四百五十九話 そこはあまり変わらない
「まぁ、三人が本当にダンジョンに潜る日が来るのかは分らないけど……色々と知って無いと面倒なことに絡まれるかもしれないって事だ」
「……ソウスケさんもやはり何度かあるのですか?」
「そりゃ俺だってあるよ。というか、冒険者になって一年も経ってないルーキーだ。そんなルーキーがミレアナやザハークと一緒にいたらそりゃなぁ~~……」
ソウスケの顔を思い出す様な表情を見て、三人は失礼ながらもそういう場面が想像出来てしまった。
(でも、ソウスケさんの強さならば大抵の冒険者に嘗められることは無いと思うのですが……)
リアスは目の前でソウスケが酔っ払いとはいえ、Cランクの冒険者は捻じ伏せてしまったのを見ている。
そんな強さを見ていて、ソウスケが他の冒険者から嘗められる理由が見つからない。
「ソウスケさんほどの実力者ならば嘗められることは無いと思うのですが」
「あぁ……そう言ってくれると嬉しいよ。でも。そもそも見た目が冒険者向きでは無いんだよな」
「それはっ、その……」
三人はその言葉に大して即座に反論することが出来なかった。
髪型こそワイルドに変えている。ただ、その容姿がまだ追いついていないとも言える。
この世界に来てから戦いの連続だったので、多少なりとも筋肉は付いてきた。
しかし容姿だけはそう簡単に変えられない。
「見た目だけで実力を判断すれば痛い目に合うって対象にはピッタリからもしれないけどな。でも、そこら辺は問題無いな……だって俺ある程度の強さは持ってるから」
そう言い切ったソウスケの眼には確かな自信が宿っていた。
事実、ソウスケは自信を持てる程のモンスターを今まで何体も倒してきた。
なので自然と確かな自信が宿っていてもおかしく無い。
「……お強いですね、ソウスケさんは」
「一応色々と冒険してるからな……三人も、何かを乗り越えれば自分に自信を持てるようになるよ。持ち過ぎも良く無いけどな」
自分に才能がある、努力を重ねてきた。
ただ、人間はそれに結果が共わなければ本当の自信を持つことが出来ない。
しかしその自信は厄介なもので、それが無いと挑戦しなければいけない場面で引いてしまう可能性がある。
だが、過ぎる自信はその壁の大きさが解らず突っ込んでしまい、自爆してしまう場合もある。
(俺だってワイバーンやコボルトキングを一人で倒したりしてある程度の自信は持ってるけど、AランクはSランクのモンスターを一人でってのは……やっぱり三人で戦った方が良くねって思ってしまう)
ソウスケの全能力を考えればチキらずAランクのモンスターならば単独で倒せてしまう。
「それは……やはり実力が高いモンスターを倒すという事ですか」
「それもそうだが……三人にいるかどうかは知らないけど、こいつには勝ちたいって思ってるライバルを倒すとか?」
その言葉を聞いた瞬間、リアスとセリスの表情が少し険しいものに変わる。
(へぇ~~~……クールな見かけによらず、二人共熱いところがあるんだな)
その相手がどのような相手なのかソウスケは知らない。
ただ、倒したい相手がいるという事だけは分った。
「そういった壁を乗り越えれば、おのずと自信を付いて来ると思うぞ」
「……そうですね。的確なアドバイス、ありがとうございます」
「どういたしまして……あっ、そういえば聞いておきたいことがあったんだ。明日って三人はこの街で予定あるか?」
「い、いえ。特にありませんが」
「そうか、それは良かった。俺達が受けていたルージュバードの依頼なんだが、あれが今日中に終わってさ。数日後にしていた三人からの依頼が受けれそうなんだよ。だから話題の珍しいモンスターの探索は明日からでも大丈夫か?」
「そういう事ですか。勿論大丈夫です」
ソウスケからの提案は無事に受け入れられ、夜の呑みは終了。
そして三人がまた酔っ払いに絡まれない様にソウスケは三人が泊っている宿まで送っていき、翌日午前十時にギルドに集合と約束して解散した。
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祝書籍化!!
今月の下旬にアルファポリス文庫から冒険がしたい創造スキル持ちの転生者が単行本になって発売されました!
本日家に実物が届きましたが・・・本当に嬉しくて涙が出そうになりました。
ゼルートやゲイル達をみことあけみ様が書いてくれました!!
是非彼らの活躍を読んで頂けると幸いです。
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