四百十二話 母性が癒す
部屋の前に辿り着いたソウスケは礼儀としてドアをノックする。
「どうも、ソウスケです」
「おう、中に入ってくれ」
遠慮中に入ると、既に紅茶とお菓子が用意されていた。
「準備が速いですね」
「菓子の類は常備してるからな。紅茶も後ろの秘書? 的な奴がささっと用意してくれる」
セルガーの後ろに目を向けると、ザ・仕事が出来るという雰囲気を醸し出している美女がいた。
「買ったんですか?」
「いいや、別に買った訳じゃ無い。買っても良かったが、うちの娼婦でそろそろ年齢的にはあれだが、俺の仕事のサポートなら問題無い奴がいたからな。娼婦から秘書にジョブチェンジってやつだ」
「そうなんですね」
ソウスケはもう一度後ろで静かに立っているセルガーの秘書に目を向けた。
(そろそろ年齢的にとは言うけど……まだまだいけそうな気がするのは俺だけか? でも、この店の嬢達は結構若い人が多いし、そういう意味ではそろそろ無理な年なのか)
だが、それはそれでソウスケはセルガーに提案したリフレで需要があるのではと思い付く。
「でも、別にそちらの秘書さんにもう一度戻ればと提案する訳じゃ無いですけど、リフレに関してはまだま年齢無いと思いますよ」
「そうか? 若い男はやっぱり歳の若くて容姿が良い子達と喋りたいもんだと思うが」
「そういう部分はあると思いますよ。ただ、愚痴とかを聞いてもらい時とかは年上の人の方がなんというか・・・・・・母性があって慰めるのが上手いと思うんですよ」
「ほほぉーーーー、なるほど。それはそれで……良い案だ。早速採用させてもらおう」
セルガーも熟女が好みの男がいるぐらいは解っていたが、それがリフレにも繋がるとは思っていなかった。
「それで、同じくリフレについてなんですけど、嬢達に色々なジャンルの服を用意した方が良いと思うんですよ」
「服を、か……それはあれか、メイド服とかか?」
「基本そんな感じです。後はまぁ……単純ですけど、バニーとか聖職者が着る様な服とか、後は……セルガーさんは学生の服がどんなのか分かりますか?」
「あぁ、何度持って訳じゃ無いが、大体は覚えているが・・・・・・はっ、なるほどなぁ~~~。中々エロい考えじゃないかソウスケ」
「はっはっは、褒め言葉として受け取っておきます」
勿論、セルガーとしては褒め言葉を送ったるもりだった。
ソウスケは自分の考えがセルガーに伝わって安心しする。
(やっぱりこの世界でも学生はブランドだよな。日本でもJKブランドって言葉があるんだし、この世界でも制服プレイ? が流行ってもおかしく無い筈だ)
ただ、ソウスケは万が一のことを考えて注意した方が良いである情報も伝える。
「それと、学生服に関しては自在する学校をそのままパクらない方が良いですよ。学園から文句を言われたら流石にヤバいでしょうから」
「だな、それは流石にヤバい。少しイジっておかないとな。にしても……よくそんなポンポン思いつくな。俺としては懐が潤うから良いんだけどな」
「た、偶々ですよ。ほら、初めて男が性目覚めるのってやっぱ目で見てからが始まりじゃないですか。だから見た目も楽しんだ方が良いんじゃないかって」
「それもそうだな。そそる服ってのはあるし……とりあえずそれも採用させてもらう。それもあれか、別料金で取った方が良いか?」
「ん~~~~……そ、そうですね。あんまり高過ぎない程度なら取っても大丈夫だと思います」
オプション代を取るか否か少し悩んだが、服を用意するのも決して良くないと考えてオプション代を取るのは有りだと判断する。
「うし、そんじゃそうさせてもらうぞ。おっと、せっかく久しぶりに来て貰ったんだ。きっちり受け取って貰わないとな」
仕事机に移動したセルガーは机の中からジャラジャラと音を立てながらお金を取り出し、袋の中に突っ込んでソウスケに渡した。
「これがリフレで儲けた金の一部だ。受け取ってくれ」
「あ、ありがとうございま、す・・・・・・せ、セルガーさん、これが本当に一部なんですか?」
「はっはっは、やっぱり驚くよな。だがリフレは客や嬢からも評判が良いんだ。安心しろ、ちゃんと俺個人の利益も出てるし、嬢達にもしっかりとした給料が入ってる」
「そう、なんですか。それなら良いんですけど……」
袋の中に入っている金の量を確認したソウスケは未だに信じられずにいる。
(えっ、マジで??? 俺自分で何か作った訳じゃ無いのにこんなに貰って良いの???)
何かアイデアを出すのも立派な仕事なのだが、全くリフレに関しては仕事をした覚えは無いので袋に入っているお金を本当に貰っても良いのか、かなり悩んだソウスケだった。
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