七十九話ガチ?
「ふわぁ~~・・・・・・」
二度寝をしてしまったソウスケは、暖かいベットからゆっくりと出ながら窓から外を覗いた。
「太陽が丁度真上・・・・・・大体十二時ぐらいか。取りあえず着替えて昼飯を食べよう」
もう一つ大きな欠伸をしながら普段着に着替え、食堂に降りて行った。
そしていつも通り昼飯を頼み、女将さんが料理を持ってきてくれた。
「はい、昼飯だよ。それにしても、あんたはよく昼間に起きるね。他の冒険者達は朝早くに起きていくけど、あんたは大丈夫なのかい?」
「そうですね・・・・・・ギルドに張り出されている依頼は、基本的に早いもの勝ちなんで、他の人達は張り出される依頼の中でも良い依頼を勝ち取るために朝早く起きているんだと思います」
ソウスケの推測は正しく、朝に張り出される依頼の中の好条件なのを勝ち取るために、中にはギルドが開く前にギルドの扉で待っている冒険者もいる。
「だったらあんたも早く行った方が良いんじゃないのかい?」
「俺は少し前に色々あって、お金には困っていないんですよ。それにランクを早く上げようとかも考えていないんで、眠たいのを我慢して急ぐ必要は無いんですよ」
「あらそうなのかい。若いのに随分と幸先が良いみたいだね」
女将は笑いながらソウスケの肩を叩き、キッチンの方へ戻って行った。
「幸先が良い、か。まぁ、確かに良かったかもしれないけど、そこにたどり着くまでには状況的には結構ハードだったけどな」
ソウスケはダンジョンの下層に転移した時の事を思い出していた。
スキルは充実していたが、レベルは一武器はオーソドックスな長剣短剣等ではなく、超マイナーな蛇腹剣。
武器が蛇腹剣と分かった時、ソウスケは思いっきり頭を抱えた。
「ワイバーンも結構強かったしな。本当にスキル様々って感じだったな」
ワイバーン戦の時に使った魔法を思い出しながら、残りの飯を胃に流し込んだ。
「さてと、飯も食い終わったしあそこに行くとするか」
ソウスケは上機嫌に鼻歌を歌いながら目的の場所に向かった。
「なんていうか・・・・・・本当に裏って感じがする場所だな」
表の通りから裏通りに入ったソウスケは、先日保険として金貨五十枚を預けた奴隷店へと向かっていた。
そして裏通りに入ってから約二十分、先日と同じく店主のお爺ちゃんが店の前を掃除していた。
「おっ、来たかい。随分と遅かったのぅ。もう昼過ぎじゃぞ」
「今日はギルドの依頼を受けるつもりは無いんですよ。それに俺は今そんなにお金には困っていないんで」
「なるほど、確かにそうじゃったな。さて、今日来たのは昨日の件の続きで合ってるかのう」
二人は店の中に入りながら会話を続けた。
ソウスケは先日見たハイ・エルフの奴隷以外に興味を引く奴隷はいなかったので、他に要件はなかった。
「そうですね。特にそれ以外に要件は無いですね」
中に入るとカウンターには先日の生意気な青年ではなく、低身長の無表情の女の子がいた。
女の子は店長と一緒に入って来たソウスケを見ると、直ぐに客だと判断して頭をぺこりと下げた。
それにつられて何故かソウスケまで頭を下げてしまった。
「お主まで頭を下げる事はないんじゃぞ」
「いや、ついつられてしまったというか・・・・・・というか、昨日の男性より随分と礼儀正しんですね」
ソウスケはお爺ちゃんに思った事をストレートに伝えた。
言ってしまってからソウスケは余計なことを言ってしまったかと思ったが、お爺ちゃんは笑いながらソウスケの言葉を肯定した。
「はっはっはっは。確かにお主の言う通りじゃ。あやつは仕事は普通に出来るが、正直阿保じゃ。半人前にもなっていのにも関わらず、儂を超えることなど出来る筈もないのにのぅ。それに比べてセイラ、あやつは優秀な娘じゃ。口数は少ないがのう」
目の前の女の子、セイラの説明を聞いたソウスケはやっぱりかと思った。
(無表情で無口・・・・・・別にそんな事で癪に障る訳ではないけど、この先やっていけるのかは気になるな。いや、ただ必要ない時は話さないだけで、仕事の時とかはしっかりと話すのかもしれないな)
お爺ちゃんはセイラにソウスケと地下へ行くことを伝えた。
それに対してもセイラはコクリと頷くだけだった。
(・・・・・・もしかしてガチの無口なのか?)
店長のお爺ちゃんにまで言葉を発さないセイラを見て、ソウスケは自分には今後そこまで関わる事は無い思っているが、少し心配になっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます