二百七十九話知っている声
ホーンラビット五体の討伐依頼を受けたソウスケは早速ダンジョンの中へと潜る。
一階層から走りながらも周囲のモンスターを見ながら降りていく。
「・・・・・・やっぱりこういった草原に宝箱がぽつりとあるのは不思議というか、違和感があるよな」
ソウスケ達の目の前には一つの宝箱があった。
特に外装が凝っている宝箱ではなく、普通の木箱。
「自分がまだゴブリンの時に同族と一緒に無理矢理開けたりしていました」
「へぇーーー、やっぱり気になっちゃうもんなんだ」
「そうですね。ただ、言った通り開け方は無理矢理です。なので稀に罠が着いている宝箱もあり、出て来た毒の針で死んでしまったり小規模な爆発でしたが当たり所が悪くで死んだ同族がいました」
解除に失敗して罠を喰らってしまう確率は斥候の腕によるだろう。
しかし無理矢理罠がついている宝箱を開ける場合、罠が発動する確率は百パーセント。
(普通はモンスターが独学で宝箱の罠を解除するってのが無茶だよな。仮に分かったところでそういった道具が運良く落ちてることは・・・・・・ダンジョンだから無くは無いか)
冒険者がモンスターに殺され、死体や道具亡くなる前にその道具を拾えばそれがモンスターの物になるのは必然。
「とりあえずあって損は無いだろうからこいつも回収しておくか」
アイテムボックスの中に宝箱をしまい、ソウスケ達はさらに下へ向かう。
そして四階層で運良くホーンラビットの群れと遭遇し、全て倒しつくす。
「討伐依頼の内容より数は多いけど、こいつらの肉も多い方が有難い」
「血抜きは今行いますか?」
「そうだな。今からやれば丁度夕食の時間ぐらいになりそうだし。って、どうしたんだミレアナ?」
ソウスケ達の会話に加わらず、ミレアナは一つの方向をじっと真剣な表情で見ていた。
「・・・・・・人が、おそらく同業者が争っている声がします」
「それぐらいダンジョンの中だったら普通だろ」
「ええ、可笑しくない事です。しかしその冒険者と争っているのは同じ冒険者です。それと・・・・・・私達が知っている三人の声がします」
ソウスケ達がこの街に来てから覚えるような声。それが三つ。
まず最初に浮かんだのはジーラス達四人。だがそれは直ぐにないと判断した。
ジーラス達の実力ならばこの階層にいる意味は殆ど無い。
ならば誰なのか?
答えは直ぐに浮かんだ。
「・・・・・・あの三人か。二人共直ぐに向かうぞ。ミレアナ、案内を頼む」
「かしこまりまりました」
ホーンラビットの死体を速攻で回収し、三人は自分達が知る声の元へ向かう。
声のする方向に向かって走り、人影が見えてきた段階で箸音を消す。
バレないであろうギリギリの距離まで行くと、フォルス達三人が五人の冒険者に囲まれていた。
聴覚を強化してソウスケも五人の冒険者とフォルス達の会話を拾う。
「・・・・・・・・・・・・ただのゴミ野郎共か」
五人の冒険者とフォルス達三人が対峙してい理由、それは五人の冒険者達の嫉妬だった。
五人は十代半ばに冒険者となり今では二十代前半。けれどランクはDどまり。
まだ昇格を諦めるような歳ではないが、それでも同年代の者がCランクへと上がっていく様子を見て焦りを感じている。
そんな中でまだ自分達よりも若いフォルス達が近いうちにDランクへと昇格するのではと噂されているのをギルド内で聞き、嫉妬の炎が大きくなった五人は単純な作戦を決行した。
ダンジョン内で三人を殺す。そうすれば一定時間経った後、ダンジョンに吸収される。
その特徴を利用してようと五人は考えていた。
どうやら元々は七人いたらしいが、二人はフォルスが殺したようだ。
初めてを人を殺したからか顔色が良くないが、フォルスは殺されない様に、仲間が殺されない様に必死に耐えていた。
「ミレアナ、ザハーク・・・・・・問答無用でぶっ殺せ」
「かしこまりました」
「了解」
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