三百十二話 それなら手伝ってくれ
「しっかしどうすっかなぁーーーー、この大量の死体。これだけの素材や魔石を持って帰れれば相当な金になるのは確かだが、こんな大量のモンスターを解体してたら血の匂いに惹かれたモンスター共がやって来て解体どころじゃなくなるからな」
「そこが惜しいところよね。これだけのモンスターがいれば魔石や素材武器や防具の材料にも使えるでしょうかしっかりと確認したいところだけど・・・・・・流石にそれは贅沢を言い過ぎね。命あっただけ儲け物なんだし」
ジーラス達は目の前の大量のモンスターの死体をそのまま放置して地上へ戻ろうと思っている。
百を超える数のモンスターの素材や魔石は魅力的だが、それでも魔法袋の限界量の等の事も考えると諦めるのが妥当な考えだった。
だが、それは勿体無いと思ったソウスケはジーラス達なら他人に話したりはしないだろうと思い、自身のスキルを話す。
「アイテムボックスのスキルを持ってるんで、俺が全部入れますよ」
「はっ、全部って、流石にそれは・・・・・・」
無理だろ。そう言いかけたバルスだが、モンスター達の死体をどんどん仕舞っていくソウスケを見て言葉が続かなかった。
他の三人もバルスと同じような状態となり、五分後には全てのモンスターの死体がソウスケのアイテムボックスの中に入った。
「中の時間は止まってるんで安心してください」
「そ、ソウスケ。それは俺達以外に誰か知っているのか?」
「少し前に活動していた街の受付嬢と解体士達の人達しか知りません。絶対に人前で容易に使うなと言われましたから」
人前で何も考えず使って良いスキルでは無い。
それが解っていて自分達の前で使う事に対して嬉しく感じたジーラス達。
ただ、今回倒したモンスターを解体するだけでは自分達だけが儲け物なので、それはソウスケ達より冒険者として先輩なので避けたかった。
「この階層にあまり知られていないセーフティーポイントがある。そこで解体を行う。それと、何か礼をさせてくれないか? 流石に容量がバカ広く、時が止まるアイテムボックスを使わせて貰うんだからな」
「ジーラスの言う通り。流石に何か礼をしないと、申し訳なく感じる」
「えっと、だったら・・・・・・自分達がまだ解体していないモンスターの解体を手伝って貰って良いですか」
このダンジョンに入ってから解体し終えているモンスターの素材や魔石はあるが、大半のモンスターは解体しておらず、何時かやろう何時かやろうと言いながらかなり溜まっている。
「それぐらいお安い御用よ。ね?」
「おう。ダンジョンで戦う事が多いから解体はかなり経験を積んでるからな。自信を持って手伝えるぜ」
ジーラス達は全員が解体のスキルに関してはレベルが高い。
ソウスケは神から貰ったお陰で最初からレベル五の解体スキルを習得していたが、四人は現在のソウスケのスキルレベルよりも高い解体を習得している。
戦いがあった場所からギルドも知らないセーフティーポイントまで行き、早速解体を始める。
解体するモンスターを確認し、ジーラス達が欲しいと思った素材や魔石をソウスケはダブっていない物以外は基本的に渡した。
休憩を挟みながらも基本的にはノンストップで解体を行うが、それでも今回倒したモンスターとソウスケが今まで溜め込んでいたモンスターノ解体は一日で終わらず、後日に持ち越しとなる。
そして一夜が明け、朝食を食べ終えてから解体を再開。
始めてから昨日と同じく解体を続けに続け、夕方になってようやく終わった。
「あっ、当ったり前だが、こんなにも連続でモンスターの解体をしたのは初めてだ、な」
「い、一週間はモンスターの、解体はしたくない」
「ミナに同感ね。ソウスケのお陰で最大限まで詰め込めたんだし、地上に上がったら一週間ぐらいのんびりしましょう」
「賛成だ。これだけ素材と魔石があれば一週間はのんびりしても問題無いだろ」
ジーラス達は魔法袋に入れられるだけの素材や魔石を入れ込み、一応持っていた素材や魔石を入れる様の頑丈な大型のリュックに同じく素材や魔石を詰め込んだ。
「・・・・・・自分も、ちょっとモンスターの解体は遠慮したいですね」
時間も夕方という事でソウスケ達もう一泊セーフティーポイントで夜を明かすことになった。
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