444.隠し部屋、発見!
俺の弟分になった『魚使い』のジョージに、スキルや仲間たちのことを打ち明け、俺の『絆』メンバーになってもらったところで、他の『使い人』の子たちと同じように大森林で保護したいという話をした。
ちなみにジョージは、『上級吸血鬼 ヴァンパイアロード』が魔物化した『吸血魔物』を一人で倒すという大金星をあげたが、レベルはまだ23だ。
かなりレベル差がある敵を倒したわけだが、一体しか倒していないので、それほど急激にはレベルは上がらなかったようだ。
やはりレベルを上げるには、数を倒すことが重要なようだ。
ちなみに『
ジョージたちのレベルでは、やはり大森林で保護して、レベルを上げて強くなってもらったほうが安全だと思う。
ところがジョージは、せっかく砂漠の小さな村から違う場所にやってきたので、いろいろと見て回りたいというのだ。
まぁ違う世界の前世の記憶があるだけに、異世界を満喫したいという気持ちは分からなくはない。
だがもう少しレベルを上げておかないと、もし狙われたときに危ないと思うんだよね。
俺の仲間になって『共有スキル』は使えるし、彼には『
そして、常に『貝殻ビキニアーマー』を装着していれば、余程のことがない限り命に関わることは起きないと思う。
ただあれを常に装着していたら……ジョージの心が壊れてしまうかもしれない……。
やはり……常に『貝殻ビキニアーマー』を装着しなくても済むように、もう少しレベルを上げておいたほうがいいと思うんだよね。
そこで、トルコーネさんの娘で『虫使い』のロネちゃんや、『植物使い』のデイジーちゃんのように、大森林に住むのではなく通うかたちで特訓することを提案した。
そうすれば、いろんな場所を見て歩きながら、レベル上げもできるからね。
ちなみにジョージは、マナゾン大河の近くの街で、魚釣りをしたりして楽しみたいという希望があるようだ。
なので、このアジトの探索が終わったら、俺と一緒に『サングの街』に行くことにした。
もし気に入って、しばらく滞在するならデイジーちゃんたちと一緒に、俺の屋敷で暮らしてもらってもいいと思っている。
『正義の爪痕』もほぼ壊滅に近い状態に追い込んでいるはずだし、今までよりは危険度が低くなっているから、大丈夫だろう。
そんな提案をしたら、ジョージは喜んで了承してくれた。
オクティも、他の霊獣や浄魔たちに早く会ってみたいと、目を妖しく光らせていた。
「ムム……我の血が騒ぐ……。漆黒の姉妹たちが呼んでいる……」と、中二病全開の言葉を発していた。
何でもかんでも『漆黒の』を使えばいいと思ってるんだろうか……完全な間違いだと思うんですけど……。
しかも、ほとんどの仲間たちは漆黒じゃないから……どっちかっていうと、色とりどりですから!
大体オクティ自身が、可愛いピンクだから!
俺はもう一つ、ジョージの夢であるイルカショーについての話もした。
俺の仲間になっている川イルカがいるので、『サングの街』に行ったら紹介するという話をすると、ジョージは目をキラキラさせて喜んでいた。
これから移住者を受け入れて復興する『イシード市』は、ピグシード辺境伯領で大河に面している都市なので、そこに娯楽施設として水族館を建てようかと考えているのだ。
実は全く考えてもいなかったのだが、ジョージの前世での仕事が水族館の飼育員で、イルカショーをやるのが夢だったという話を聞いて、この異世界でも水族館を作ったら面白いかもしれないと思ったのだ。
川イルカのキューちゃんたちに頼めば、すごいイルカショーができると思うんだよね。
まぁさすがに、空を泳いだり、空中を浮遊してるというのはなしにしようと思うが……。
ジョージとの話が一段落するのを待っていたかのように、オケラ型虫馬『ケラケラ』のケラリンが俺に近づいてきた。
(ご主人様、この地下施設の最深部の更に深い部分に空洞がある気がします。ただそこに続く通路のようなものは感じられません。許可いただけるなら、掘ってみたいのですが……)
ケラリンは、突然そんなことを言ってきた。
オケラ型虫馬『ケラケラ』は、穴掘りが大の得意で、土の中の空洞や空間にも敏感らしい。
ケラリンが気配を感じるというんだから、かなり確率が高いんじゃないだろうか。
もしかしたら、その場所が『血の博士』の隠し部屋かもしれない。
ケラリンの話では、かなり深い位置にあるようだが、すぐに掘り進めると言っていた。
俺はケラリンに許可を出し、早速穴掘りを始めてもらった。
垂直に真下に掘るのが最短コースだが、クリスティアさんやドロシーちゃんでも辿りつけるように、螺旋階段のように掘り進んでもらった。
とりあえず今は、俺とジョージ、オクティ、スコピンだけでケラリンの後をついていっている。
ケラリンは、すごい速さで穴を掘っている。
『ケラケラ』が穴を掘るところを初めて見たが、大きな前腕を使ってサクサク掘り進んでいる。
螺旋状に掘り進んでいるので少し時間がかかったが、ほどなくして地下にある空間にたどり着いた。
やはりかなり深い位置にあったようだ。
そしてその空間は、かなり広い空間だった。
一般的な体育館くらいの大きさは、あるんじゃないだろうか。
そして完全に見つけたようだ。
ここは間違いなく『血の博士』の隠し部屋だと思う。
大きな設備が置いてあって、前に『道具の博士』のアジトにあった『操蛇の矢』を作っていた装置と似たようなものが置いてある。
おそらくここで『魚使い』ジョージの血を使って、『操魚の矢』を作っていたのだろう。
俺たちは、早速中に入って調べることにした。
大きな空間の中に、小部屋が三つほどある。
小部屋といっても、それなりの大きさだが。
俺たちは、その小部屋を一つずつ確認することにした。
最初の部屋の扉を開けると……
おお……すごい!
金銀財宝だ!
これはおそらくヘルシング伯爵領の運営費やヘルシング家や貴族たちから巻き上げたものだろう。
かなり使われただろうから、残っているのはわずかだろうが、それでもかなりの量がある。
これをエレナさんに返してあげれば、しばらくの領運営は大丈夫だろう。
この発見はかなり大きい。
俺のそんな喜びをよそに……ジョージ、オクティは目を$マークにして、はしゃいでいる。
まぁその気持ちもわからないではない……。
俺も最初に金銀財宝を見た時は、心踊ったからね。
ジョージたちは、おそらく初めて目にしたのだろう。
でも残念ながら、これはエレナさんに全部渡す予定だ……。
今それを言うと、彼らの絶望が目に浮かぶので、今はそのままはしゃがせておこうと思う。
「こんだげあれば、遊んで暮らせるのー。んだば、これがらどうすっがの。まいっだの」
ジョージは興奮して、いつものごちゃまぜのハイブリッド東北弁が出てしまっている。
「黄金の煌めきが我を覆い尽くす……今まさに覚醒の時! 光にて世を覆い尽くす魔王、ゴールドオクティ覚醒!」
オクティは金貨の山にダイブして、埋もれながら左目の眼帯を外して、わけのわからない叫び声を上げている。
全然ゴールドオクティになってないんですけど……かわいいピンクのままなんですけど……。
スコピンはあまり興味がないようだが、すごく高級そうなネックレスを尻尾の毒針の先でくるくる回して遊んでいる。
スコピンは話すと紳士的な感じだが……結構子供の心を持っているのかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます