5.尻に注入するのはもちろんあれですっ!

「……蒼太……蒼太……そ……」

「姉ちゃん……ちょ、花穂姉ちゃんっ!」


 頬と口、首筋と胸元に、軽く何度も素早いキスを繰り返す姉を制止する。

いったい何分この体勢で、これを続けるのだろうか……


「え? なに? 今ので三一五三回目だったんだけど?」

「数えてんのかよっ!? しかも前より回数すごい増えてるぞ!」

「蒼太、もう寝よっか? 朝まで止まらくなるからね……おやすみ……」

「いや、止まれよ……人を唾液だらけにする妖怪か!」

「うーん……ねむ――」


 しゃべり終わる前に花穂姉ちゃんは寝息を立て始める。

ただ、この状態が問題だ。俺の体が姉専用の敷布団と化した。

胸の上に顔を置いて、うつ伏せにしがみ付くように寝入ってしまっている。


「肌の感触が気持ちいいけど、身体重いんだよ……そして暑いっ!」


 紗月姉は格闘技経験者ということもあって、体重のかけ方が実にうまい。

俺に負担がかかり過ぎないように、胸骨の上に頭だけを置いて寝ていた。


 花穂姉ちゃんは……ほとんど全体が乗っかっているのだ。

こんな人間抱き枕状態で安眠できるのだろうか……









◆◆◆◆◆◆









 五月五日午前七時。

誤作動した平日モードの目覚まし時計に叩き起こされる。

乗っかって寝ていた花穂姉ちゃんは、いつの間にか部屋にいない。

布団をベッドに戻して、Tシャツを着て一階に下りると……


「おはよう蒼太。朝御飯食べようよ」


 台所で調理をする花穂姉ちゃんがいる。

焼き音や匂いから、卵焼きとベーコンだろうと推察する。

隣で手伝おうと洗い場の方へ入ったとき、エプロン姿の姉の格好に驚いた。


「姉ちゃん……なんだその格好!? アニメの世界だな」

「いや違うって、アニメとかはエプロンの下なにも着てないよ?」


 調理場に立つ花穂姉ちゃんは、ピンクのボクサーパンツの上に白いエプロンを着ただけの姿だ。裸エプロンではない、パンツエプロンとでも言うべきか。


「うむ、裸エプロンは邪道なんだよ。なぜって、飯を作りながらうんこする尻を放り出すなんてナンセンスだろ? 姉ちゃんは正しい。けどブラジャーはしろよな」

「蒼太! 食事前に汚い単語言わないでっ!」


 食事を始めてしばらく経った頃、玄関を開閉する音が聞こえた。

家族というのは、足音でだいたい誰が帰ったのかわかる。紗月姉の帰還だ。


 出迎えに玄関へおもむくと、シックな配色のワンピースを着た紗月姉が、膨らんだお腹をさすりながら立っている。まるで妊婦のような膨らみようだ。


「おかえり、紗月姉?」

「蒼ちゃんの暴発で……赤ちゃんできちゃった……」


 この小芝居は乗った方がいいのだろうか。

無視をするとしつこいし、相手をするとワルノリりする。


「紗月姉……花穂姉ちゃんに報告しないと!」


 腹を抱えた紗月姉をそのまま居間へ連れて行く……

その光景を見た花穂姉ちゃんは少々驚いた顔をしている。


「花穂、蒼ちゃんの赤ちゃんができたっ」

「ん、わかった! 服の上からでもカットできるから紗月姉動かないでね!」


 そして、朝食のテーブルに甘そうなクラウンメロンが並んだのだ。

宿泊先の友人宅が旅行先で買って来たお土産のおすそ分けらしい。





「このピンクのパンツ、エロ可愛いなっ」


 花穂姉ちゃんが例の土産を紗月姉に渡すと、たいそう喜んだ様子を見せた。

しかも、誰はばかることなく目の前でパンツを穿き出す始末……


「紗月姉、蒼太の前でパンツ出して……」

「花穂、あんた人のこと言える? エプロンの下、ピンクのパンツ一枚で」

「うわ、紗月姉のピンクのボクサーパンツは赤文字で注入可って書いてる……」


俺の眼前にエプロン姿で受入可の尻、ワンピースをたくし上げた注入可の尻が並んだ。


「花穂、ありがとうね! 注入可だって。蒼ちゃん、精液注入してみる!?」


 肉付きのいいお尻をフリフリさせながら近づけて来る。


「紗月姉はいっつも下品だね……」


 花穂姉ちゃんは基本的に紗月姉のワルノリはスルーだ。

この二人、息が合っているようで、実は全然合っていないのでは……

そんなことを考えつつも、姉の挑発に付き合うことにした。


「俺、注入する! 行くよ紗月姉! 花穂姉ちゃんは見ない方がいいぞ!」

「え? 蒼太!? 本気なの!?」

「ちょ! 蒼ちゃん!?」


 俺は紗月姉の注入可と書かれたパンツをずりおろし、お尻をバックリ開いた。

肛門にズブリと入ると同時に、紗月姉は声をあげた。花穂姉ちゃんはドン引きだ。


「ほら! どうだニュルっと入っていくぞ!」

「うわっ! 蒼太……なんてことしてんの!?」

「……はぅあぁぁっ! んあっ!」

「どう? 紗月姉……入れたぞ!」


 紗月姉は顔を赤らめ、挿入されたものに触れてきた。

そして、さらに顔を赤くした。


「これは……父さんのオレ痔ヌール注入軟膏! 蒼ちゃんっ、ぶっ殺すっ!」


________________________________

あとがき

※次のエピソードから第九章に入ります。

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