四百六十一話 問題無い強さ
「オーク程度ではやはり瞬殺ですね」
「え、その……お二人は、これが普通なのですか?」
「はい、これが普通ですね。というか、オークであれば最低でも上位種でなければ話になりません。それ程までに二人の実力は高いので。強いて言えばソウスケさんはスピードに、ザハークはパワーに特化しています」
「それでは、まだまだ本気では無い、と」
「勿論です。通常種のオーク程度では本気を出す必要はありません。一手で十分です」
強いとは思っていた。ただ……こうして現実に見せられると、三人と自分達との差を明確に示された気がした。
(オークを一撃で……私達では、タイミングが良ければ……魔法が問題無く決まればというレベルの話なのに、三人にとっては造作も無い戦い……)
護衛として、これほど頼もしい存在はいない。そう思えた。
ただ、それと同時にこの三人を雇うための依頼料金に不安を覚えた。
(い、Eランクと仰っていましたが、どう考えてもBランク……いや、Aランク程の実力があるかもしれない。そんな三人を雇うのに、あれだけのお金で足りるでしょうか?)
金貨十枚。
それがソウスケ達に渡される依頼料。
一般的に考えれば割の良い依頼料金だ。
ただ、ソウスケ達の実力を考えればまだまだ足りないのではと、リアス以外の二人も同じ考えに至った。
しかしソウスケ達は基本的に依頼に必要な道具を自分達で用意出来るので、渡される金貨十枚がそのまま懐に入って来る。
なのでソウスケ達としては三人からの依頼料に全く不満は無い。
「次は三人も戦うか? あっ、勿論俺達が後ろから完全サポートするぞ」
「は、はい。よろしくお願いします」
リアス達も守られてばかりというのは宜しくないと思っており、戦うつもりだった。
そして次に現れたのはブラウングリズリー。
ランクは高くなく、Eとルーキーも油断しなければ倒せる。
ただ、そのパワーに捕まることなく毛皮を斬り裂ければの話。
Eランクとはいえその皮膚をしょぼい攻撃では跳ね返されてしまう。
しかし三人は慣れた連携で一分も掛かることなく倒し終えてしまう。
リアスが前衛を務め、セリスが前衛と中間を務めて時には魔法で攻撃する。
そしてカレアが遠距離攻撃を主体にして攻める。
(Eランクのモンスターであれば当然倒せる。多分、Dランクのモンスターでも油断が過ぎなければ問題無く倒せるだろうな。Cランクのモンスターは……個体によっては難しいか?)
貴族の令嬢というだけあって、対人戦には慣れている三人。
だが、モンスターとの戦いにはあまり慣れていなかった。
(でも、思ったよりも戦えているな。特に無茶な動きもしないし前衛と後衛でしっかりと連携も取れている……これならそこまで心配する必要は無いか)
彼女達の戦力を確認したソウスケは三人に対し、そこまで過保護になる必要は無いなと思った。
もちろんリアス達は護衛の対象なので無傷で珍しいモンスターの正体を確かめるのがベスト。
なのだが、三人の戦いぶりを見ればいきなり第三者の敵が彼女達に襲い掛からなければ問題無いだろうというのがソウスケ達の判断。
(これならDランクのモンスターも任せて良さそうだな)
全てのDランク以下のモンスターを任せるつもりは無い。
ただ、三人の体が鈍らない程度には動いてもらう。
リアス達がしっかりと実戦でも動けることが分かり、ソウスケ達は順調に火山付近へと進んで行く。
そして日が落ち、これ以上進むのは良くない時間となり、ソウスケ達は野営の準備は行う。
「……こ、これが野営の夕食、なのですか?」
「あぁーーー……多分、特別だと思うぞ。まず、俺のアイテムボックスが異常なんだ。中に入っている物の時が止まっているからな」
「「「なッ!!!???」」」
ソウスケの口からサラッと出た言葉が彼女達の人生で一番驚愕した内容かもしれなかった。
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