第10話コボルト上位種
「うっ、・・・・・・久しぶりの太陽の光はまぶしいな。なんというか、体にしみる」
最下層のボス部屋から全速力で目的を果たしながら、上を目指した俺は三日程で地上に出ることが出来た。
地上に出るまでに宝箱は百を超えるほど得ることが出来た。
まぁ、七割がたがそこまで使える物ではないと思うけど、残り三割ぐらいは期待できると思う。
「しかし・・・・・・ダンジョンの入口が草原のど真ん中ってのはどうよ」
驚いたことに辺りは草原に囲まれている。
よくダンジョンの中にいる間に、誰とも会わなかったなと思った。
「こんなど真ん中にあったら、誰かしら入ってきてもおかしくはないと思うんだけどな」
俺はそう言いながらチラっと見えた道らしい所に向かって歩き出した。
それから数十分間歩き続けたが、モンスターや人に会わない。
「ん~~~~、まぁ、人口が日本くらいなんてことは無いかもしれないし、これぐらいが当たり前なのか?
だけど、そろそろこの世界の人に会って情報収集がしたい所だな。どこか拠点にできそうな街でもあればいいが・・・。希望としてはなるべく大きい街がいいな」
旅をしながらこの世界を冒険するのもありかなと思ったが、拠点とする街で活動していた方が楽しいこともありそうだと、自分の勘が言っているのでそれに従うことにした。
そしてもう数十分後、ようやく代わり映えしない道に変化が現れた。
そう、変化が現れたんだけど・・・・・・良くない変化だった。
「おいおい、あれは・・・・・・助けた方が、良さそうだな」
道の左側の・・・・・・林から大きな音と声がしたので気配感知を発動すると、おそらく四人の冒険者? がコボルトの上位種に襲われているのが分かった。
大きめのがたいが良さそうな男が女の子を背負って逃げているので、どう考えてもピンチだなと思い、現場に向かって駆け出した。
距離はたいして無かったので、五秒くらいで視界に映り、より正確に襲われている四人の状況が把握できた。
俺は取り敢えずコボルトの上位種から逃げている男二人、女二人のパーティーに声をかけた。
「おい、そこの四人! 助けはいるか!!?」
俺の言葉から、視界には入っていたはずだが、逃げるのに夢中過ぎて気づいていなかったのか、はっとした表情で俺の方を見た。
そして女の子を背負っていたがたいの良い男が素直に助けを求めて来た。
「誰か知らないが頼む!!! 礼なら必ずする!!!」
だが、同じく逃げていた女の子が、俺の外見が幼く見えたのか否定の声を上げた。
「ちょっと待って、まだ私達より年下じゃない、何やってんの!!! あなたも逃げなさい!!! コボルトの上位種なのよ、敵うはずないわ!!!!」
(あっれーーーー? 俺の外見そんな幼く見えるかな。これでも十五なんだけどな・・・・・・いや、やっぱり幼いかもな。ってそこら辺はどうでもいいか)
俺は女の子の声を無視し、上位種のコボルトの集団に突っ込んだ。後ろで何か言っているがよく聞こえない。
それにワイバーンと比べれば随分と可愛い物だと思う。
持ってる武器からしてウォーリアー、アーチャー、ファイターと判断した。
全部で四匹、
俺が向かって来るのに気づいたのか、四匹の意識は後ろの四人から俺に向いた。
剣を持っていたコボルトウォーリアーが斬りかかって来る。
そして俺の蛇腹剣とコボルトウォーリアーが持っていた鉄の剣? がぶつかり合ったが、一瞬たりとも拮抗することはなかった。
「ウォォ!!??」
コボルトウォーリアーは自分の剣が折れたことに気づいて、驚きの声を上げたが俺はそのままとどめを刺しに行った。俺は剣を振りぬくのを止めず途中から先を伸ばし、コボルトウォ―リア―の首を抉り斬った。
その直後、俺の頭に向かって矢と石が飛んできた。矢はアーチャーが、石はファイターだろう。
俺はそれを体を後ろにそらして避け、詠唱を唱えながら走り出した。
「水よ、我が魔力を糧にして水槍となりて我前の敵を貫け・・・・・・ウォーターランス」
俺が放ったウォーターランスが、コボルトアーチャーの頭を削り取り、頭を失ったコボルトアーチャーは二、三歩歩くと力なく地面に倒れた。
「ウオオオォォオオオ!!!!」
仲間が殺されたことに怒ったのか、コボルトファイターが雄たけびを上げながら俺に殴りかかってきた。
スキルに格闘術があるのか、素人の動きではなかった。
俺は敢えて蛇腹剣をしまい肉弾戦で挑んだ。
コボルトファイターの両腕から繰り出されるラッシュが俺を襲う。空手やボクシングやジークンドーのような正確な狙いで、コンビネーション等は無いがかなりの速さがあった。
格闘術のスキルとファイターとしての特性、効果のせいかコボルトの上位種にしては意外な速さだった。
でも俺には対して関係なかった。
「まぁ、速いって言ってもまだ全然目で追えるしな」
俺は向かって来る拳を避け、手の甲で受け流しまだ一撃も喰らっていなかった。
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