151.共有チートで、全員強化。

 俺が『絆』スキルの『スキル共有』コマンドで、仲間達の為にセットしたスキルは以下の通りだ。


 <耐性系>


『物理耐性』———リンから複写。

『魔法耐性』———リンから複写。

『状態異常耐性』———リンから複写。

『石化耐性』———『コカトリス』のコッカから複写。

『疲労耐性』———オリョウから複写。

『火耐性』———『キマイラ』のキーマから複写。

『水耐性』———『ライジングカープ』のキンちゃんから複写。

『風耐性』———ニアから複写。

『土耐性』———『マナ・クイーン・アーミー・アント』のアリリから複写。

『雷耐性』———ニアから複写。

『氷耐性』———『マナ・ホワイト・ベア』のシロクから複写。


『魔法耐性』は、火魔法や雷魔法などの魔法系のものであれば、属性関係なく耐性を発揮する。

 だが、魔法と関係ない自然現象の火や雷等には耐性を発揮できない為、魔法とは別にそれぞれ火耐性や雷耐性等をセットしたのだ。



<吸収系>


『物理吸収』———リンから複写。

『魔法吸収』———リンから複写。

『衝撃吸収』———リンから複写。


『物理耐性』『魔法耐性』や『物理吸収』『魔法吸収』は併用して機能するので、両方セットすることにした。



<強化系>


『聴力強化』———リンから複写。

『視力強化』———『アラクネ』のケニーから複写。

『身体力強化』———『キマイラ』のキーマから複写。

『防御力強化』———『スピリット・タートル』のタトルから複写。

『自然回復力強化』———オリョウから複写。

『暗視』———『スピリット・オウル』のフウから複写。

『剛腕』———『ミノタウロス』のミノ太から複写。

『瞬足』———ミルキーから複写。



<補助系>


『隠密』———リンから複写。

『立体機動』———リンから複写。

『爆走』———オリョウから複写。

『ジャンプ』———『スピリット・ブラック・タイガー』のトーラから複写。

『浮遊』———リンから複写。

『限界突破』———俺グリムの元々の所持スキル。

『テイム』———俺グリムの元々の所持スキル。

『鑑定』———『アラクネ』のケニーから複写。

『アイテムボックス』———『ミノタウロス』のミノ太から複写。



<察知系>


『気配察知』———リンから複写。

『危険察知』———オリョウから複写。

『悪意察知』———『スピリット・オウル』のフウから複写。



<看破系>


『虚偽看破』———『スピリット・タートル』のタトルから複写。



<探索系>


『万物探索』———『スピリット・オウル』のフウから複写。

『財宝発掘』———俺グリムの元々の所持スキル。



<農業系>


『一粒万倍』———俺グリムの元々の所持スキル。

『促成栽培』———俺グリムの元々の所持スキル。



<攻撃系>


『体当たり』———リンから複写。

『格闘』———俺グリムの元々の所持スキル。


 攻撃系スキルは、どの種族でも共通で使えそうなものだけを選んだ。



<攻撃補助系>


『状態異常付与』———リンから複写。

『捕縛術』———俺グリムの元々の所持スキル。


<魔法攻撃系>


『風魔法適性』———ニアから複写。

『突風』———ニアから複写。

風弾ウィンドショット』———ニアから複写。

『雷魔法適性』———ニアから複写。

雷撃サンダー』———ニアから複写。

雷球サンダーボール』———ニアから複写。



<魔法回復系>


『癒しの風』———ニアから複写。



<魔法防御系>


風盾ウィンドシールド』———ニアから複写。

雷盾サンダーシールド』———ニアから複写。



 まだスキルスロットは空いているが、無理に全てを埋める事はしないで、防御系を主体に皆が共通で使えそうなものだけをセットした。


『波動複写』で俺の『通常スキル』にコピーした段階で、スキルレベルが10を超えていないものについては、固有スキル『ポイントカード』の『ポイント交換』コマンドを使って、スキルレベルを10に上げた。

 したがって、仲間達の為にセットした『共有スキル』は全て、スキルレベル10である。


 俺の『絆』登録メンバー全員が共有しているので、はっきり言って、かなりのチート軍団だ。


『絆』登録メンバーのうち、家畜動物である牛、羊、ヤギ、鶏達は、特別に鍛えるつもりはない。

 それゆえ、みんなレベルは低いままになるはずだが、これだけのスキルがあれば、何かあってもほぼ生き残れるのではないだろうか。


 不死身の軍団とまでは言わないが、かなり生存率の高い軍団になった事は間違いない。


 一安心である。


 仲間の生物が増えて『絆』登録メンバーが増えれば増えるほど、『共有スキル』のスロット数が増えるので、仲間が増えること自体が全体の強化になっている。


『種族固有スキル』や『固有スキル』は、『共有スキル』に出来ないが『通常スキル』だけでも充分強化になっている。

 俺の仲間達は『種族固有スキル』は充実しているが、『通常スキル』を持っている者はそれほど多くない。

 それでも、それなりにスキルは一通り揃った。


 まだメンバー全員のスキルの詳細を確認したわけではないので、今後新たに使えるスキルも出てくるだろう。

 それは随時『共有スキル』としてセットすればいいと思っている。




 それにしても、この『波動複写』は超チート技能だ。

 もっと早く使いこなすべきだったと今更ながら反省した。


 そして今回の事でわかったが、波動情報が分かるものについては、スキルですらコピー出来る。


 とすれば、通常の物品なら、ほぼ確実に複写つまりコピー出来るのではないだろうか。


 俺は試しに金貨を一枚取り出してみた。


 金貨に焦点を当てて……


 『波動複写』と念じる———


 ———チャリンッ


 なんと!


 金貨の隣に、もう一枚金貨が出現した!


 コピー出来てしまった!


 念の為、そのコピー品を『波動鑑定』してみると……


 元の金貨と全く同一の内容が表示された。


 コピー品や模造品などといった表示はされなかったのだ。


 完全に通貨が作り出せてしまったのだ。


 というか…… これって……通貨偽造だよね……。


 複写した物は本物と全く同一なので、偽造品とも違う気はするが……気分は完全に通貨偽造だ……。


 俺が元いた世界の紙幣のように番号等が刻印してあるわけではないので、完全に通用しちゃうよね。


 これ……働かなくても遊んで暮らせるっていうことなんですけど……。


 本当にチートだ……


 これ……やばいなぁ……なんか自分がダメになっちゃいそう……


 多分誰にもバレないし、咎める人はいないと思うけど……自重する事にしよう。


 俺は特別な事情がない限り、お金を複写する事はやめることにした。


 この『波動複写』は自主規制しないと、世の中も、自分もおかしくしてしまいそうなので注意しよう。


 人が発明した物や、人が製作した物を複写して販売する事も、やろうと思えば出来てしまう。


 このスキルは、自分の人間性が試されるスキルのような気がしてきた……。


 他にもいくつか『波動複写』を試してみた。


 『波動収納』に入っているサーヤの作ったソーセージも複写出来てしまった。


 もはや食料も作る必要がなくなってしまった……。


 みんなで必死でやったソーセージ作りは何だったのか……


 ……いや、でもあの必死の時間が楽しく充実した時間だった。


 サーヤがガーデニングをスキルでやるとつまらないから、使わないと言っていたのと同じだ。


 お金や食料の心配が不要になったという安心感だけにして、今後も自分で稼いだり作ったりしようと思う。

 だって、その方が楽しそうだし!


『波動複写』で、どんどんソーセージを作ったら、工場を作る必要もない。


 でも工場を作ったのは、雇用を創出する為だし、何より俺自身のスキルに頼った状態は良くない。

 俺が突然いなくなったら、残された者達が困るからね。


 やはりこの『波動複写』の能力は、特別な場合以外はあまり使わない方が良さそうだ。


 お金にしろ食品にしろ、このスキルを使って複写すると魔力を消費するので、魔力が底をつけば複写は出来なくなる。


 本来ならそうなるのだが、俺の限界を突破した魔力は膨大なので、実際は際限なくコピー出来てしまう。

 魔力の自然回復力もかなり高いので、ほとんど無限工場のようだ。



 魔法のアイテムも複写出来る。


 階級が『究極級アルティメット』の『魔剣 ネイリング』もコピー出来てしまった。


 ただ、魔力をごっそり消費してしまったので、普通なら魔力不足で複写出来なかっただろう。


 俺の限界を突破した魔力だから出来たが、普通のレベル、高くてもレベル100とかでは、階級の高いアイテムの複写は事実上不可能だったと思われる。


 ただでさえチートなスキルを、限界突破した魔力が更にチートにしてしまったようだ。



 ただ、超チートの『波動複写』にも出来ない事はある。


 魂の複写は出来ないので、生き物の複写は出来ないのだ。


 魂が抜けた後の魔物の死体などは問題なく複写できる。


 そして限界線は厳密にはわからないが、微生物のような生き物は複写出来るようだ。

 野菜や果実が複写出来たからだ。

 野菜や果実には微生物がたくさん住んでいるはずだからね。


 どこからが魂として区別されているのか明確にわからない……。


 ナビーの推測では、この原理からすれば、アイテムでも『付喪神化』して意志を持つようになると、複写が出来なくなるのではないかとのことだ。


 だからサーヤの家は、本来家という状態なら『波動複写』出来るはずだが、『付喪神化』してナーナとして魂が宿っているので、『波動複写』出来ないことになるはずだ。


 同様にナーナの一部という状態になっている『家馬車』も複写出来ないだろう。



 俺はこのチート能力に刺激され、失われたコレクター魂が甦ってしまった。


 貴重なアイテム等については、全て四つずつ複写する事にした。


 『普段使い用』『観賞用』『保存用』『予備』という感じである。


 これとは別に原本はある。


 冷静になって考えると……

 全くもってやり過ぎだし、意味が無いように思える……

 だがコレクターというのは、そういうものなのだ……特に慎重なコレクターは……。


 ちなみに……『保存用』と『予備』がどう違うのかというような質問については一切答えるつもりはない……コレクターとはそういうものなのだ……自己完結。




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