六百三十四話 少し喰らっても問題無い
「後はもう殆ど残ってないな」
「……残っているアリは少しは楽しめそうだな」
「好きなようにして良いぞ、ザハーク」
「それは有難い!!!」
一般人が見れば失神&失禁しそうなほどいたソルジャーアントとたちもだいぶ数が減り、現在通常のソルジャーアントは全滅。
現在ソウスケは残った上位種とザハークの戦いでソルジャーアントの死体が破壊されないように、急いで亜空間の中に死体を収納している。
そして大量のソルジャーアントを倒したことで人並外れた魔力量を持つソウスケだが、この後に何か来たら不味いと思い、魔力回復のポーションを飲んで何か起こる前に魔力を回復。
冒険者であっても驚いて倒れてしまいそうな群れを殆ど倒し、これ以上はもう何も起こることはあり得ない。
そう思う様な災害と自ら遭遇してしまい、解決した。
しかしソウスケたちが現在いる場所はダンジョン。
大丈夫だろうと思っていても油断出来ない場所なので、素早く魔力回復を行った。
ミレアナも同じく、直ぐに何か身の危険が起こったとしても対応出来るように収納袋の中からポーションを取り出して飲んだ。
「良い感じの硬さだな」
残っている上位種の中にはメタルソルジャーアント、ジャイアントソルジャーアントなど、Cランクの冒険者でも討伐するのが困難な個体が残っている。
先程の殲滅でザハークもそれなりに魔力を使っているので、スキルは身体強化しか使っていない。
大剣を片手に持ち、ザハークらしく空いた手や足で打撃をぶち込む。
一撃で重要機関を潰され、戦闘不能に追い込まれる個体もいるが、大抵の個体は一撃程度であれば耐えて反撃を行う。
(……虫系のモンスターの甲殻は堅いからそりゃ耐えてもおかしくないだろうけど、多くの個体が一発ぐらいならザハークの攻撃を耐えてるな……節目を斬られたらあっさりと終わるけど)
中にはBランクの上位種も存在するので、全開ではないザハークだと速攻で終わらせるのは厳しい。
しかし体を切断された個体に関してソウスケが動き、ザハークの戦いに邪魔にならないようにサクッと止めを刺して回収。
ミレアナも同じように切断されても動く部分を戦場から離して止めを刺し、ソウスケに渡す。
切断した部分が最後の悪足掻きで邪魔されることなく、ザハークは非常に戦いやすかった。
(それなりに早く、そして堅い。だが、切断面を斬られれば脆いな)
Bランクのモンスターともなれば素早く動くので、中々狙った箇所を斬るのは難しい。
だが、ザハークの脚も決して負けておらず、的確に体の節目を斬り裂いていく。
そして現在、ザハークが手に持っているのは火属性が付与されたランク四の大剣。
一般的な大剣でも魔力を纏えば刃を体に食い込ませることは出来たが、半分ぐらいの確率で一発でザクっと斬り裂けない時もあり、とっさに収納袋から火属性の大剣を取り出して魔力を纏い、叩き斬った。
すると予想していた以上にサクッと斬れ、残りの上位種討伐時間がグッと短くなった。
(先程までと比べて数は多くないとはいえ、上位種をこれだけ相手に出来るのは、良い戦場だ!!!!)
どう考えても絶望する戦況なのだが、アドレナリンどばどば状態のザハークは絶望するどころか嬉々として次々に倒していく。
「好きなようにして良いって言ったのに、綺麗に倒してるな」
「鍛冶の素材として使えると思うと、やはりなるべく破壊せずに倒したいのではないでしょうか」
「そういうことか。それなら納得だ……というか、あれだけあれば少しぐらいは喰らっても良いか」
ソウスケは亜空間からソルジャーアントの死体をいくつか取り出し、蛇腹剣で死体を全て喰った。
(正直、俺自身もそれなりに強くなってきたから、あまり喰わせる必要はないけど……それでもあれだけの数がいれば問題無いよな)
確かにソルジャーアントの素材は鍛冶で何かを造るのに役立つが、それでもあまりにも多すぎる。
換金せずとも金には困っていないので、十体程の死体を蛇腹剣に喰らわせてスキルの経験値を得た。
そしてようやくザハークが上位種を全て討伐し終え、死体回収すれば直ぐに下に向かう……そう思っていたソウスケの背中に寒感が走った。
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