千三十話 営業妨害
「んじゃ、また後でな」
「えぇ、分かりました」
ソウスケはドラゴニックバレーへと向かう道中、リクールという街に滞在することを決め、夕食を食べ終えた夜……ミレアナと別れ、一人で歓楽街へと向かった。
初めの頃はドキドキ恐々ではあったが、今では普段と変わらない表情で……心臓が少し高鳴るだけ。
(相変わらず人を惑わす匂いが充満しているな~)
科学的なことなど一切知らないソウスケだが、歓楽街に充満している匂いは、野郎たちの財布の紐が緩くなってしまう匂いなのではないかと思えた。
「お兄さ~~ん、ちょっと寄ってかな~い」
「安くしとくよ~~」
(安いのは怖いので結構です)
グレンゼブル帝国に入ってから……ソウスケの実力、不気味さが解る人とは普通に喋れていることもあり、酒場で一緒にベテラン冒険者と呑む機会はあった。
そんな中、酔いが回ってきたベテラン達は笑いながら昔の失敗話をしてくれるため、そういった失敗話から……安いそういった店には行かないでおこうと心に決めている。
「よし、ここだな」
ベテラン冒険者から仕入れておいた情報通りの店に到着。
そこでソウスケはいつも通り財布から数枚の白金貨を取り出し、手の中で弄りながら店の中に入っていく。
(…………早く大人になりたいな~~)
この世界では、既に年齢的には大人であるソウスケ。
しかし、見た目的には……大金を持っている様には見えない。
身長も少しずつ伸びてきてはいるが……まだまだ立派な大人、長身と言えるほどの身長はない。
そのため、良い店に入る時はいつも手の中で金貨や白金貨を弄りながら入る。
因みに高級料理店などに入る時は、ミレアナが一緒なため、特に従業員からあれこれ尋ねられたり止められることはない。
「………………十二番の人を二時間、お願いします」
「かしこまりました」
相手を選び終え、先に二時間分の料金を支払い、綺麗なブロンド髪とバルンバルンなお姉さんと部屋に移り、弾倉が尽きるまで楽しんだソウスケ。
「? なんか……大声が聞こえるな」
「本当ね。もしかしてトラブルかしら?」
しっぽり楽しんだ嬢と共にロビーの方へ降りると、大柄な男が暴れていた。
「ぅるせえええッ!!!! 俺が利用しやろうって言ってんだ!!!!!!!」
(……あの客、もしかして金を持ってないのか?)
ソウスケの予想通り、大柄な客は店で嬢を買えるだけの金を持っていなかった。
「……しゃあない」
「え、あっ! ソウスケ君!!!」
黒服が抑えようとするも、中々抑えられない状況から、ソウスケは暴れる男がCランク並みの力があると予想し、被害が大きくなる前にと、目立とうが知ったことではないと飛び出した。
「お兄さん、冒険者だろ」
「あぁん!!!??? なんだ、クソガキ!!!!」
「あんたみたいな人がそういう問題起こしてたら、同業者に迷惑が掛かるから止めてくれ」
「やかまギャァババババババババババババババババっ!!!!!?????」
問答無用で電撃を浴びせさせるソウスケ。
(……もうちょい浴びせるか)
「アバババババババババババババババババっ!!!!!?????」
冒険者の肉体は強靭であり、人によっては各属性に対して多少の耐性を持っている。
それを解っているソウスケは念入りに電撃を浴びせ、本当に焦げ焦げになったところで、終了。
「ァ……ァ」
殆ど気を失っている状態であり、一応死んではいない。
「ほい、ほい、ほいっと。よし」
「あ、ありがとうございます!!! ですが、あの。こちらの道具は」
「この人が暴れて店内が傷付いたじゃないですか。その修復に使ってください」
ソウスケは大柄な男が身に付けていた売れそうな物を剥ぎ取り、従業員たちに渡し……大柄な男を担いで店を出た。
「ぃ、よいしょ!!!!!!!」
そして身体強化だけを使用し、ソウスケは思いっきり先程まで暴れていた男をぶん投げた。
漫画やアニメの様に星のように輝いて消えはしなかったが、それでも十分リクールの街の外に放り投げられることになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます