百四十五話洗濯すれば
盗賊のアジトの中に入ったソウスケは常に気配感知を使い続けて盗賊達の気配を探っていた。
「・・・・・・左右に数人の塊が一つ、一番奥に多数の反応。逃がさずに時間を掛けて潰そう」
忍び足のスキルを使って足音を無くし、まだそこまでレベルが高くない気配遮断を併用して自分の位置情報を完全に消したソウスケは一つ目の気配を感じる部屋へ侵入した。
奥から火による明かりが見え、盗賊達に近づいた事で明確な人数を確認する事が出来た。
(数は五人か。気配や足音を決しても影までは消えないからな・・・・・・この位置から一人だけ残して殺そう)
ソウスケは少し盗賊達離れていて狙いが逸れるかもしれないと思い、平均より大きめのウィンドボールを出して殺した後に直ぐに最後の一人に近づけるように身体強化のスキルを使った。
準備が整ったソウスケはウィンドボールを高速で打ち出して四人の盗賊の頭部を大きく抉った。
盗賊の頭部を抉ったウィンドボールはそのまま壁に激突して大きく音を立てる事は無く、ソウスケの魔力操作によって空中で留まっていた。
目の前でいきなり仲間の盗賊の頭部が抉られる様子を見た一人の盗賊はいきなりの事に、口に入れていた飲み物を思いっきり吹き出してしまった。
「ブーーーーーーー!!!! な、何が・・・・・・ぁ・・・・・・」
男は碌に状況を確認する事も出来ず、ソウスケに風の魔力を纏った抜き手で心臓を抉られていた。
既に死んでいる盗賊の体から腕を引き抜き、血で濡れた自分の手を見た。
「これが人を殺すって感触か・・・・・・良くも悪くもないな」
人を殺した事で快感を得たり高ぶったりはしなかった。ただ、盗賊を殺した事で犠牲になる人が減ったと思うと手に残る感触はさほど気にならなかった。
「・・・・・・ここは武器庫、なのか?」
辺りを見回すと無数の武器があり、数は優に二百を超えていた。
「武器商人を襲った時にでも手に入れたのかもしれないな。帰りに回収しておくか」
空中に留めていたウィンドボールを一つに纏めてもう一つの部屋に向かった。
「こんなものか。もう、殺すのにも慣れたかな?」
一度目と同じ作戦で盗賊を殺そうとした結果、二度目も盗賊達に大きな声を出させる事無く全員を始末する事に成功した。
「ここはさっきと違って武器庫じゃないな・・・・・・ベットや家具が多いな。もしかして盗賊達の寝室みたいなものか? ・・・・・・まぁ、ベットは綺麗に洗えば利用価値はありそうだな。家具も後で貰っておくか」
手に着いた血を水で洗い落としたソウスケは飛竜の双剣の片方を左手に、指輪から剣状に戻した蛇腹剣を右手に持ってソウスケは部屋を出た。
広めの部屋に向かうにつれて盗賊達に話し声が大きくなる。
昨日何人殺した。何を奪った。この前襲った女が中々に上物だった。奪った酒や飯が美味かった。
上機嫌な盗賊達の笑い声を聞いてソウスケは自分の中で怒りの感情が昂っているのが自覚で出来た。
(・・・・・・盗賊ってのはならなければいけないという状況に陥って堕ちる者なのか? そんな訳無いよな。自分の欲を満たしたいが為に堕ちる奴らだよな。殺す事に快楽を感じる者、他人から何かを奪う事に快楽や快感を感じている奴らなんだよな。だから・・・・・・一切手加減する必要は無い)
眼に本気の殺意が宿ったソウスケはウィンドボールを部屋の中に放ち、直ぐに風の刃へと形状変化させた。
「断ち切れ、ウィンドカッター」
酒に、日頃の悪行に、くだらない武勇伝に寄っていた盗賊達はソウスケのウィンドカッターによって手や足を、膝や胴体を斬り裂かれた。
突然の奇襲に盗賊達は悲鳴を上げて混乱していた。
「何泣き喚いてるんだよ。今まで自分達が罪もない人達にやって来た事だろ」
突然体を斬り裂かれて混乱している盗賊達に全く聞いた事の無い声が耳に入る。
声がした方向へ顔を向けるとそこには一人の少年が武器を持って立っていた。
先程自分達を攻撃してきた標的が分かった盗賊達は近くにあった武器を直ぐに取ろうとした。
だが、それよりも先にソウスケの怒号がアジト内に響いた。
「喰い抉れえええええぇぇぇぇええええええ!!!!」
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