10.ダンジョン
模擬戦から2日後、いよいよ今日はダンジョンへ行く日になった。
優達は現在城門前に集まっている。
「皆集まったな。それではこれからダンジョンに向かう」
「「「「「「はい」」」」」」
用意された馬車に5人ずつ乗っていき、ダンジョンへと向かった。
馬車に揺られること約15分馬車が止まり目的地のダンジョンについた。
「へー、ここがダンジョンか。どんな感じなんだろうな。なぁ優」
「あぁ、確かにな」
「洞窟の入口みたいになってるね」
「それに、今は開いてるけど扉もあるわね」
「そうですね。見た感じだと、階段になって下へ続いていますね」
それぞれが感想を述べていると、クラスメイト達も全員降り終わり、全員が揃ったのを確認すると団長が声をかけた。
「いいか、ここから先は死と隣合わせだ、気を抜くなよ。いつ何処から魔物が襲ってくるかわからないからな」
「「「「「「はい」」」」」」
「よし。それでは今からダンジョンに潜っていく。それでは行くぞ」
団長がまず先に入りその後から次々とクラスメイト達が入っていき、最後に優達と騎士団の1人が入って行った。
「中は結構広いんだな。ダンジョンの中は狭いものだと思ってたわ。なぁ優はどう思う?」
「確かに、結果広いな。それに中は明るいんだな」
「だな」
その頃先頭の方では、遂に魔物が現れていた。見た目は二足歩行で腰には赤い布を巻いており身長は小学生ぐらいで全身緑色の人間に近い感じだった。
「団長、この魔物はゴブリンですか?」
「そうだぞ隼人。こいつは何処にでもいる魔物で、基本群れになっている。そして、人間を見ると男は殺し、女は殺さずに巣まで持ち帰りそこでゴブリン達に孕むまで犯される」
「ずばり、女の敵ですね」
「まぁそうだな。今回は数が少ない方だが、気をつけろよ」
「それじゃぁやるか隼人!」
「そうだな武。まず、俺と武で突っ込むから危なくなったら、頼んだ」
「「「了解」」」
隼人と武は戦闘態勢に入りゴブリン達に突っ込んで行った。
まず、隼人が剣で斬りかかり、ゴブリンは棍棒で防ごうとしたがそのまま棍棒ごと斬られた。
武はゴブリンめがけていきそのまま拳を振りゴブリンは受け止める事ができず吹っ飛んでいき壁にあたり動かなくなった。
その後も同じようにやって行き、途中危ない場面があったが隼人のパーティーの美桜や真琴が援護をし、ゴブリンを倒していき初の実戦が終わった。
「お前達中々やるな。初めてにしては上等だな。ただ、弱いからと言って気を抜くのは良くないぞヤマモト」
「はい,,,,,,すいません」
実は危ない場面になったのは武だった。あまり強くない事が分かり少し気を緩めた時に後ろから近づくゴブリンに気づかずに攻撃されそうなところを美桜や真琴に助けられていた。
「次からは気をつけろ。それじゃ先頭を変わるか」
「「「「「はい」」」」」
この瞬間だけ隼人達が主人公していた。
その後も他のクラスメイト達がローテーションで魔物を倒していき、9階層を進んでいき次で10階層にとなっている。そして、今優達は一番後ろにいる状態で階段前で止まっている。
「いいか、次は10階層だ。このダンジョンは10階層事にボス部屋がありそのボスを倒すと次へ進めるようになっている。気を引き締めていけよ。ここに来るまでに戦った魔物より強いからな」
ダンジョンの説明を終えると下へと降りて行った。その後をクラスメイト達が着いていきそれぞれ話し合いをしていた。
そして、10階層に着くと広間みたいになっており少し奥に扉があり閉まっていた。
「今からお前達は5人ずつ中へ入っていきボスと戦ってもらう。騎士団もひとつの組に2人付き一緒に入ってもらう。順番に入っていき、倒したあとはボスの後ろに扉があるのでそこから出ていき、皆が揃うまで待っていてくれ」
そして、最初のグループが入って行った。
「いよいよ、ボス戦だな。優はあまり無理をしなくていいからな」
「そうね、海斗の言う通りよ。ここに来るまでにも戦ってるんだから」
「そうだよ!私たちもいるんだから!」
「そうですね」
「あぁ、わかった。ありがとう」
そして、次々と入って行きいよいよ優達の出番になった。
「それじゃ行くぞ」
「えぇ、緊張するわね」
「わかったよ」
「はい」
「あぁ」
海斗が扉を開け中へ入る。優達の後に団長も着いていき、一緒に入ってく。
中へ入ると広さはサッカーコートぐらいあり、そして、目の前には人間の約3倍ほどの大きさのゴブリンに似た巨人がいた。
「あれは、なんだ?ゴブリンなのか?」
「でも、ゴブリンにしては大きすぎじゃないかしら?」
「でも、大きさ以外はゴブリンだよ?」
「確かにそうですね。それなら、ゴブリンじゃないとしたらなんでしょうか?」
海斗達が話していると目の前の魔物が動き出した。
「あれは、ゴブリンキングと言う魔物だ。強いが、お前達なら油断さえしなければ大丈夫だ」
「わかりました。それじゃやるか。俺と美咲が前衛で優達は後衛を頼んだ」
「いや、俺もちゃんと戦うよ。」
「,,,,,,,,,,,,,,,わかった。だが、無理はするなよ」
「あぁ、わかってる」
「それじゃ行くぞ」
それぞれが自分の武器を構えた。
最初に動いたのは海斗だった、地面を蹴り正面から剣を振り下ろしたがゴブリンキングが持っていた棍棒で軽々と防がれた、その後すぐに、美咲が海斗よりも速いスピードで近づきがら空きになっている脇腹を斬った。だが肉が厚いせいか全然効いておらず、海斗を棍棒で吹き飛ばし、美咲はすぐさま距離を取った。
「海斗大丈夫?」
「美咲か、あぁ大丈夫だ。受け止めている棍棒でそのまま押し返された感じだからな」
「それなら、よかったわ。それにしても、斬ったのに全く効いていないわね」
「そうだなどうやって倒すか」
「そうね、首を切り落とすか頭に突き刺すかしかないと思うわ」
「そうだな。そうするか、それじゃ、俺が引き付けておくから頼んでいいか?」
「ちょっとまて、引きつけ役なら俺がやる戦うと言いながら俺は何もしてないからな」
「わかった。危ないと思ったら俺が直ぐに割ってはいるからな」
「あぁ、わかった」
「音無君気をつけてね」
「私たちも後ろから優くんの援護するから大丈夫だよ!」
「はい。任せてください」
そして、優がゴブリンキングの目の前に立ち、攻撃を仕掛けたが軽々と防がれすぐさま離脱し、後ろから結と莉夏が魔法を放った。その繰り返しを、行っていると横から海斗がゴブリンキングの首めがけ剣を振るがその攻撃を空いている腕で防いだ。だが、後ろから美咲が現れそのままゴブリンキングの頭を突き刺しゴブリンキングが倒れ、動かなくなったのを確認すると、優達は気を緩めた。
「中々強かったな」
「流石ボスって感じだったな」
「そうね」
「優くん達お疲れ様」
「お疲れ様です」
「よくやったなお前ら。それじゃ先に行くぞ。他のやつらが待ってるからな」
奥にあった扉を過ぎると何故かクラスメイトの半分以上が倒れており騎士団達も数人が倒れていた。
そして、辛うじて立っているクラスメイト達と騎士団が武器を構えていた。その相手は3体のドラゴンだった。
「おい!どうした!」
「はぁ,,,,,,,はぁ,,,,,,,,はぁ,,,,,,,,,,,,はい,,,,,,,,,,,,,,,つい先程奥の方から急にこいつらが現れ、三体同時に咆哮を放つと私たち以外の物が次々と倒れていきました。そして、辛うじて倒れなかった私たちが団長が来るまでの間時間稼ぎをしておりました」
「わかった。ありがとう。よく耐えていた。いいかお前達、俺と副団長が足止めをしておく、その間に倒れているものを抱え来た道を戻っていけ」
「「「「「「はい」」」」」」
そして、団長と副団長が三体のドラゴンの前に立った。すると海斗も団長と副団長のあとに続きドラゴンの前に立った。
「クルス、お前は来るな。まだ早い。レベルは上がっただろうが止めておけ。お前には荷が重すぎる」
「いえ、団長俺は友を護りたいんです。この位のことで引き下がる訳には行きません。それに俺が手伝わなくても人手は足りてるみたいですし」
「そういう事なら私達も手伝うわよ」
「そうだよ!来栖くんが戦うなら私だって戦うよ!」
「そうですよ。私達は同じパーティーメンバーなんですから」
「それなら俺も手伝うか」
「ありがとう。優もありがとう。団長そういう事です」
「そうか、わかった。ただ、無茶はするな」
海斗達が武器を構えるとドラゴン達はすぐさま同時に攻撃を仕掛けてきた。2体がブレスを残りの一体が突っ込んできた。
さらにそのブレスは海斗達を狙ったものではなく地面に向かって放ち、砂煙を上げた。残りの一体何処にいるか分からなくなった。
すると、砂煙が無くなると、優がドラゴンに咥えられたまま奥の方へと去っていった。
「優くんっ!いっちゃいやぁぁぁぁぁ」
「ゆうぅぅぅぅぅぅ!クソっ!まてっ!待ってろよ!今から行くからな!」
「駄目だ!深追いはするな!コノエ」
「は、はいっ」
「イノウエを抑えてろ、俺はクルスを抑える。ここで深追いは駄目だ!そもそもこんな所にドラゴンがいるなんてのがおかしいんだからな!しかも3体もだ」
「わ、わかりました。ダメよ、結!今日は駄目。今の私たちじゃあれには勝てない!」
「で、でも、優くんが、優くんが,,,,,,,,,,,,,,い、今行かないと,,,,,,,,,,,,死んじゃう,,,,,,,,,,,,」
「落ち着きなさい!私も冷静になっているけど、内心は過ごく慌てているのよ!それに、今行ったって無駄死にするだけだわ!今は我慢して!お願い結」
「で、でも、でも」
「大丈夫。音無君なら大丈夫だから。彼は何だかんだ強いんだから。ね?今はまだダメよ。それに助けるためには強くならなくちゃ。ね?強くならなきゃ音無君を助けたあとまた同じ事にならないようにしなきゃ」
漸く結は大人しくなった。だが、目からは大量の涙が出ていた。美咲も冷静ではいたが顔は真っ青になっており、莉夏は地面にへたり込んでいた。
海斗は説得しても止まりそうに無かったので、団長が海斗を気絶させ、おぶっていた。
そして、勇者達一行は重苦しい雰囲気のまま城に戻って行った。
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