦略室』の中に作る『まかないラボ』という部署に異動してもらうことにした。

 これは俺の発案で、『フェアリー商会』の飲食関係の部門で使える新メニューや、俺が必要な調味料や食材など作り込んでもらうための部署なのだ。

 彼女たちには、今までのように各屋敷の使用人や『フェアリー商会』のメンバーに食事を作ってもらうのだが、それに新メニューや試作食品を盛り込んでもらうのだ。

 試作品を“まかない”として、みんなに食べてもらうので、すぐにテストマーケティングもできる。

 まかない料理が正式メニューになるイメージで『まかないラボ』としたのだが、一番の目的は、俺がなかなか作り込めないもの……例えば、豆腐の完成度を上げるとか、納豆を作るとか、味噌を作るとか、そういうものを作る実働部隊になってもらう予定なのだ。

 したがって、他にもスタッフを何人か入れようと思っている。

 これで丸投げできる部門が稼働するので、俺がやりたい商品作りが少しは進むはずだ。

 この屋敷と屋敷に付随している果樹園の管理を行っている下僕のオンジーさん、ヨゼフさん、カタツさん、ツムリさんの一家には、引き続きその仕事をしてもらいつつ、『使用人育成学校』の生徒たちへの庭仕事などの指導もしてもらう予定だ。

 馬の扱いや御者なども教えてもらう。

 したがって、この人たちも『使用人育成学校』の所属となっている。

 ちなみに『使用人育成学校』の生徒たちは、働きながら実践的に勉強するというスタイルなので、この二号屋敷だけでなく商会本部となっている一号屋敷や守護の屋敷も含めた三つの屋敷を総合的に維持管理しているのだ。

 これにより少ない人数を補いつつ、維持管理できている。

 仕事としても教育としても、より効率がいいのだ。


 守護屋敷のスタッフは、ほとんど俺が立ち寄ることがないので維持管理をしているだけの状態だ。

 もちろん三つの屋敷は、綿密に連携しているので、いろいろ手伝ってくれてはいる。

 だがこの屋敷の執事のセバンさんもメイド長のメイシュさんも優秀なので、その能力を発揮してもらえるようにしたいと思っている。

 そこで考えたのが、屋敷で接客する特別チームを作ることだ。

 守護屋敷には、他にメイドが五名、下僕が五名いるのでそのスタッフも含めて特別チームとした。

 何をするのかというと……今後、各市町にある俺の屋敷でお客さんを招待したりするときに、出張で駆けつけてもらって接客をしてもらうのである。

 いわば『おもてなし特別チーム』だ。


『領都ピグシード』では、俺の屋敷をアンナ辺境伯が建築中だし、『ナンネの街』にも俺の屋敷を『家魔法』で建築してある。

 『イシード市』にも、先日、復興準備のために各種建物を建てた時、俺の屋敷も建築した。


 ただ、それぞれ俺がいることがほとんどないので、執事やメイドなどを通常の状態で配置するのは、ちょっともったいない気がしている。

 普段の維持管理は、最低限のスタッフにして、お客様さんを呼んだりする場合にだけ、『おもてなし特別チーム』に出張してもらうというかたちにしようと思っているのだ。


 『フェアリー商会』の幹部には、転移の魔法道具を解禁するので、サーヤに転移の魔法道具を使っている体で連れて来てもらえばいいと思っている。


 これによって、『マグネの街』にいる三人の優秀な執事たちの役割分担が明確になった。


 商会本部である一号屋敷の執事であるバンジェスさんは、商会の総務部門の部門長として全体を見てもらう。

 俺の個人屋敷である二号屋敷の執事のタバスさんは、『使用人育成学校』の校長として人材育成を担当してもらう。

 今は、商会のスタッフ、養護院の子供たち、避難民の中で希望する人たちに指導している程度だが、今後は本格的な学校として機能させてもいいかもしれない。

 まぁその場合は、需要が大きい大都市に移すべきかもしれないけどね。

 守護屋敷の執事セバンさんは、使用人のプロとして『おもてなし特別チーム』を率いてもらう。


 今後も、今まで通り三つの屋敷で協力連携して管理業務や商会業務を臨機応変にやってもらうが、役割が明確になって、すっきりした感じだ。



『マグネの街』には、他にもサーヤの家と敷地がある。

 この家は、『付喪神 スピリット・ハウス』のナーナそのものでもある。

 これは、サーヤの個人資産であるが、一応リストの中に入れておくことにした。





 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る