第97話 ピアノ

 姉がピアノを弾いている。

 僕はその姿が好きだった。

 ひらひらと舞う白い指。

 飽かずに僕が魅入っていると、

「そんなに上手くないわよ。」

 と姉はいつも笑った。


 今でも姉はピアノを弾いている。

 小さな男の子の前で。


 

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