四百十六話 昇格間違いなし……だが
「はぁーーー、やっぱりパラディンの名前を持つだけはあったな」
本物の聖騎士と戦ったことがあるソウスケでは無いが、ゴブリンパラディンの強さは紛れもなく本物であった。
「お疲れ様ですソウスケさん」
「ミレアナもお疲れ。なんか結構派手な魔法を使ってたよな」
「はい、一瞬で戦いを終わらせようと思っていたので。ただ、相手は予想以上の魔法を放ってきました。そこには少なからず驚かされました」
「俺もだ。たかがゴブリン、それどゴブリン。相手はモンスターなんだから嘗めた対応をしていい相手では無いって事だな」
ソウスケが戦ったゴブリンパラディンもミレアナが戦ったゴブリンウィザードも二人が相手をしたからこそ大した怪我を負う事無く終わったが、二体と同じランクを持つBランクの冒険者が戦っても同じ結果になるとは限らない。
寧ろ大半の冒険者が大怪我を負うか殺されてしまう。
「ザハークは……満足出来たみたいだな」
「あぁ。流石に命を賭けた激闘とはいかなかったが、十分に満足できる良い戦いだった」
ザハークが対峙したゴブリンプログラップラーも並みのモンスターでは無く、その巨躯と筋力に勝てる冒険者はそう多く無い。
「さて、とりあえず魔石は回収しないとな」
「俺は既に回収したぞ。壊さなかったか心配だったが無事だった」
「私も魔石とゴブリンウィザードが装備していた装備品は回収しています」
「なら残りは俺が倒したゴブリンパラディンだけか」
さっさと回収してしまおうと思ったが、そこでグランが待ったをかけた。
「ソウスケさん、それぐらいは僕がやりますよ。今回の戦いで何も出来なかったですし」
「……そうか、それならお言葉に甘えようかな」
結果的に圧倒したものの、疲れが全くない訳では無かったゴブリンパラディンとの一戦。
折角なのでソウスケはグランの好意に甘えることにした。
そして後方で待機していたレアレス達がソウスケ達に近づき、頭を下げた。
「ありがとう、お前達がいなかったら俺達は必ず全滅していた」
「ソウスケ君達がいたからこそ、また明日を迎えることが出来た」
「心から感謝するよ、勇敢な猛者達」
「えっと……あの、気持ちは受け取るんで頭を上げてください」
未だにそこそこ年上の者達から頭を下げられることに慣れていないソウスケはレアレス達に早く頭を上げるように伝える。
その願いに応えるように三人は頭を上げるが、それで三人はソウスケ達に感謝してもしきれなかった。
遭遇したモンスターの数が一体でランクがCであればレアレス達三人とグランが主力として戦い、他のEランク冒険者達がサポートに回れば討伐出来る可能性はあったかもしれない。
だが、相手がBランクのモンスターともなれば完全に強さの次元が違う。
強力な応援が無い限り、万が一の勝機も無い。
「今回の事はしっかりとギルドにも報告する。そうなれば昇格試験なしにソウスケ君達がDランクに昇格する事も出来る筈だ」
「そうね。普通ならCランクに上がっても良い程の功績なのだけど……そこら辺はギルドが判断するでしょうし」
「僕もDランクを飛ばしてCランクに昇格しても良いと思うけど、やっぱりそれを良く思わない冒険者は少なからずいるだろうからね」
三人の意見としてはDランクには必ず昇格できる。ただ、一つ飛ばしてCランクに昇格するには大人の事情等が絡んでしまって不可能だろうというものだろう。
後ろで話を聞いていたアーガス達もソウスケ達がその様に昇格しても仕方ないという気持ちはあった。
確かに同ランクの冒険者が自分達を置いて上に進むには悔しい。そいつが自分達とそう歳が変わらない冒険者となれば更に悔しさは増す。
だが、その凄さを直接目の前で見たアーガス達は流石にそんなは卑怯だ、贔屓だ!! なんて言える訳が無かった。
ソウスケとミレアナの昇格を全面的に押そうと思っている三人だが、ソウスケの気持ちは全く別のものだった。
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