第64話・・・・・・怪しくはあるな

「そうですね。お言葉に甘えて少し貰いましょう。良かったら、今夜私の家で一緒にワイバーンの肉を食べませんか?」


「へぇ?」


ソウスケは全くもって予想していなかったセーレの返しに、思わず間抜けな声を出してしまった。

ただワイバーンの肉を物欲しそうに見ていたので、少し分けようかと思ってい声を掛けたソウスケだったが、まさか夕食の誘いが来るとは思っていなかった。


「私、こう見えても料理は結構出来るんですよ。そうですね・・・・・・今日はメイが退勤時間が私と同じなので三人で一緒に食べましょうか」


「は、はい。そ、そそそうですね。食事は人が多い方が楽しいですからね」


ソウスケは、よく考えずに返事をして了承してしまった。


(メイって・・・・・・あのメイさんだよな。巨乳ならぬ魔乳を持つあのほわ~~んとした雰囲気を放っている可愛い受付嬢だよな。・・・・・・俺は最後まで理性を保てるのか?)


理性を保てるかどうかは一旦置いて置き、ソウスケは蒼穹に冒険者が使えるローブを買おうと思った。


「えっと、それじゃぁ俺は何時ごろにギルドに戻ってきたらいいですか」


「そうですね・・・・・・六時ごろに戻ってきてもらってよろしいですか?」


「分かりました。六時ですね。せ、セーレさんの手料理楽しみにして待ってます」


ソウスケの言葉にセーレはクスッと笑いながら期待していてくださいねと、返事を返した。

その笑顔にソウスケがやられたのは言うまでもない。


セーレと一緒に夕食を食べる約束をしてからギルドを出たソウスケは、とりあえず実践で使えるローブが欲しいと思い、防具屋を探していた。


「ローブを買うにしても、実戦で耐えられる物が欲しいな。もしくは何かしらの効果が付与されているマジックアイテムが欲しいな」


防具屋を探し続けるソウスケだが、良さそうな店は一向に見当たらない。


(ふぅーー、中々良い店は見つからないな。どうせならギルドを出る前にセーレさんに聞いておけば良かったな。今からギルドに戻るのはちょっとな・・・・・・表通りじゃない所に行ってみるか)


もしかしたら隠れた名店があるのではと思い、ソウスケは裏路地に入った。


「治安は良くないだろうけど、チンピラぐらいならなんとでもなるだろうな。・・・・・・逆にうっかり力加減を間違えて殺してしまはないか心配だな」


これからは手加減を覚えた方が良いかもとソウスケは思い始めた。


裏路地に入ってから二十分程が経ったが、いまだにソウスケが期待できると感じる店は無かった。


「表通りの店と比べて、正直粗悪品が多いな。まぁ、中には良さそうなアイテムや武器はあった気がするけど、値段は法外って感じだったな。こういうのなんて言うんだっけ・・・・・・ブラックマーケットだったか?」


ちなみにソウスケは裏路地に入ってから一度も絡まれていなかった。

だが、いかにも裏社会に生きているといった感じの人を何人か見たため、絡まれてはいないが警戒心は上がっていた。


「何か良さそうな店はないのか~~~~~っと、・・・・・・」


ソウスケの目が一つの店に止まった。

その店は裏路地にある店にしては外見は中々の物だった。

正直表通りで商売した方が儲かるのではとソウスケは思った。


(店の中にある商品に期待できそうだな。けど、それより中にいる人はあれか・・・・・・もしかして元冒険者か?)


気配察知のスキルを使い、中に人がいるのかを確認したソウスケは、気配感知に引っかかった気配の強さに驚いた。


「まだランクBやAの冒険者に会った事は無いからそこら辺の人の強さの基準は分からないけど、恐らくかなり強いな。切り札を戦力に考えなければ俺より強いだろうな。・・・・・・まぁ、店に入って急に襲い掛かって来るなんて事は無いだろう」


危険は恐らくないだろうと判断したソウスケは店に向かった。

そして店に前に立ち、看板に書かれてある言葉を読んだ。


「えーーーっと、強き人物は歓迎する。弱き者は金を持っていても帰れ。で合ってるかな? 何というか・・・・・・普通店の看板にそんな言葉を載せるか? 俺は、弱くはない・・・・・・筈だ。取りあえず入ってみよう」


いきなりナイフや魔法が飛んで来たらどうしようと考えながら、ソウスケはドアの取っ手に手を掛けた。

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